日本の核燃料サイクル政策に米高官が出した懸念とは?

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Flying Zebra @f_zebra

最近、この手の記事は一次情報を確認しなければ全く信用できなくなってしまった。幸い、米国の上院外交委員会の公聴会はwebでも動画が公開されている。 日本の核燃料サイクル政策、米高官が異例の懸念 : 読売新聞 yomiuri.co.jp/world/20160318…

2016-03-20 13:43:52
リンク YOMIURI ONLINE(読売新聞) 日本の核燃料サイクル政策、米高官が異例の懸念 【ワシントン=小川聡】トーマス・カントリーマン米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)は17日、上院外交委員会の公聴会で、原子力発電所の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す日本の核燃料サイクル政策や中国の同様の計画に対し、「核安全保障と不拡散にとって懸念をもたらす政策だ」と述べ、計画を停止することが望ましいとの考えを示した。
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3/17の核外交に関する公聴会はこちら。全部で2時間半ほどだが、日本の国会中継と違ってちゃんと中身のある議論で面白い。予備選から撤退したばかりのマルコ・ルビオ上院議員も出席して質問している。 foreign.senate.gov/hearings/revie…

2016-03-20 13:44:36
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読売の記事にある「全ての国が再処理事業から撤退すれば非常に喜ばしい」というのは確かに言っている(46分あたり)が、その前段にある「理性的でない形で競争が激化」云々というのはインド、パキスタンの軍拡競争についてのコメントで、予想通り記事の内容はかなりねじ曲げられている。

2016-03-20 13:45:24
Flying Zebra @f_zebra

経済性については米国での過去の試みから再処理に経済的優位性がないことが示されており、それはどの国でも同じはず、という事を発言しており、これはカントリーマン氏の持論でこれまでも色んな所で言っている。ただし、個別の国(例えば日本)の状況を具体的に分析して言及しているわけではない。

2016-03-20 13:46:13
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日本と中国の再処理については議員の質問に答えて六ヶ所の再処理施設は当面稼働せず、中国では施設建設の契約すら行われていないことを説明しており(1'31"30くらい)、サミットに向けて「懸念」なり「疑問を呈する」ようなことは何も言っていない。

2016-03-20 13:46:59
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ただし、印・パや朝鮮半島のように軍事対立や核開発疑惑のあるアジア地域において不拡散上の懸念となる核物質を増やすことになる再処理について、アメリカ政府としては支持しないということは明言していて、韓国に対してはアメリカの技術を使った再処理を認めないことも言及している。

2016-03-20 13:47:41
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日本については経済性について話し合い、共通認識を持つことが重要と発言している。直接言及はしていないが、これは濃縮ウランの供給を含めた「共通認識」を意味していると思われ、日本の動機がエネルギー安全保障であることは十分に理解されていると感じた。

2016-03-20 13:48:02