「病理医ヤンデル先生」が語る、病理診断の現場に「知性の頭数」が必要な理由

ドラマ「フラジャイル」で知名度が上がった病理医という職業。その仕事の内容と必要性について、「病理医ヤンデル先生」がツイートしてくれています。
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病理医ヤンデル @Dr_yandel

ボスのひと言で「あっ……!」と気づいて、それまで見えていなかった「組織像」が一気に目に飛び込んできて、「病理診断名」がどんどん頭に浮かんでくる時、まず思うことは「誤診しなくてよかった」とか「ボスに教えてもらえて良かった」という安心とか尊敬よりも「自分で気づけなかった」悔しさである

2016-04-06 14:25:16
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医が「気づかない」場合、その病変や診断名は闇の中に埋もれてしまう。二度と発掘できないことが多い(後日、臨床的動態があまりに違う事で臨床医が間違いを指摘してくることもあると聞くが、これは氷山の一角だと思われる)。

2016-04-06 14:29:23
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医の言う事が100%正しいわけではない。よく講演などで言うのだが、たとえば「血流ダイナミズム」は病理ではほとんど評価できないので、血流の変化こそが病態と関連する肝腫瘍などは病理組織所見よりも造影CT, MRI像のほうが正診に近いことすらある。

2016-04-06 14:30:13
病理医ヤンデル @Dr_yandel

それをわかった上であえて言うが、「病理が間違うと、100%診療が間違った方向に行く」のである。その間違いは必ずしも患者の命や生活に直結しない場合が多いが、長い目でみると医療の精度を損なう原因となる。病理の言葉は、負の意味では「絶対」なのだ

2016-04-06 14:31:47
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理のミスリードを防ぐにはどうしたらいいかというと、一つには臨床各科との連携・コミュニケーションであり、自分の専門を超えた勉強をしていく姿勢であり、さらに「病理医同士がチェックをかけあう」ことが重要。病理医が各病院に1人いればいいほうだと言われているほど少ない現状は論外である

2016-04-06 14:34:03
病理医ヤンデル @Dr_yandel

「どの科も医者が足りないんだし、病理だって足りないのが当然」とは思わない。診断・治療・維持の三本柱を維持する上で、診断学の根幹を精度管理するのが病理である以上、病理にはもっと「知性の頭数」が必要だと思う。「フラジャイル」で知名度が上がったことがなによりありがたい。増えて欲しい

2016-04-06 14:36:33