架空戦記「反反三国志」の感想まとめ

佐藤ひろお @Hiro_satoh さんが昨年のイベントで頒布した同人誌「反反三国志」がなかなか面白かったので、今さらながら感想をまとめました。
歴史 同人誌 架空戦記 三国志
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はい、では佐藤ひろお @Hiro_Satoh さんの「反反三国志」の感想、始めますよー pic.twitter.com/80ZYqwMTfU
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◇前文 反反三国志は、佐藤さんが反三国志をベースに書いた「蜀ファンが最もスカッとする物語」で、周大荒の上位互換を目指すという目的で書かれた同人小説。原稿用紙約1000枚。
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物語自体は、徐庶の残留をきっかけに歴史が少しずつ改変され、最後は蜀漢が天下を獲るというもの。反三国志の大元は変えず、展開の雑さや終盤のぐだぐだ感のカットを進めている。
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佐藤さんは「いつか書きたい三国志」3guozhi.jp というタイトルのHPで独自の三国志解釈や歴史書の和訳を進めている。昨日、某剽窃ばかりのサイトのまとめの話でも触れたが、ここにしか見当たらない列伝の和訳もあったりする。
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過去の傾向としては「劉備軍・蜀に辛い」とみる人が多いのではないだろうか。「曹丕八十歳」でも、長安まで落としておきながら「えっ何それは……」というオチがついたり。なので今回どういうものを出してくるか気になっていた。
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自分語りになるが、私もニコニコでim@s架空戦記をやっていたが、物語の年代がほぼ被っている(うちは207~224年)。こっちでやった展開とほぼ同じ流れがあったりして、考えることは一緒だなと思ったり「はよ終わっといて良かった」とか「そこは私が○年前に通過している」とも思ったり。
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そんなわけで、どうしても一人の三国志好きというよりは、亜種とはいえ同じ架空戦記をやった動画制作者としての感想になる。最も感想を求めている作者たる佐藤さんには申し訳ないが、多分うちを視聴済みのニコマス系三国志好きのフォロワーさんの方が私の感想がより通じるだろう。では総評から。
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◇総評 粗製濫造されたような架空戦記なんかより上と言える出来だった。感想書くために3周半はしたけど、前作の曹丕八十歳に比べても文章的にも読みやすくなっているし誤字も減った。また、元ネタのある場面は今回も注釈を用意しているので、反三国志を「爆殺」くらいしか知らなくても何とかなる。

