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SCPとインセインとCreativeCommons: 情報社会論の側面から

「インセインSCP」に絡むCCライセンス問題について、主にCCの成り立ちやTRPGとオープンライセンスの関係史などを。
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tricken @tricken

めずらしくRPG関係の話をするよ。今日はRPGとライセンスの関係、について、自分が知っている断片的なことの解説。一般向けというより、一緒に遊んでいる友達にまず向けたものということでお読みください。

2016-04-06 11:03:08
tricken @tricken

(珍しくRPG関係の話をする、というのは、replyでない形で、ということです。replyでは結構話しています。)さて、2016年03月に、冒険企画局から『インセインSCP』というルールが出ました。これは2013年に出た『インセイン』というホラー系RPGシステムの追加ルールです。

2016-04-06 11:05:14
tricken @tricken

ところでこれ、(国内では結構先駆的な例として、)Creative Commons License(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)という内容でのライセンス管理がなされています。この扱いというのは、幾つかの側面から面倒な点が多く、実際に遵守するのにコツが要りそうです。

2016-04-06 11:06:46
tricken @tricken

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、2000年代から少しずつ動きの始まった、既存の著作権に対する代替案的な運動のことです。公的な説明は日本語公式サイトにあります。creativecommons.jp/licenses/

2016-04-06 11:08:10
tricken @tricken

ただ、これだけ読んでも結構むずかしいのですよね。特に、「SA」、Share-Alikeという発想の出自が非常に難しいです。他の「BY」「NC」「ND」は、ひとつひとつ見ていけば非常にわかりやすいのですが、インセインSCPは「BY-SA」だから、難しい方に属します。

2016-04-06 11:09:37
tricken @tricken

ではなぜインセインSCPがCreative Commons License 3.0 BY-SA (これは「CCL」「3.0」「BY-SA」の3点に分けて順に理解をしたほうがよいです)を採用しているかというと、元ネタのSCPというある種集合知的な創作Webサイトに起因しています。

2016-04-06 11:12:35
tricken @tricken

元のSCPサイトが、CCL3.0(BY-SA)を採用しているから、『インセインSCP』も、商用利用の上ではCCL 3.0 (BY-SA)を採用しています。(BY-SAであれば、原著作者に対して何の報告もなく、単にBY-SAの基準を守ることで商用展開が可能なので、守るわけです)

2016-04-06 11:16:33
tricken @tricken

この点については、冒険企画局の近藤功司さんが昨日からTwitter上で補足解説をしてくださっています。この解説も、まとまっていくといいですね。twitter.com/kondoukoushi/s…

2016-04-06 11:18:11
tricken @tricken

@htr_roll ポイントは、「文章のライセンス」と「画像・イラスト・写真のライセンス」が個別にあって、それはそれぞれ著作者表示をしないとNG、ということですね。映画のクレジットを全部書くような作業を乗り越えることがCCLでは想定されてます。

2016-04-06 11:19:59
tricken @tricken

ただ、近藤さんの(少なくとも今朝までの)記述は、CCL(とそれによって成り立つコミュニティ)全体に関する話であって、BY-SAの話それ自体では(まだ)ないんですよね。

2016-04-06 11:21:18
tricken @tricken

それについては、どどんとふ開発者の竹流さんが、「CCLのBY-SAはBSD寄りなのかGNU寄りなのか」という話をされていました。twitter.com/torgtaitai/sta…

2016-04-06 11:22:04
tricken @tricken

ここで竹流さんがおっしゃっている「GNU」や「BSD」というのは、IT(特にプログラミングにおけるソースコードを扱う)業界では、1980年代ころから重要な発想になっているものの2つです。そして、Creative Commons Licenseもこの思想の末裔です。

2016-04-06 11:23:17
tricken @tricken

そして、このGNUとBSDの違いというのは、20世紀中盤以降に作られた「UNIX」系OSの「ソースコード」に関する思想的潮流なんですよね。プログラミングにおいては、作られたソースコードが「(商用/非商用問わず)二次利用」可能であるかどうかがポイントになります。

2016-04-06 11:25:49
tricken @tricken

もちろん、GNUとBSDはCreative Commons と“直接の”関係性はないので、とりあえず著作権思想史の1ノードとして捉えるのがいいと思うのですが、この中で、GNUの方は、Creative Commons の仕組みを知る上で結構面白いです。

