「エジプト『民主化』」についての政治学講座

富崎隆氏(駒澤大学教授)による「エジプト『民主化』」についての解説。 Twitter熱中教室。
10
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

エジプト「民主化」運動情勢。約1週間になる。エジプトはイスラム・アラブ世界の大国であり、その政治体制の行方が今後の世界情勢に大きく影響を与えることは明らかだ。

2011-02-02 06:46:55
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)この件で、ちょっと連続tweet。

2011-02-02 06:49:17
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。一般的に「民主化」は、様々な意味で望ましいものであるといってよい。ただし、今回のケース、「民主化」勢力の中にイスラム原理主義が有力な一角を占めるという点で、やや複雑な様相をもつ。

2011-02-02 06:50:37
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。ムスリム同胞団といったイスラム原理主義勢力やアルカイダ系勢力は、議会選挙での議席獲得と共に、暴力による権力奪取を真剣に諮っていることは間違いない。それは、彼らにとって悪行ではない。しばしば公けにされる、彼らの政治方針だ。

2011-02-02 06:53:20
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。原理主義勢力の立場は、イデオロギーは異なっても、ヒトラーのナチス党や、レーニンの共産党が、それぞれワイマール期や帝政ロシア末期に、暴力による権力奪取を謀っていたことと基本的な違いはない。ヒトラーとレーニンは、権力奪取を成功させた。

2011-02-02 06:59:36
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)なお、彼らは、民主的手続きを経た場合であれ、一旦権力を獲得した後は、通常反対派の政治的自由を非合法化し、抑圧する。それは彼らが公けにする「望ましい」政治体制だ。その意味で、当然のことながら、自由民主主義的価値観の「敵」といってよい。

2011-02-02 07:00:37
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。難しいのは、民主化の過程で、広い意味で人々自身、あるいは人々の多数派が、たとえ一時的にでも、民主主義・自由主義を否定する指導層(つまり自分達を再び抑圧する指導層)を、選択することがあり得るという点である。

2011-02-02 07:01:51
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)ナチスやソ連、そしてイラン革命もまた、その例証である。その結果の悲劇性は、誰もが知るところだ。

2011-02-02 07:03:16
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。そして、従来情勢から判断すると、原理主義勢力の権力奪取は、決して絵空事ではない。その結果は、アメリカや日本を含む自由世界にとっては明らかに、また一般的国際社会にとってもほぼ確実に、国際政治上は穏健派であったムバラク政権より「悪い」ものとなるだろう。

2011-02-02 07:05:36
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。また、「個人の政治的・経済的自由と権利」の擁護という観点からみても、原理主義政権が、ムバラク体制より抑圧的になるであろうことは、ほとんど自明であると考えられる。難しいですね。

2011-02-02 07:07:00
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。よって、今回のケース、もちろん原則的にエジプト国民自身が「決定」していくものであることはいうまでもないが、旧ソ連や東欧、中国やミャンマーの民主化運動を「応援」するのとは、異なるものとならざるを得ない。米欧首脳の発言にも、それは表れている。

2011-02-02 07:08:32
Tomisaki Takashi @tomi_polisci

(続)エジプト「民主化」情勢。今後の情勢はもちろん流動的だが、新憲法作成の段階で、個人の人権保障と、司法権の宗教的・政治的独立、なによりも穏健な形でも「政教分離」規定を明確化できるか、そこにエジプト「民主化」の実現と定着化の成否が掛かることとなるだろう。

2011-02-02 07:09:55