SCPとインセインとCCL:財団側から

「インセインSCP」のCCライセンス問題について、「SCP財団日本語版」管理者の方の見解をまとめました。
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Holy@三国技師 @holy_mikuni

話題になっているインセインSCPの話について。 現状の何が問題かといえば、最初に提起された「本来議論しなきゃいけないこと」(CCのことをよく知らないままインセインSCPの二次創作を発表した時に問題にならないか)が蔑ろにされて、本筋とはズレたところで騒動になっちゃってる点です。

2016-04-07 18:25:10
Holy@三国技師 @holy_mikuni

幾つかの誤解について。 1. 冒険企画局はSCP財団のコミュニティのルールを蔑ろにしているのではないか →少なくとも、そのような意図での発言は見受けられない。CCの認識について迂闊な発言(議論する余地がある認識)をしたとは感じたが、我々のコミュニティに対する悪意は見られない

2016-04-07 18:30:10
Holy@三国技師 @holy_mikuni

ただこの結果として、「冒険企画局の権利関係の認識に対する不信感を持つ層」から大きな反発が生まれてしまった。 実のところ、この「不信感」は経緯から仕方ない面もある、という程度には理解はしている。が、結果として「問題に対する誤解」を広める一要因になってしまったと認識している。

2016-04-07 18:36:15
Holy@三国技師 @holy_mikuni

2. SCP財団はその世界観設定に異物が混じることを危惧しているのではないか? →これはもう「根も葉もない誤解」だと断言する。確かに「サイト内では」作品に一定のクオリティを要求するのは事実で、これが「厳しく」見えた要因だと思われるが、実は世界観に関してはかなり「緩い」。

2016-04-07 18:42:52
Holy@三国技師 @holy_mikuni

恐らく……問題の実態が見えないまま拡散し、「改変」という単語が見えたことで生まれた誤解だと思われる。 が、SCP財団という世界観は「財団らしさ」という極めて曖昧な軸と幾つかの根幹設定を除けば、「統一された唯一の世界観」というものを持たないという奇妙な構造をもっている。

2016-04-07 18:45:22
Holy@三国技師 @holy_mikuni

例えば「同じサイト内」での話でさえ、ある「SCP」が存在しないという設定で書いた記事や、同じSCPに対して矛盾する設定を採用している記事というものもある。果ては「もし財団が存在しなかったら」という設定で書かれた一群の記事すらある。 まして外の二次創作になんの制限をかけるというか

2016-04-07 18:48:33
Holy@三国技師 @holy_mikuni

ただ振り返ってみれば……確かに外から見て「とても分かり辛い」感覚ではある。 「サイト内で」「無意味に」財団らしくない記事は実際低評価を受けてそのまま削除されてしまうからだ。 ただしこれは、「サイト内の品質を保つルール」でしかないし、これを外に適用する気は全くない

2016-04-07 18:53:56
Holy@三国技師 @holy_mikuni

誤解と問題は以上の2点、それに加え「それらばかりが騒ぎになって、提起された大元の問題に対する『建設的な議論』が阻害されている」という点も含めると3点。 以上が自分が考える、この騒動が抱えている問題点です。

2016-04-07 18:58:49
Holy@三国技師 @holy_mikuni

では、肝心の大元、「インセインSCPを基にした二次創作が、クリエイティブコモンズを知らないままに作られたらどうなってしまうか」ですが ……残念ですが、現時点では「断言できるような統一見解はない」です。 何故なら元より日本の著作権運用には曖昧さが大きいからです。

2016-04-07 19:07:31
Holy@三国技師 @holy_mikuni

だからこそ、「これからどうするべきか」 「どういう風に解釈するのがよいか」 「クリエイティブ・コモンズはどのようなもので、どんな問題点があるか」 「お互いのコミュニティにとってよい落としどころは何処か」 という点を、考えていかなければならないのです。

2016-04-07 19:08:36
Holy@三国技師 @holy_mikuni

少なくとも、我々「SCP財団日本語版」も、そして本家本元「SCP Foundation」も、「自由に創作してもらいたいから」クリエイティブ・コモンズを利用しています。 クリエイティブ・コモンズ本来の理念もそのはずです。

2016-04-07 19:12:44
Holy@三国技師 @holy_mikuni

まず我々が出来ることは、クリエイティブ・コモンズを少しでも周知して理解を深めることです。 残念ですが、現状の当サイトのガイドラインは内容が古いままになってます。 (非公式翻訳Wiki側には本家の翻訳は掲載されてます) scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%A9…