2016-04-06 11:27:16
tricken @tricken

というのは、このGNU(リチャード・ストールマンという、僕達がイメージするスーパーハカーを、風貌面でも実力面でも地で行くようなおじさん)が考えた「コピーレフト」運動の中には、「ウイルス条項」という内容が埋め込まれています。GNUは“感染”するんですね。

2016-04-06 11:28:47
tricken @tricken

何が感染するかというと、ある原著作物を「一次著作物」、あなたがそれを元に造った派生著作物を「二次著作物」とした時、n次(三次以降)の著作物も、「再頒布・再利用・改変」を許さなければならない、という、そういうライセンスになっていたんですね。

2016-04-06 11:30:54
tricken @tricken

だから、GNUライセンスを継承して作られた作品に関して、「この作品は“完全に”俺のもんだ、かってにバイナリファイルにして、後世のひとに読めない/再頒布させない/改造させないようにしてやる!」と思っても、それはダメなんですね。

2016-04-06 11:32:04
tricken @tricken

「どうぞご勝手にどうぞ。ただ、GNUライセンスを適用したソースコードを一行も使ってはダメですよ」ということを、個々のソースコードを書く人が明示できるようにしたのが、元の「コピーレフト運動」と、その具体的ライセンスとしてのGNUです。

2016-04-06 11:33:01
tricken @tricken

まとめると、(1) 「ソースコードの扱い」に関して、ある時期からの個人や組織が(利用/再頒布/改造に関して)独占したいひとは、All Rights Reserved を宣言すればよい。(コピーライト)。

2016-04-06 11:34:39
tricken @tricken

これは、普通の各国著作権法が保証してくれるCopyrightです。対して、1980年代に、(2)「ソースコードの扱い」に関して、(利用/再頒布/改造に関して)ソースコードに「ウイルス条項」(派生著作物も同じように後世のひとに利用/再頒布/改造を認めますよ、と宣言する)コピーレフト

2016-04-06 11:35:47
tricken @tricken

まず、20世紀後半の著作権思想というのは、(少なくとも、顕在した形では)この伝統的Copyright vs フリーソフトウェア財団の過激な”Copyleft”(造語)の二項対立から出来ました。それより穏健なものとして、BSDライセンスなどの別のUNIXプロジェクトもできましたが。

2016-04-06 11:36:58
tricken @tricken

ともあれ、(その後のLinuxの登場などを省いて)2000年代に、こうしたIT,プログラミング業界で先行して起きていた「n次利用、n次再頒布、n次改造」に関する、GNU的ウイルス条項を含めた著作権制御の思想と、その具体的な実装とをつくってみようじゃないか、という人が出てきました。

2016-04-06 11:38:51
tricken @tricken

それを主導した人の一人が、アメリカの憲法学者で、2000年代は情報社会論の論客みたいな役割も演じたローレンス・レッシグです。ソースコードの世界だけで(結構過激に)起きていた新しい著作権思想運動を、文章、イラスト、写真、音楽、動画などにも宣言できるようなWeb上の法整備を整えました

2016-04-06 11:40:08
tricken @tricken

その結果として、Creative Commons という団体、および、その団体のWebサイトなどを通じて取得&宣言できる、Creative Commons License ができました。これは初期は1.0で、日本では暫く2.1が流通していましたが、いまはCCL4.0が最新版です。

2016-04-06 11:41:50
tricken @tricken

Creative Commonsは、”Some Rights Reserved.”が合言葉です。「商用でも、名前さえクレジットしてくれたら利用していいよ」を中心に、「非商用なら利用していいよ」「改変禁止なら利用してもいいよ」などを著者が選択して、選べるようになっています。

2016-04-06 11:43:09
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コメント

ひろ@猫もふ欠乏症 @hiro_h 2016年4月8日
プラネックスは、今でもソースコードをDLできるようにしてるよね。CC-BY-SAな話からも、参考にできる先行事例がいくつかあると思う。
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ナスカ(Nazka) @Chiether 2016年4月8日
ちゃんと成立経緯の概要まで書いてあって、なかなかgoodな説明まとめだった。
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狼吼 @wolf_howling 2016年4月9日
CCLを『Web上の法整備』って表記はどんなもんかねえ。あくまでルールだしP2Pやメールとか厳密にはWebじゃないものでも配布共有できるし
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隆見ヲサム @Beta555 2016年4月9日
ライセンスのからくりはその通り。由来はともかく常識的に、まずSCPや冒険企画局に問い合わせて理屈通りか確かめなければ。ユーザーは実例を共有してケース・バイ・ケースかそうではないかを確かめ、信頼の積み重ねることが大事ですよ。
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