スフィア「Super Noisy Nova」歌詞の音韻的な分析、それから作詞法としての「韻の位置移動」

前回の分析で説明しきれなかった @yaoki_dokidoki の分析用語の補足と、「Super Noisy Nova」について指摘したいことのまとめ。
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料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

また続きをやろうかな。しかしロビーから流れ込んでくるたばこがとてもきつい。無意識に呼吸をほそくせばめてしまう。

2011-02-01 00:16:27
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

前にスフィアの「Super Noisy Nova」についてちゃんと語り切れなかったので、そこからはじめてみようかな。

2011-02-01 00:33:28
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

この曲も畑亜貴さんの作詞なんだけど、だから聞いたというよりは、声とかになんとなくアンテナに引っかかった。そして、ひょっとしたら「もってけ!セーラーふく」や「今までのあらすじ」よりも、注目する箇所が選びづらい。

2011-02-01 00:36:42
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

というのも、ふつうに聞いてたらふつうの人が作ったふつうの歌詞に聞こえるからだ。

2011-02-01 00:38:23
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

これがなぜ僕の頭に張り付いて染み着いてだんだんと気になったのか、それについて語るのは、難しいかもしれないけど、せっかくだから考えてみる。

2011-02-01 00:39:18
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

率直に好きなところを抜き出すと、Bメロの「みんなもっと素直になれそうでなれない 子供時代の心 呼んでみるかな」というところだ。

2011-02-01 00:40:49
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

いちおうせっかくだから音韻的に分析すると、そんなに難しくないんだ。

2011-02-01 00:42:08
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「みんなもっと素直になれそうでなれない 子供時代の心 呼んでみるかな」ここにはナの音がたくさん入ってるから、とりあえずナの音に注目すればよい。「みんナもっと:すナおに:ナれそうで:ナれナい」ですね。

2011-02-01 00:44:09
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「みんナもっと:すナおに:ナれそうで:ナれナい」で、それぞれ文節の何番目にナの音がきているかに注目すると、「3番目:2番目:1番目:1番目と2番目」というふうになっている。つまり、ナの音の「位置移動」が行われていて、ナによる押韻が隠蔽されている。これが心地よさを担保してる。

2011-02-01 00:48:06
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

ちなみに、単純な押韻の例を挙げておく。音数と位置が一致している押韻は「なすびなので何故か名前ないよ」が3音ずつ。「なすびの名前を眺めてなだめる」とかは4音ずつ。同じ音数のくりかえしは音楽の用語でいうと「生硬」な印象になってしまう。鮮やかさに欠ける。

2011-02-01 00:52:46
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

今話がずれてますよ。説明の補足中なのです。これを鮮やかで軽やかにするには、音数をいじればよい。「なすび眺めてなのはを撫でる」→「3音:4音:4音:3音」こっちのほうが音楽的になる。

2011-02-01 00:54:40
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「なすび眺めてなのはを撫でる」これは「ナすび:ナがめて:ナのはを:ナでる」という構造で、ナの音の位置に注目すると「1番目:1番目:1番目:1番目」となっている。つまり頭韻を踏みまくっている。聞いた人にはなんか笑えるとかダサい感じに聞こえる。構造がむき出しになっているからだ。

2011-02-01 00:57:05
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

頭韻は日本語の詩や歌詞を考える上では基本的なことなので、馬鹿にしたくなるけど、まじめに考えたほうがいい。頭韻やってる人は素人くさくて馬鹿に見えるけど、それはやっぱり基本中の基本だから馬鹿っぽく見えるだけで。

2011-02-01 01:00:10
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

頭韻ってのが基本的には日本語の歌詞の持ってる「魔法の力」を駆動させていると僕は考えている。

2011-02-01 01:01:24
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

補足2の「位置移動の効果」についてツイートをするよ。

2011-02-01 01:02:41
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

この頭韻の技法から、押韻を隠蔽することで構造を高度化させると「位置移動の効果」を生むことができる。さっきあげたスフィアに戻ると、「みんナもっと:すナおに:ナれそうで:ナれナい」。ナの位置が3番目→2番目→1番目と前によってきて、最後はなんと1番目3番目で2回もパンチを打ってる。

2011-02-01 01:06:43
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「みんナもっと:すナおに:ナれそうで:ナれナい」これを人に聞かせて、「ナで韻を作ってるんですょ」と言っても直感的に理解できるだろうか。これが位置移動による隠蔽の効果ということ。

2011-02-01 01:11:01
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

この程度の技法は、音楽の才能がある人なら、直感的にできるかもしれないし、実際その程度の音に対するアンテナを持ってないとよい歌詞は書けないと思う。でも、僕はこういう仕組みで快感が生まれているんだととらえているし、そう分析することで誰かの作詞によいフィードバックできると考える。

2011-02-01 01:15:44
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「みんなもっと素直になれそうでなれない 子供時代の心呼んでみるかな」あまり鮮やかな事は言えないのだけど、ここではじめの「ミんナ」という言葉と結びの「ミるかナ」という言葉が、頭韻脚韻をしているということは指摘しておく。

2011-02-01 01:21:35
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

繰り返せば、「ミんナもっとすなおになれそうでなれない こどもじだいのこころよんでミるかナ」。ミの音とナの音に注目すればこうなっている。

2011-02-01 01:25:43
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

だからなんなのか、というとこの曲についてこれ以上語るのは難しい。もしかしたらそんなに凝った作りではないのかもしれない。それよりも昨日から一日気になっていることを指摘しておきたい。

2011-02-01 01:27:39
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「Super Noisy Nova」この曲にはとても繰り返しが多いと僕は思う。それは、もしかしたら畑亜貴さんがこのアニメのタイトル「宙のまにまに」の「マニマニ」という音にインスピレーションを感じたからなのかもしれないが、すごくしつこく繰り返しがでてきていると思う。

2011-02-01 01:29:57
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

だからこの歌は音韻や意味よりも、この繰り返しに一番意味があるように僕には思える。

2011-02-01 01:31:19