2016-04-07 19:17:15
Holy@三国技師 @holy_mikuni

「今すぐ答えが出ないこと」について、不安を覚える方も多いと思います。自分も不安がないと言えば嘘になります。 ただ、当サイトでもライセンスガイドを更新しようという話は今動いています。我々が出来るのは、今出来る最良の選択をしていくことだけです。

2016-04-07 19:19:16
Holy@三国技師 @holy_mikuni

現時点で、SCP財団日本語版管理者として表明出来ることは以上となります。 長々とTLを占拠して申し訳ございませんでした。 これですぐ騒動が収束するわけもないですし、解決には(本題の議論も含め)長い道のりが必要でしょうが、もし出来ましたら協力して頂けると本当に助かります。

2016-04-07 19:25:59
Holy@三国技師 @holy_mikuni

CCLの認知というか誤解を解くための例題をちょっと考えてみた。

2016-04-08 00:48:45
Holy@三国技師 @holy_mikuni

例題)CC BY-SAライセンスで公開されている著作物αがある。 この時、二次創作者AはCCLについて知らないまま、αの二次創作物α'を作った。当然、Aは二次創作物α'にライセンスの表記をしていない。 (続く)

2016-04-08 00:49:35
Holy@三国技師 @holy_mikuni

これを見た第三者Bは、「継承がある以上、二次創作物α'はCC BY-SAライセンス下で公開したものと見做される」と考え、α'を(CC BY-SAのルールに従って)転載した。 さて、Bの主張は認められるだろうか?

2016-04-08 00:49:51
Holy@三国技師 @holy_mikuni

自分の考え)これはNo。 AがCCLを破ってCCLライセンスを付けずに二次創作物を公開したのは事実だが、これはつまり「著作物αを利用するための条件を無視した状態」である。 (続く)

2016-04-08 00:58:58
Holy@三国技師 @holy_mikuni

承前)この状況に対し、「著作物αの権利者」は是正を求めることができる。つまり、CC BY-SAに従って公開させるか、削除を要求することもできる。 しかしBにそのような権利はないし、ましてや「CC BY-SAライセンスで公開されていることにする」ことはαの権利者にすらできない。

2016-04-08 01:00:16
Holy@三国技師 @holy_mikuni

承前)CC BY-SAライセンスで「公開されなくてはいけない」ものがそうなっていないからといって、「自動的にCC BY-SAライセンス下で公開されたことになる」わけではない。 間違った状態のものであろうと、何をしてもよいわけではない。

2016-04-08 01:01:43
Holy@三国技師 @holy_mikuni

で、次が問題。 例題2)CC BY-SAライセンスで公開されている著作物αがある。 この時、二次創作者AはCCLを正しく理解し、αの二次創作物α'をCC BY-SAライセンス下で公開した。当然、ライセンスの表記もされている。 (続く)

2016-04-08 01:09:24
Holy@三国技師 @holy_mikuni

承前)これを見た二次創作者BはCCLについて正しく理解しておらず、『αとα'の二つを組み合わせて』二次創作物βを作り公開した。 当然、ライセンス表記はされていない。 これに対して、二次創作者Aは「問題視しない」と明言した。 さて、この場合どのような問題が起こるか?

2016-04-08 01:11:29
Holy@三国技師 @holy_mikuni

自分の考え)当然、「αの権利者」はこのβに直接口出し出来る。前提として『αとα'の二つを組み合わせて』いるから、これをライセンス違反として、ライセンスに従って再公開させたり、公開を停止させることは出来る。

2016-04-08 01:23:48
Holy@三国技師 @holy_mikuni

……ごめん、『本当の問題』は次だった。 例題2’) では、例題2)の状況で、二次創作者Bが作ったのが『二次創作物α'を元にしているが、元の元にあたるαの要素は綺麗さっぱり取り除いた』二次創作物β' だったとしたら、例題2)の状況はどう変わるか?

2016-04-08 01:30:31
Holy@三国技師 @holy_mikuni

自分の考え)……ここに至って問題が複雑化する。「αの権利者」が口を出せるかどうかは、CCLでは規定されていない。 そして著作権法上でもこのような特殊な状況に対する特別な答えというものはない。 (続く)

2016-04-08 01:42:00