「小説家になろう」の商標登録と山形の講座名称変更について
「小説家になろう」について書いてみる。 商標については以前調べただけだけの素人だが、概ね間違ってないはず。 【山形新聞】「小説家になろう」名称アウト 山形で19年続く講座、大阪の企業に商標 #yamashin #yamagata yamagata-np.jp/news/201603/11…
2016-03-13 13:02:13商標とは何か、簡単に
そもそも商標とは何か。 簡単に言えば「商品」と「サービス」を区別するための「ブランド名」。 サイト側は、「小説家になろう」というブランド名で商売するため、この商標を取得した。 一般的に利用される名称だが、「アップル」だって「トヨタ」だって一般名だ。そこは問題ではない。
2016-03-13 13:06:26※ちょっと追記があります。
下の「追記 一般名について」を参照
なので今回の「小説家になろう」が商標を取得したことと、消費者(需要者)の混同を避けるために講座側に名称の変更を求めたことについて、 法的には一切問題となりません。 これは投稿サイト側の正当な権利であり、商標の目的そのものでもあるからです。
2016-03-13 13:12:20商標を取得する目的は何か。 消費者(需要者)にそのブランドを区別してもらうためだ。 「小説家になろう」という名前をブランドとして商売するために、商品やサービスを提供する権利を金を払って法的に保護して貰う。
2016-03-13 13:09:46追記 一般名について
商標について一般名でも問題ないとの記述しましたが、語弊がありました。
実は商標登録については、登録できないものとして以下の規定があります。
- 自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
- 公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの
- 他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの
今回の件について、『商標として登録されたこと自体』を問題とする方は、この 1. の規定に引っかかっているのではないか。と考えているのです。
この規定については、さらに細かい規定があるのですが、簡単に言うと、
同じ商品・サービスを表すものとしてすでに一般に利用されている場合は商標の登録自体が認められません。
商標には、登録区分というものがあり、その商標が効果を認められるのは、その商標を取得した区分の範囲内に限られます。
例えば、食品名として「いちご」を登録することはできません。
しかし、例えば金融サービスの名前としてはどうでしょうか。
登録可能です。そして実際に登録されているようです。
一般名であっても問題にならないと言うのは、そういう意味です。
さて、「小説家になろう」について言うと、例えばこの言葉を電子サービス名としては一般名として使うことはまずありません。
小説家になろうを利用して・・・
という言い方は一般的に使いませんよね。
ですので、サービスの名称として登録する分には、問題ないということになります。
なお、この視点ですと、投稿サイト側と講座側は、一般的でない同じサービス名を持つ競合関係になります。
商標登録は、先願主義ですから、先に出願した投稿サイト側が商標を持つという訳ですね。
先に使っていたの講座の方でしょ。理不尽じゃね?
では、講座側は名称を変えなければならないのか。 理不尽ではないか。という疑問が残ります。 「小説家になろう」という講座は、投稿サイト側が使用する以前から、講座が使用していたものです。 そのため、講座側は引き続きこの名称を利用する「先使用権」という権利を主張できます。
2016-03-13 13:15:26「先使用権」の主張には条件があります。 ① 他人の商標登録出願前からその商標を使用していたこと ② 日本国内で①を行っていたこと ③ 不正競争の目的でなく①を行っていたこと
2016-03-13 13:17:13④ 他人の商標登録出願に係る指定商品・指定役務又はこれらに類似する商品・役務について ①を行っていたこと ⑤ ①を行った結果、他人の商標登録出願時において、その商標が自己の業務に係る商 品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること
2016-03-13 13:17:36⑥ 継続してその商品・役務についてその商標の使用をすること これら6つの条件を満たせば、「先使用権」が認められます。 おそらく今回の場合、訴えれば認められます。
2016-03-13 13:19:19もし、講座側がこの名称を引き続き使用したいのであれば、「先使用権」を主張して裁判で争うことになります。 ただし、そこまでするメリットがあるようには思えませんけれども。
2016-03-13 13:20:38「先使用権」が認められるのは、使用していた商品・役務についてに限られますので、今回の場合、講座の開催についてになります。 「小説家になろう」の名称で他の商売始める権利は講座側には認められないでしょう。
2016-03-13 13:39:40まとめ
重要なポイントは、「小説家になろう」という言葉を利用する権利は、あくまで投稿サイト側が持っているものであると言う点です。 ですので、投稿サイト側が講座名の名称変更を求めるのは、当然の権利であって、非難されるべきものではありません。
2016-03-13 13:22:31基本的には当事者間で、場合によっては金で解決するべき問題です。 今回の場合は、当事者間で話が決着しています。 投稿サイト側を非難するのは、商標という仕組みと目的を考えても理がありません。 まして大阪の企業だから叩いている連中はくたばってしまえ(重要)
2016-03-13 13:28:06補足
商標の扱いに間違いがあるかもしれません。
見つけた場合はコメント等でご指摘お願いします。
2016/03/18 追記
本件について、現在ヒナプロジェクトと講座側の双方に問い合わせを行っており、回答待ちです。そもそも穏便に解決できそうな話ですので、回答が得られ次第追記予定です。
3/23 追記
本日時点で、投稿サイト側、および講座側の双方とも私の問い合わせへの回答はありません。
これは双方とも法廷に行くことを想定しているかもしれません。
もうちょっと様子見します。