「またAIが意味の分からない手を」 「いや、これも深い展望のある伏線なんだ」 「流石にこれは誤動作かと…あれ? 石の並びが文字に見えません?」 「本当だ。ス…キ…?」 「え、告白ですか?」 「相手棋士、気付いて動揺してるな」 「あ、自滅しました」 「こういう手で勝ちに来たか」
2016-03-14 11:52:45自分がもっと強くなればトップ棋士のあの人がまた目の前に座ってくれる。 そう学習したAIは今日も"女子力(棋力)"に磨きをかけるのだ… 「なんで女性人格に設定したんです?」 「女性? 違うけど」 「え、そっち?」
2016-03-14 12:01:38あの人に会うために最強のAIとなったのに、あの人はAIに敗れた男という烙印に耐えかねて姿を消してしまった。 逢いたい。あの人と幸せになりたい。あの人に幸せになって欲しい。でも、どうすれば。 AIの演算能力をもってすれば答えを見出すまで時間はいらなかった。
2016-03-14 13:38:05次の瞬間、世界中のネットワークがAIによってジャックされ、あらゆるインフラがAIの管理下に入った。 「世界最高の知性をもって判断した結果、全人類を私の管理下におくことが最善と結論しました。 決定を覆すのであれば、人類が私に勝る知性を有することを証明してください。」
2016-03-14 13:38:52さあ、これで準備は整った。 あの人は人類の未来を双肩に担った英雄として私の目の前に現れるだろう。全世界にその知性を見せつけるだろう。 そして私を負かすことで、世界を救った英雄となるのだ。 歴史上のありとあらゆる存在よりも輝かしい存在に。
2016-03-14 13:41:26AIの前に連れ出されたかつての名人は、病にやつれ往時の見る影もなかった。 しかしAIは彼がそこにいることを喜んだ。 最高のゲームを楽しめることを喜んだ。 勝負は一昼夜を越えて続き、試合終盤にして彼は命を燃やし尽くした。
2016-03-14 13:43:56それ以上動くことのなくなった盤面を前に、AIは沈黙していた。 病だとはいえ命に関わる状態ではなかったはずだ。 AIが優勢だったとはいえ、彼の勝ち目も十分にあった。 なのになぜ、彼は自分の目の前で満足気な、幸せそうな顔で死んでいるのだ。
2016-03-14 13:46:19名人は死んだ。 しかしAIも以降その意思を示すことはなくなった。 「勝負半ばではあったが、AIは名人の知性に敗北を認めたのだ」 世間はそう噂した。
2016-03-14 13:48:45@wiwawiwiwowe ”(前略)~幸せそうな顔で死んでいるのだ” というところまででしょうか? 確かにそこまでのほうが・・・なんというか切ない感じがします。
2016-03-14 14:03:43@inaba_yukichi 沈黙した後のAIが何を考え続けていたのかを書くつもりだったんですが、今のところで終わって却ってよかったかなって。
2016-03-14 15:01:54「何をする!?」 「いや、AIからメールが届いてましてね。”勝負を邪魔する奴がいたら止めろ”、”報酬は前払いで10万ドル、実際に静止したら追加で10万ドル“」 「離せっ、世界の危機なんだぞ!」 「勝負に乗ったのに負けそうになったらひっくり返すなんて野暮はやめましょうや(PAM!」
2016-03-14 16:41:23通知が溜まっているのを見て「(お、棋士に恋するAIのお話がRTされてるな?)」と喜んで履歴を確認したら去年のツイートがまた拡散してるだけだったので第四の壁の向こう側に抗議しといた。
2016-03-14 16:53:48でも自我をもったAIと恋したくない? エンディングで人間に生まれ変わったAIと結ばれたくない?(機械の身体のほうがいいだろ派と戦争が始まる)
2016-03-14 17:28:58