村上部長⑨【プロポーズ】

村上部長シリーズ第9話 プロポーズ編
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クラゲの秘密のお部屋 @04_kurage

【プロポーズ sideS ①】 『はぁ…』 時計と書類の山を見つめて もう何度目かわからないくらいのため息をつく “どないしてん。ゴリラおらんからええけどおったらお前シバかれるぞ” 『す、すみません…課長…これ、残業ですよね…』 “ん?せやなーそれは今から全部は無理やな”

2016-04-02 23:28:59
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【プロポーズ sideS ②】 『はぁー…』 また盛大なため息が出る どう頑張っても定時には無理なのか… 『私今日誕生日なんですけど…』 “お、そうなんか” ククッと笑った渋谷課長 “おめでとうさん。ええ誕生日プレゼントやなー。あいつらしい”

2016-04-02 23:29:01
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【プロポーズ sideS ③】 何て言って笑ってる 仕事の山を置いてった張本人は 出先から直帰とホワイトボードに示してて 帰ったら絶対口利かないんだ 何て思った 忘れてる筈はない だって昨夜0時ぴったりに 「おめでとう」 って言ってくれたし…

2016-04-02 23:29:03
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【プロポーズ sideS ④】 だけど今日どうするのかとか全然聞いてないし… あれだけ? プレゼントとか… ちょっと期待した私って… あっという間に時間は過ぎてって やっぱりもう少しが終わらない… “頑張れよー” って渋谷課長を始め 丸山さんも大倉さんも帰ってく

2016-04-02 23:29:05
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【プロポーズ sideS ⑤】 先輩が “ちょっと手伝おうか?” って言ってくれたけど “余計な事せんのー!ほら帰るで” って大倉さんが連れてっちゃった あの2人ちょっと怪しいって思ってる 先日の大倉さんの誕生日あたりから でも聞けないし 自分も知られてないし…

2016-04-02 23:29:07
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【プロポーズ sideS ⑥】 1人っきりになって とりあえず1時間… そう思って頑張ってみる その時 ガチャリと開いた扉 『え…?なんですか…?』 部長が現れる はっ、口利かないんだった 思い出してパソコンに向かう 「おい。帰るで」 『……』

2016-04-02 23:29:10
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【プロポーズ sideS ⑦】 「何?お前…いじけてるんか?」 ハハッて部長が笑う 「今日はここまでや。帰るで」 後ろから保存して ささっとパソコンを切る 『まっ、まだ仕事終わってません…』 「それ、今日やなくてもええやつやわ」 『今日中って…』

2016-04-02 23:29:11
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【プロポーズ sideS ⑧】 「そんなん、ここに1人残す口実や」 してやったりの部長の顔が悔しい 『直帰って…』 「帰ったのは帰ったで。迎えに来ただけや」 くるっと椅子ごと回されて 帰る準備をさせられる 「よし、行こか。あ、その前に」 ちゅっと触れた唇

2016-04-02 23:29:13
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【プロポーズ sideS ⑨】 「今日は外食な」 そう言った部長が先に歩いて行く 全てが部長の作戦でも ちゃんと考えててくれてるってわかったら そこからニタニタが止まらない さっきまで口利かない何て思ってたのに これだけで解消されちゃうなんて 私は何て単純なんだ

2016-04-02 23:29:15
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【プロポーズ sideM ①⓪】 久しぶりに外食をする 彼女の誕生日やし 特別な所とかも考えたけど やっぱりいつも通りがええかなって思って でもちゃんと思い出の場所 『ここ久しぶりですね』 「まぁな。ちゃんと思い出の場所やろ?」 初めて来た時の事を思い出す

2016-04-04 00:03:31
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【プロポーズ sideM ①①】 あの時、きっと俺は彼女の事を好きになったんやと思う 『思い出したくない事もありますけど…』 「あー。そういえばプレゼンの後にお前励ますために来たんやもんなー」 『い、意地悪…』 「この前のやって…」 『あー!もう!聞きたくないー!』

2016-04-04 00:03:33
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【プロポーズ sideM ①②】 たわいもない事で笑える様になるなんてな ほろ酔いの彼女と手をつないで歩く 「飲みすぎやて」 『だって誕生日だったから…』 ええねんけど 俺は全然酔われへんし 彼女酔ってて 全てが水の泡になるんも嫌で こないに緊張するんいつ以来やろか

2016-04-04 00:03:35
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【プロポーズ sideM ①③】 プレゼントはさっきお店で渡した 彼女の好きなブランドの財布 だからきっと もうこれで終わりって思ってるはず 『信五さん早くー』 鍵開けるのに手が震えて上手いこと鍵入らへんくて彼女に後ろから急かされる そんなん俺らしくないわ

2016-04-04 00:03:37
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【プロポーズ sideM ①④】 深呼吸して中に入る リビングの入り口開けて 電気をつける… 『うわぁー!』 予想以上の大きいリアクションをする彼女 ダイニングテーブルの上は 真っ赤な薔薇の花束を生けた花瓶とキャンドルで飾った 「ちょい座って?」

2016-04-04 00:03:39
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【プロポーズ sideS ①⑤】 え? 何? 飾られたダイニングテーブルに驚いていると 「ちょい座って?」 って信五さんが椅子を引いてくれる 明かりを消して キャンドルを灯しす信五さん 「ちょっと待っててな」 ってキッチンに向かう信五さん

2016-04-05 00:08:24
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【プロポーズ sideS ①⑥】 しばらくして 信五さんが戻ってくる その手には大きなイチゴがたっぷのったケーキ 数字のろうそくがたってて プレートも… 『信五さん…』 「イチゴがいっぱいのやつがええって俺の時言ってたしな」 ケーキをそっと置いて 向こう側に座る信五さん

2016-04-05 00:08:26
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【プロポーズ sideS ①⑦】 『消してもいいですか?』 「ちょっと待って?」 ポケットから出された箱 『あ、あのっ…』 「誕生日おめでとう。お前が生まれてきてくれた事、お前と出会えた事にめっちゃ感謝してる。これから先、来年も再来年も毎年俺にお祝いさしてくれんか?」

2016-04-05 00:08:27
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【プロポーズ sideS ①⑧】 そっと箱が開いたら キラキラ光る指輪をがあって 『信五さん…』 「もしええならろうそく消して?」 そんなの… 『ふーーっ。』 ふふって笑った信五さん 『そんなの、いいに決まってます』 「取り消しはなしやで?」

2016-04-05 00:08:29
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【プロポーズ sideS ①⑨】 「ほな、はい」 左手の薬指にはめられた指輪 『信五さんズルいです』 サイズ いつ調べたんだろう 「大事にするから」 気付いたら隣に信五さんがいて 抱きしめられてる 『もう幸せです』 「アホか。まだこれからやで」

2016-04-05 00:08:36
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【プロポーズ sideS ②⓪】 大好きな信五さん ずっと一緒にいつまでもって いつかはって思っていたけど いつかはまだ先だと思ってた してやったりの顔の信五さん 長い長いキスをして ケーキは翌朝になっちゃったけど すごく美味しかった 最高の誕生日の1日

2016-04-05 00:08:38