刀工・月山貞伸氏 特別対談「刀工・月山」at奈良県立美術館 (2016.3.13)
奈良県立美術館にて昨日行われた月山貞伸氏の対談講演「刀工・月山」のレポをちょっと書きますね~ pic.twitter.com/CqjEs8KdP0
2016-03-14 22:35:40まず、はじまる前に座って待ってたら、後ろから「先生!どうも!」という声がして振り返ると、今日の講師・月山貞伸氏のお父様・月山貞利氏が! 熱心なファンな方たちがざわつく。弟弟子お二人もいらっしゃってたそうです。
2016-03-14 22:39:53観客も写真撮影可だったため、打ち粉を打つかっこいい貞伸氏&キュートな笑顔の貞伸氏。ミーハーか。持ってきてくださったのは、幕末の刀工・月山貞吉作の刀です。 pic.twitter.com/sqK69aptJp
2016-03-14 22:50:11まずは月山のルーツの話。もともとは山形県月山(山岳信仰の山)で、修験者の護身刀を作っていたのがルーツ。6代前の貞吉が大阪に出てきた。月山には何人もの刀工がいたので、貞吉からはじまるこの流派を特に「大阪月山派」と呼んだりもします。
2016-03-14 22:55:47メモに「江戸時代ほそぼそ」って書いてあるから、多分江戸時代に山形のほうであんまり需要がなくなったのかな? それで大阪に出てきた(自分のメモが解読できない人)
2016-03-14 22:59:03話前後しますが、もともとは月山鍛治というのは鎌倉、室町時代にいっぱいいた。大阪月山派の古いルーツをたどると鬼王丸という刀鍛治にたどりつく。
2016-03-14 23:10:08持って来ていただいた貞吉の刀は、安政の頃の作刀で「老いて摂津国難波出羽住月山貞吉作」の銘が入っている(すみません。速記できず多少の間違いがあるかもしれません)
2016-03-14 23:02:39そこから銘の話になりまして、県美の学芸員・深谷聡氏(イケメン)が「銘は刀の証明書みたいなものですよね」と水を向けたところ、貞伸氏「まあ、有名な方だと半分くらい偽者」とおっしゃる。
2016-03-14 23:05:27@tsubanya これ学芸員さんと刀匠の方の違いが現れてて個人的にすっごい面白かったんですけど、学芸員さんは研究目的だから、銘からいろいろな情報が読み取れるという正の収穫がうれしいんですよね。で、刀匠は刀を買われる方のことも考えるからまず「銘にだまされるな」ていうのが来る。
2016-03-14 23:07:18Q:奈良で月山派の刀を親子三代という形で紹介するのははじめてのことだが、祖父、お父様の刀をみて感じたことはありますか? A:今日、父が来ているのでなかなか答えにくいですが…18.9歳から仕事はじめたが、技術として未熟なところがある。(続く)
2016-03-14 23:16:34月山は作刀した本人が彫刻するというのが特徴。まだ龍とか十七面観音などの(複雑な)彫り物ができない。作刀とは違う技術なので修行中です。
2016-03-14 23:18:19(深谷氏より解説)月山派は綾杉肌(波打つような地肌)と彫金が大きな特徴。 Q:彫金というと、普通は金銀銅などの柔らかい金属にすると思うのですが、鉄は固いと思うのですが。
2016-03-14 23:22:04鋼なので固いには違いない。しかし、日本刀は「折れず曲がらず」。固くもあり柔らかくもある。焼きが入っている部分(刃の部分)は引き締まって固いが、地金の部分は少し柔らかいので、彫ることができます。ただ、やはり細かい作業は難しい。
2016-03-14 23:23:41貞伸氏は基本的な図形である梅などの花、梵字などの彫金を現在はやっている。花などのふわりとした肉付きの表現などが、龍のうろこの表現などにつながる。
2016-03-14 23:25:58Q:彫刻の元になる絵作りの修行などもするのでしょうか? A:月山の図柄が代々伝わっている。梅龍(梅の木に龍が巻き付いたもの)など先祖の作品を参考に、実際の梅とかみて想像を膨らませることはあるが、月山の彫刻だなという特徴はあるのでみれば分かる。
2016-03-14 23:29:522/14の前回対談では作刀の工程のお話をきいたが、その時深谷氏が気になった点いくつかを質問。 Q:炉の温度って何度くらい? A:いろんな工程があるが、鍛錬の際の鋼の温度は1200~1300度。この温度でないと折り返した鉄が鍛着しない。赤めて伸ばす工程は700~800度(続く)
2016-03-14 23:33:33熱いしやけどもする。最初の頃は大変だけど慣れてくるもの。師匠の言葉「火から逃げては仕事ができない。火に向かっていくつもりでやれ」というのがある。でも夏はやばい(とメモに書いてあった)ので、冬を中心に仕事をやります。
2016-03-14 23:35:18Q:鉄がすごく光るし、火花も散るが、溶接作業のように目を防護したりしないのか。 A:火花が散るときにメガネをすることはあるが、僕はしません。鍛錬の時の火の様子、焼入れの色などを見るのは大事なので、やはり極力目でみる。
2016-03-14 23:37:47Q:修行について。弟子が「相槌を打つ」が、師匠が合図とか出しているようには見えないが? A:師匠について最初は目でみて、自分でやるが、もちろん1、2回ではできないので経験。槌は重さ6~7kgあり、これを鋼に当てること自体が難しい。(続く)
2016-03-14 23:41:09師匠の気持ちを汲み取って、師匠の呼吸に合わせて打つ。ぐっと押し込むor回数多く叩くとか師匠の気持ちをみて取るのが難しい。1~2年生活して師匠の気持ちが分かるようになって、相槌を打てるようになる。
2016-03-14 23:43:36Q:修行の期間は? A:今は刀工は文化庁の承認制度なので、刀工の下での5年以上の修行+1年に一回ある実技をパスすると一応刀工としてはOK。だが「美術刀剣」の世界なので、ちゃんと美術刀剣と言える作品を作れるようになるには7~8年かかるので、それから一人立ちできる。
2016-03-15 21:06:39