【ミヤコようちえん危機一髪 〜恐るべきブラックカーテン団登場〜 】
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薄暗い会議室の中、カンザキ社の第四営業部長モロトミはそれとない様子で額の汗を拭った。「……つまりですね、WINWIN関係なのです。御社の技術力と我が社の資金力が合わさることにより、ケミストリ的な成長が見込めます」「ナルホド」無機質な声が闇の中から返ってくる。1 #4215tk
2016-03-13 18:30:08園児テキストの悪役の常連となりつつある、カンザキ社…第四営業部長って辺りが中間管理職っぽさを漂わせる…部長なのに。 #4215tk
2016-03-13 18:32:59闇の中……それは比喩でもなんでもない。テーブルの反対側にわだかまるのは闇としか形容できない存在。恐怖心を絶対的な愛社精神で押さえ込み、モロトミは営業スマイルを浮かべる。同時に理解する。わずか11人のみで構成されるこの組織に、部長である自分が派遣された理由を。2 #4215tk
2016-03-13 18:34:03ブラックカーテン団。それが今モロトミが相手取っている組織である。彼は相手に悟られぬよう視線を右に動かした。長身を一分の隙もない黒スーツで包み込んだ女が、鷹のごとき視線でこちらを見やっている。受け取った名刺に欺瞞がなければ、彼女が秘書であるスカハ。3 #4215tk
2016-03-13 18:38:10モロトミは相手に悟られぬよう視線を左に動かした。秘書とは対照的なほどに小柄な白衣の少女……いや、童顔なのでそう見えるだけかもしれない…….が、いくつものノートを広げメモを取っている。おそらくはこちらの話など聞いてもいない。これが彼らの技術力の源、サンサロ博士。4 #4215tk
2016-03-13 18:42:08そして……モロトミは唾を飲み、正面を向いた。そこには闇が広がっていた。室内の薄暗さよりもなお深い闇が。これこそが……否、この闇の中に潜む者こそが、ブラックカーテン団の首領、マガツミなのだ。闇は不気味に沈黙している。モロトミは身震いした。5 #4215tk
2016-03-13 18:46:43重い静寂が広がる。たまらずモロトミは口を開いた。「あ、あの……如何で」「無礼者」「アイエッ」途端に飛んできた女の声に小さく悲鳴。それほどまでに鋭く、冷たい。まるで刃物のような声音。スカハだ。「我らが偉大なる首領、マガツミ様は熟考中である。その集中を乱すな」6 #4215tk
2016-03-13 18:50:36「そうそう。考えごとを邪魔されることほどイライラすることってないからねェー」サンサロ博士が言う。ノートから顔を上げることなく。「少し静かにしていたまえよ、君。こちらも貴重な時間を割いているのだから」「も……申し訳ありません!」モロトミは勢いよく謝罪!7 #4215tk
2016-03-13 18:54:16頭を下げた姿勢のまま、モロトミは歯を食いしばった。何様だこいつらは。私はカンザキ社の営業部長なんだぞ……!「整理シヨウ」無機質な声に、彼は慌てて顔を上げた。「技術力ト、資産ヲ、引キ換エル。ソウダナ?」「は、はい」「デハ、ドチラガ、上ニナル?」8 #4215tk
2016-03-13 18:58:15一瞬、モロトミは言葉の意味が理解できなかった。「それはマガツミ、決まってるだろう。我々が上位だ。彼らは技術的に劣っているわけだからねェー」サンサロ博士の言葉に、彼は正気に戻る。そして自身の顔に血が昇るのを感じた。「き、貴様らッ……!カンザキ社をなんだと……!」9 #4215tk
2016-03-13 19:02:01「そちらにとってなんであろうと、こちらにとっては単なる有象無象の一つにすぎん」吐き捨てたのはスカハ。モロトミは激昂する!「カンザキ社は! か、カンザキ社は!偉大な企業なんだ!貴様らごとき弱小組織など、か、簡単に塗り替えて」「塗リ替エル」闇が嗤った。10 #4215tk
2016-03-13 19:06:16「ナルホド、面白イ。黒ヲ塗リ替エラレルカ、ヤッテミルトイイ」モロトミはもはや答えなかった。彼は懐に忍ばせていた通信機の非常ボタンを押す。これを合図に、この付近に潜めていた戦力……武装エージェントにロボニンジャが行動を開始する手筈!ZGOOOOOM!11 #4215tk
2016-03-13 19:10:39