「任意の実数の集合がLebesgue可測」 without Choice

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発端

スマートコン @mr_konn

@alg_d 暇と訊かれた瞬間だけ忙しくなります

2016-03-13 18:32:50

本題

V-alg-d(ZZ) @alg_d

@mr_konn Con(ZF+DC+LM)到達不能基数がいる話について聞きたいんだけど、Con(ZF)⇔Con(ZF+LM)なの?

2016-03-13 18:34:45
V-alg-d(ZZ) @alg_d

本題に入るまでに5ツイート消費するほうのmr_konn

2016-03-13 18:35:35

※補足

ZF:ツェルメロ−フレンケル集合論。選択公理なし。

DC:従属選択公理。詳細は@alg_d氏のサイト参照。

到達不能基数:ZF/ZFCからは存在を証明出来ない、大きな無限基数の一つ。とはいえ現代の集合論者で存在しないと思っている人間はあまりいない。

LM:「任意の実数の集合がLebesgue可測」という公理の略。フルの選択公理の下では成り立たない。

古典的なSolovayとShelahの結果として、次の二つの体系は、無矛盾性の意味で同値だという事が知られている。つまり、一方の無矛盾性を認めればもう一方の無矛盾性が示せる:

・ZF+従属選択公理+「任意の実数の集合が Lebesgue可測」
・ZFC+∃到達不能基数

一方、到達不能基数の存在の無矛盾性はZFCの無矛盾性よりも真に強いので、@alg_dは「選択公理っぽいのを全部落としたら到達不能基数を落とせないの?」ということを問うている。

スマートコン @mr_konn

@alg_d 実はそれたぶん知られてなくって、指導教員に「考えてみたら?」と言われてみてはじめて問題を認識しましたね。DCはCCくらいまで弱めても到達不能基数が必要なことはすぐわかるんですけど、それより弱められるかは不明です。まあCCくらいないと測度がそれっぽく振る舞って

2016-03-13 18:36:29
スマートコン @mr_konn

@mr_konn @alg_d くれないので、解析学的には余り意義はないですけど、体系の無矛盾性として問うことは出来るとはおもいます。

2016-03-13 18:37:16

解析学や測度論の一般論を展開するには、可算選択公理や従属選択公理が必要な事が知られています(個別の空間の性質を示すのには必要がない場合もある)。

これらを認めないと、たとえば点列を取って収束の議論をしたりできなくなったり、Hahn--Banachの定理が Banach空間上くらいでしか成り立たなかったりします。
更に、場合によっては実数直線 R が可算集合の可算和で書けてしまったりする場合もある(今回の場合は測度の可算加法性はいえるようなので起きない筈)ので選択公理がないとヤバい事が結構起きる。

V-alg-d(ZZ) @alg_d

@mr_konn amazon.co.jp/dp/0486488411 この本にSolovayがCon(ZF)⇔Con(ZF+LM)を示した(けどpublishしてない)みたいなことが書いてあったんだけど、ほかの文献にはそれらしき記述全然見つからないし本当なのかって思って聞いたんだけど

2016-03-13 18:41:23
スマートコン @mr_konn

@alg_d まじで、初耳だった、むしろ情報どうもです!(Solovay はそもそも Con(ZFC)⇔Con(ZF+DC+LM) の無矛盾性証明は Cohen の強制法の結果を講義で聴いてその場で思い付いてから10年くらい放置している

2016-03-13 18:42:43
V-alg-d(ZZ) @alg_d

@mr_konn Solovay also showed that if ZF is consistent, then there is a model M of ZF in which every subset of R is measurable, ……

2016-03-13 18:45:17
V-alg-d(ZZ) @alg_d

本当に全然だれも知らない情報なのか……

2016-03-13 18:45:58
スマートコン @mr_konn

@alg_d やばい、これが本当ならさっさと Publish してくれって感じだ、ℵ_1 は当然 singular でなくちゃいけないけど ℵ_1 が singular ってやばいな

2016-03-13 18:46:09
V-alg-d(ZZ) @alg_d

@mr_konn とりあえず全然誰も知らなそうなことだということは分かった、ありがとう

2016-03-13 18:51:03
V-alg-d(ZZ) @alg_d

今のところ、この本と、あとどこかに「この本に書いてあるよ」って書いてあったので、計2か所にこの情報乗ってるんだけど、要するにソースがpersonal communicationしかないのウケる

2016-03-13 18:53:16

池上先生による補足

Ikegami Daisuke @DaiskeIkegami

@alg_d @mr_konn こんばんは、横から失礼します。この話、全然知りませんでした。\aleph_1がsingularでよければ、Solovay modelでの議論は、Lで、\aleph_ω未満の基数を可算に潰し、適切な内部モデルに入ることで、似たようにできると思います。

2016-03-13 19:23:38