注釈の多さは佐藤さんの同人誌の特徴。コアな三国志好きほどこういうものはありがたいので、手間はかかりますが見習いたい。

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曹丕八十歳は再販されたとして誰にでも薦めるかは悩ましい(人に譲ったが読んでないっぽいので読者を選びそう)が、こちらは正史を知り演義も温められる人なら薦める。反三国志の枠が縛りにもなる「パロディー小説」はメリットデメリット双方あったが、話をまとめるという意味では有効に働いたと思う。
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とりあえず、2000円が安いと思わせるくらいに面白かったのは間違いない。ただ面白かったからこそ、蜀好きかつ多少なりとも似たような事やった立場としては疑問点もかなり湧き出てくる。それについては後半に述べる。
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◇感想 物語は帯にあるように「徐庶が残り、龐統が死せず、関羽が荊州を保ち、諸葛亮が北伐する」というもの。反三国志に限らず、三国志のIFもの架空戦記の定番ネタだ。商業作品にも「関羽死せず」的なものはある。
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反三国志のパロディなので、劉備以下キャラクターは概ね演義か反三国志準拠。周泰や韓当など一部の出てきては死んでいく呉将や、「虎身中の虫」となる龐統は無双そのままだったが。商業作品ネタは、原作はもちろん、吉川(横山)、北方、蒼天、無双など多岐に渡るのは前作と同じ。
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徐庶の残留を機に、漢中攻防までは演義ベースの展開で蜀の死亡フラグが連鎖的に折れていく。龐統に始まり、張飛、劉封、張苞など。特に張飛はその回数を割いたので、成長して軍の大黒柱として長安や洛陽攻めで軸となる。諸葛亮と魏延の潤滑剤にもなったり、関羽との連携で張遼を討ったりしている。
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反三国志では五虎将は馬超が突出して目立ち、次いで趙雲、関張はおおむね空気だった。ある一点の問題を除けば、関張趙の扱いは多くの人が及第点を出すのではないだろうか。なお黄忠は見せ場を持たせつつ中盤で引退する。
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IFで最も輝いていたのは麋竺だろう。220年に関羽が襄樊・南陽郡攻略と引き換えに南郡を失陥し、麋芳は陸遜に寝返る。それを知って病むのは正史通りだが、その後に麋竺は起死回生の一策を放って孫権ら呉の諸将に楔をぶち込み、呉崩壊の起点となる。この場面はニヤリとさせられた。
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物語も、関羽の北伐と孫権、曹丕の思惑が絡む中盤までの場面がこの作品の最も面白い部分だろう。もともと魏蜀呉の戦略が複雑に交差する219年は創り手の腕の見せ所である。うちも物語の約1/3が219年だった。反反三国志もここを独自の展開で書き切っただけでも、その価値があると思う。
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「曹丕八十歳」の時もそうだったが、佐藤さんは呉が好きだということはすぐに気付く人が多いだろう。今作も主人公は蜀だが、呉パートになると俄然筆が走り出す。劉備や諸葛亮より孫権の方が格段にキャラが立っているのだ。今回は途中退場しないし、物語のキーマンなのでこれ自体は悪くないとは思う。
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原作では、呉は主要人物の多くが自殺して一部のみが逃げ延びるというあんまりな結末。だが、この物語では孫権は逃亡の末に海賊王として生き残る。揚州は劉備と孫尚香の子が、孫家を見限った陸遜や周循・魯淑らに支えられ漢の呉王となる。行殺される将も多いが、呉については概ね読後感は悪くない。
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陸遜は最終的に孫権を見限って蜀に寝返るが、その過程は丁寧に書かれているので抵抗なく読める。揚げたてのから揚げにレモン汁を瓶ごとぶっかけて台無しにするような感じではない。
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劉備は荊州を完全掌握した段階で道半ばにして没し、劉禅が継ぐ。そして出師表からの北伐となる。今作の劉備は演義ベースかつ、どうも佐藤さんがキャラ立てに悩んだっぽいことが書かれており、あまり特筆することはない。ごく普通の演義系劉備。
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終盤、諸葛亮は後述する問題にぶち当たるものの、解決し最後は生きて引退する。劉協は生存し、散々混乱を巻き起こした後で関羽に一喝され、劉備の孫に帝位 を譲る。劉備の孫が帝位に就くのは原作通り。長安、許、洛陽、最後に鄴を抜かれた魏は崩壊し、曹丕曹彰曹植は逃走して三様の形で生き残る。
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曹彰と曹植が原作でも生き残るのはご存知の通り。曹丕は甄氏、司馬懿らと遼東に逃げて燕王となるが、その後の討伐までは描かれない。オチは最初からがっちり固めて始めたのだと思うが、かなり駆け足ではあるものの締め方は良かったと思う。
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魏将は……曹彰が張飛を一度破ったりするものの、夏侯惇が原作通り全盲夏侯になったり、曹洪が干された末に行殺されたり、曹仁が事実上曹丕に殺されたりとまあ原作並みの残念さ。関羽と一騎打ちして散る徐晃、奮戦して関羽のアイデンティティを断つ張遼は原作同様まあまあの扱いか。王朗もかなり輝く。
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あと、原作における曹沖(なぜか猪武者で、突っ込んで即死する)のポジションは袁叡こと曹叡がやらされる。皇太子なのに。もちろん初陣で姜維らに突っかかって即串刺し。前作のあの残酷な仕打ちといい、佐藤さんは曹叡がよほど嫌いなのか……?
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