IS-3の対弾試験について。車体前面上部を自分の122mmで撃つと正面で200m以内から、斜め40度からなら900m以内で抜けるという結果があります。実際撃ってみたらそうなったのだから仕方ないのですが、しかし直感的なんとも不思議な、「ありそうもない」と思えてしまう結果なんですわね
2016-03-30 20:14:12IS-3の車体前面上部装甲は59度傾斜で、さらに進行方向に対して40度左右に傾いてる。つまり斜め40度から撃っても59度傾斜で見かけ厚214mm、真正面からでは67度相当で、見かけ280mmにもなるのです。なのに貫通力170mm程度しかない筈の122mm砲で抜けちゃう。フシギ!
2016-03-30 20:19:03なんでこういう事になるかってえと、傾斜装甲は見かけ厚の通りには機能しないって事なんだろうなあ、という訳なのです。滑ったり弾いたり、逆に屈折めいて食い込だりで弾の進路が変わるってのもありましょうが、それ以外にもなんかありますわよね
2016-03-30 20:21:23滑りや屈折は無視するとして、傾斜装甲の見かけ厚の効果は大抵こんな風に図説されます。実際その通りでありましょう……が、こう言っていいのは、直径が0の理想砲弾か、APFSDSめいて装甲厚に比べて極端に細い弾でのお話よなと思いまして pic.twitter.com/3ZTGviKifF
2016-03-30 20:25:50@FHSWman 計算上抜けないはずのが抜かれる例w upload.wikimedia.org/wikipedia/comm…
2016-03-30 20:28:25ええと、つまりそういうお話で、現実の徹甲弾には無視できない直径がありますわよね。例えば装甲厚と同じ径の弾で、弾頭の一部でも装甲の反対に顔を出すまでにどれだけ食い込まないといけないかって考えてみると……見かけ厚通りでは無い感じで pic.twitter.com/m8ijyrCRww
2016-03-30 20:32:19とくに徹甲榴弾なんかだと、弾頭全体が向こうに抜けてなきゃ有効じゃないでしょ、とか考える場合もありますが。まあ実際ここまで抜けたら、あとは内面剥離と合わせて装甲裏側のほうが弾け飛んでくれたりするかもだし、少なくとも中に何かしら影響は与えられるでしょう
2016-03-30 20:35:02それと、ここでは簡単のために弾頭の形状を半球型としましたが、実際には蛋形の頭部の方が多いでしょうから、どこまで食い込めば反対から顔を出すかは変わってくる筈。さらに命中に際して弾頭が変形したりとか色々お話はありますので、あくまで中学校理科の問題めいた簡略的なんかです。ご注意を
2016-03-30 20:38:06最初は直径0の理想砲弾と、装甲厚と同じ径の弾だけ見ましたが、更に装甲厚の半分の径の弾を持ち込むとこんな感じ。装甲厚より細い弾は、傾斜装甲にちと不利であるなあとか、それでも理想砲弾とはやっぱり違うんだなあとか、なんか見える気がします pic.twitter.com/Lr4Xrf9c6e
2016-03-30 20:42:45ここまではいいんですが、じゃあ装甲厚より弾径のほうが大きくなるとどうなるの……? と考えたところで、FHSWmanの脳がばくはつしたのです
2016-03-30 20:51:29直径0の理想砲弾、装甲厚に対して0.5倍径、そして1倍径の弾とで傾斜装甲の効果がどんどん減っていくとして。では2倍径の弾をぶつけたら傾斜装甲での見かけ厚増加効果はゼロになるのでは? そんな訳あるかバカ! という訳で、こうはなりません pic.twitter.com/tbjfJPiSL5
2016-03-30 20:57:38弾が装甲の裏に顔を出すためにどれだけの体積の装甲を押し退けるかを見てみれば。弾径が増す(あるいは装甲傾斜角度が著しく大きくなる)と、排除する装甲の体積が面倒な事になってきます。図は二次元ですが実際は立体。脳が爆発したので計算はしない pic.twitter.com/0p8Fg1rjYF
2016-03-30 21:02:50ともあれ大直径の弾は傾斜装甲にたぶん有利で、しかし弾径を増したとて傾斜装甲の恩恵は下がれどもゼロにはならんような気がする……とまあ、そんなわけなのです
2016-03-30 21:06:11数学的なんかが壊滅的なので、どうにも怪しげなお話であるのは留意されたく。あるいは数学に自身マンはこっそり教えてくれるか、指差して笑うかしてください
2016-03-30 21:07:58そしてIS-3の車体前面装甲に戻りますと。200mから撃った122mm砲弾は推定で垂直装甲を164mmくらい抜きます。てことは122mm加農に対しては、IS-3の車体前面装甲は見かけ厚通りの230mmでなく、164mm相当の防御力になってるぽいという訳なのです。大口径の強みがある
2016-03-30 21:13:59他方で王虎の8.8cm KwK43に対しては、IS-3の前面上部は100m以遠では抜かれてない。KwK43は100mで垂直装甲220mm抜く事になっておるので、これに対しては220mm相当の以上の防御力という事に。装甲厚より細い弾・太い弾とで、結果が全然違うんですね
2016-03-30 21:21:08@FHSWman 堀川先生は斜めに使う装甲は伸びる材質じゃないと割られるって仰ってました(先に貼ったぶち割られたタイガーの天蓋のように)こういうモードだと大口径は圧倒的に強くなりそうですね
2016-03-30 20:48:15@sudo_simoigusa 傾斜の下側というか先に砲弾に触れる側というか、そこが砲弾に引っ張られるような力がかかりそうなイメージがします。そして一旦割れたらそこから伝播してしまいそうで
2016-03-30 21:27:18弾径/板厚を考えると、豹の前面装甲が122mmに2000mだの相当遠くから抜かれちゃうのも納得で。80mm55度傾斜は見かけ厚140mm、弾く滑るを考えて160mm相当を期待したくなる。これなら122mmでも至近距離でないと抜けないような気がしちゃうけど、そうは行かんのですね
2016-03-30 21:35:19他方で、垂直装甲に対してだけを見ると赤軍122mmといい勝負な気がするパーシングの90mmは、豹の車体前面を1000m以内でないと抜けない事になってる。こっちも弾径が装甲厚より大きいとはいえ割合近いので、傾斜装甲の恩恵があんまり殺されておらんのでしょう
2016-03-30 21:39:31こういう話は他にもありまして。例えばIS-4の側面装甲厚は160mmの30度傾斜として知られておりますが、実は試作車№3で120mmの50度ってのも試されてました。見かけ厚は185対187mmで後者の方が僅かに勝る。でも射撃試験では前者のほうが強固で、結果こちらが採用されたのです
2016-03-30 21:45:01