はじめに
発端はこちらの話題
以下、Yash_san(´・ω・`)و さんのコメントを幾つか引用させて頂きます。
文学部いらない論者って、文学部って小説を読むだけのところみたいなイメージを持ってそう。どんな学科があってどんな研究をしているかそもそも知らないんじゃなかろうか。
2016-04-09 11:36:48しかし、そもそもいわゆる「コンテンツ産業」も歴史や文学の研究が土台にあってこそだろうな。文学部を潰したらコンテンツ産業の根っこも枯れてしまうだろう。
2016-04-09 11:41:26三国志はゲーム、小説、映画、漫画、アニメと、様々な分野での創造を喚起して、日本人も恩恵をこうむりまくっているけど、あれも中国史や中国文学の研究があったればこそ。
2016-04-09 11:46:05歴史研究とコンテンツ
何度もネタにして恐縮ですが、歴史研究の成果が取り込まれてコンテンツが生まれていくという話。実際に自分がそんなことを体験すると、不思議な気分にはなりますな。05年に出した自著の内容が小説に取り込まれ、映画にまでなったという話。冲方丁の『天地明察』ですが、端的に、あれはひどかったw
2016-04-09 17:16:05何がひどいかって、一見した時は「へー、よく調べて書いてるなあ」だったのが、幾つかそういう文を見るうちに「あれ?これは俺が書いた文じゃない?」と気が付いて、熟読したらマルパクリの部分が数ヶ所。しかも、文言を9割くらい使っていながら、最後の結論を180度違う内容にされた箇所もありw
2016-04-09 17:21:36自分の本に関しては参考文献に名前が挙がっていたが、さらにひどいのは、結構大事な場面でそのまんま文章をパクリで使った本を参考文献にすら挙げていなかったこと。すごく嫌らしいなあ、と思った。 いやしくも作家を名乗るなら、学生レポートのコピペみたいな恥ずかしいことするなよなあ、と苦言
2016-04-09 17:28:09拙著で使われたのは「蓋安井春海奉命改暦時以関孝和者精算命与其事」という文言の解釈。「この箇所では関孝和が安井(渋川)春海が貞享暦の策定にあたった時に「精算」であった故にそのことに与ったと述べられているが、果たして、この一節はそのような史実を立証しているものであろうか」(拙著)
2016-04-09 17:53:20そんで『天地明察』では「安井家の春海が改暦を行った際、関孝和という者が算術に精しかったため、その使命に与ったのだ、という。だが関は、自分が改暦に協力したとは全く口にせず、ただ春海の功績を誉めた。どんな書にも改暦のことは一語として記しはしなかったし、誰にも記せなかった」となっていた
2016-04-09 17:55:00他にも2、3箇所ありましたが、拙著ではなく他書からの引用・参照としては、渡辺一郎『伊能忠敬の地図を読む』が言及無しでかなり沢山使われていましたね。史実の参照ならともかく、渡辺氏の書いた地の文の方を参照したりとか。いっぱしの作家だったら、もう少し文章ひねれよとは思いましたねw
2016-04-09 17:59:54→ 訂正:書名は『伊能忠敬の地図をよむ』(河出書房新社、2000年)でした
1例だけ。『天地明察』で犬吠埼に着いた渋川春海に言わせたセリフ「やはりこの大地は--地球は丸いのだ」は、渡辺氏の本の写真キャプション「地球の丸く見える丘展望台 犬若岬の北の愛宕山山頂にある。360度の見晴らしができて、まさに地球の丸さが実感できる」から採ったのは明白。以下略
2016-04-09 18:09:56文章を引用しながら正反対のことを言われるは、参照しながら参考文献に明記しないとか、これはちょいとひどいなあという話。(もちろん、参考文献を全く挙げない歴史小説もある。それも一つの立場。しかし『天地明察』の場合は一方で文献を挙げ、もう一方で言及していない文献もあったのがまずい。)
2016-04-09 18:23:30ちなみに。お金に絡む生々しい話で申し訳ないですが、映画『天地明察』は興行収益が9億円ぐらいだったそうです。拙著『近世日本数学史』は出版社経由で刊行助成金、約100万円を頂いて、印税無しで出版。代わりに本の現物支給でした。。。 あの単行本と文庫本は、どれだけ売れたんだろう?w
2016-04-09 18:28:29そんで、あの映画『天地明察』の副産物が、岡田准一と宮崎あおいの熱愛が発覚したこととか。。。 拙著を書かなければ『天地明察』の姿は変わっていたかもしれないし、こんな炎上事件にもならなかったかなあ、と思うと不思議であるw 不倫火山
2016-04-09 18:33:03もう言っても良いだろうが、映画の『天地明察』にはクレジットに自分の名前が入ってるはず。わざわざ映画会社の人が挨拶に来てくれた熱意に、小説と映画は全く別物と割り切って、協力応諾。一通り、原作の不適切箇所は伝えた。その方曰く「やっぱりこれは映像化しにくいんですよね、時代劇的に。。。」
2016-04-09 18:42:19おわりに
ネガティブな話だけでなく、もちろん、歴史研究とコンテンツの幸福な組み合わせという事例はいくらでもある。近いところでは、原さんが監修された『チェーザレ』とか、丸島さん他が監修された今年の大河ドラマ『真田丸』、等々。これからもこういうコンテンツは増えていって欲しいし、応援したい。
2016-04-09 18:58:45失礼。噂になっていただけですね。当時の報道情報で知りました。 twitter.com/gtrhiro/status…
2016-04-09 19:14:20天地明察の頃には付き合っていなかったですよ。@ke_1sato そんで、あの映画『天地明察』の副産物が、岡田准一と宮崎あおいの熱愛が発覚したこととか。。。 拙著を書かなければ『天地明察』の姿は変わっていたかもしれないし、こんな炎上事件にもならなかったかなあ、と思うと不思議である
2016-04-09 19:08:57※岡田准一・宮崎あおいお二人の一連の2011年以降の報道につきましては「ガセネタ」とのご指摘もあり、この点については報道情報以上の推測を控えさせて頂きます。