発達障害のある人の就職に必要な条件③「コミュニケーション能力」

発達障害のある人が障害者雇用で求められる能力である「コミュニケーション能力」について思う所をまとめました。人前でオドオドしてる=コミュニケーション能力がない ではありません。
働き方 就職 発達障害
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
今日は発達障害のある人が就職する上で重要な条件の最後の一つ「コミュニケーション能力」について解説します。LITALICOさんの実施した調査においては、障害のある人を雇用している企業の担当者の8割が、雇用のための課題として「職場でのコミュニケーション」をあげています。

調査結果へのリンクはこちら。
該当の設問はQ8にあります。
http://litalico.co.jp/news/10099

松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
しかし、コミュニケーション能力というのが具体的に何を意味するのか、それがないとどのような困難が生じるのか、といったことについては個別に様々な意見はありながらも、まとまった結論はでていないように思われます。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
コミュニケーション能力について、私なりの考えをお話するにあたり、就労支援の現場で実際に遭遇したエピソードをご紹介します。一つは、ある大手企業の面接に同行したときの出来事です。面接の4人1組の障害のある求職者のグループと人事部長が向かい合わせに座った形のグループ面接でした。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
私から見て、求職者の方々は皆大変優秀であるように見えました。「志望動機はなんですか」「会社にはどんな配慮を求めますか」といった質問に求職者の方々はテキパキと活発に答えていかれます。その様子だけをみたら精神や発達の障害があるとは決して思わないでしょう。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
しかし、20人ほど面接した人事部長は終了後、意外にも「今日採っても良いと思えたのは2人しかいなかった」と話しました。驚いてその理由を聞くと、「自分の順番でないとき、私と他の求職者の話を聴いていたのが2人だけ。他の人は自分が何を話すか必死に考えるか、ただ単にボーッとしていた」と。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
「チームで働く上では、自分の役割だけを見て周りが見えていない人は難しい」と。私は頭をガツンと殴られた気持ちになりました。発達障害のある人は、そこを点かれると、キツイ。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
もう一つは、発達障害のある人を多く雇う特例子会社の事例です。面接官が「会社に対して求める配慮は何ですか」と質問しました。障害者雇用では必ず聞かれる質問なので、求職者の方たちも準備をしています。たとえば「ADHDがあり、口頭の指示が抜けやすいのでメモで指示をお願いします」など。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
人事担当者が重ねて次の質問を発しました。「では今お話された必要な配慮を、上司や同僚が忙しくしているときでもお願いできますか」 うつ病などの方はしばらく「口頭で難しければメールでお願いします」と答えられたが、発達障害のある人の多くは頭が真っ白になってしまった。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
この質問一つで、配慮にまつわる求職者の答えが、実際にその会社で働いているイメージを踏まえてのものなのか、単に面接対策用に用意していた答えなのかが、明らかになってしまいました。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
この二つの出来事を通じて、私は就職に求められるコミュニケーション能力というものを徹底的に考えなおす必要があると痛感しました。それまでは、人前で流暢にプレゼンができるような力を漠然とイメージしていましたが、問題はそういうところにないことは明らかでした。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
この話にはまだ続きがあります。最初のエピソードで合同面接中、自分の順番以外でも他の人の話を聞いており、採っても良いといわれた20人中の2人。この人たちはその会社ではないものの、その後すぐに採用が決まりました。やはり人事の見る目というのはあるものです。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
お二人共ASDでした。どちらかといえば、説明の上手な求職者の方々の中では、ややお話の様子がたどたどしく、不安げな様子が見られた方たちでしたが、実際に採用された後で改めて考えてみれば、確かに自分の番でないときにも話を聞き、自分が話す時には聞かれたことを一生懸命答えておられました。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
後にわかってきたのは、俗に「コミュ障」と言われがちな人と話すのが不安で面接ではおどしてしてしまうタイプの方が比較的採用されやすい。コミュニケーションが不安なので、一生懸命相手のいうことを聞いて、必死でついていこうとする。そこが好感を持たれるのです。
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こうした不安げなコミュニケーションをされる方は、通常の就職面接では、採用されるのは難しいかもしれません。仮に採用されても、社内外のコミュニケーションを不適応を起してしまうかもしれない。しかし、障害者採用だと話が違ってきます。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
障害者採用では、高度なコミュニケーションを求める案件は少なく、社内業務を確実にこなしてほしいというニーズが中心です。そのため、人と話すのが苦手な人というのは逆にリスクを限定しやすい。ただしその場合でも、独りよがりではなく周囲の状況にあわせて行動できるかどうかが見られます。
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他方、何社受けても受からない人というのもいます。それは一言でいうと、「ヘンな人」です。このヘン、というのはコミュニケーション上もさることながら、物理的・外形的な部分で一見しておかしい人がいる。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
たとえば、履歴書の入ったクリアファイルを取りだして渡す際にふと見ると、そのファイルがポケモン柄である。「メモを採ってください」と言われ、鞄から取り出したメモ帳の表紙がAKB48である。笑い事ではありません。面接では致命傷になりかねないマイナスです。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
外形的な問題がある方も多い。ネクタイがド派手なペイズリーだったり、スーツなのに靴がゴツいバックル付きのエンジニアブーツだったり。髪色が所々メッシュで違う色が入ってたり。寝癖が立ってるとか、スーツのサイズが合ってない等、準備不足に起因するルーズさとは違う、奇異な印象です。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
こうした「ヘンな感じ」、というのは直接仕事と関係ないじゃないか。個性として認めるべきじゃないか、というご意見もあるかもしれません。しかし、こうした外形的の奇異さを備える人というのは、ほぼ全て、相手や周囲の状況にあわせて行動することができません。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
AKBが悪いわけでも、派手なネクタイが悪いわけでもありません。そうではなく、そういうものを身に着けていったら奇異に思われるかもしれない場で、そのスタイルを通してしまうことが、周囲への関心のなさ、社会的経験のなさを示してしまうのです。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
なぜ、こういう奇異さが成人して就職する段になっても抜けていないのか。あるいは場面に応じてそれを隠すということができないのか。それはその人の周囲に「それ、ヘンだよ」と指摘してくれるような人間がいなかったということです。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
こうした奇異さを備えている人というのは、得てして家族や周囲の人に障害の理解がない。というよりも、障害と認識できないほどに程度が軽い人が多いのです。見過ごされてきた、という言い方もできるでしょう。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
反面、お子さんに発達障害があっても、親御さんの障害理解が進んでおり、親子二人三脚で療育や職業訓練をしっかりやってきたケースではこうした奇異さはほとんど目にしません。こうしたこともあってか、障害理解と支援が進んだことで「一見してへんな人」は少なくなってきているようにも思います。
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku
ここまでで一区切りにします。「コミュニケーション能力」というところから始まりましたが少し風呂敷が広がりすぎたかもしれません。一度インターバルを置きます。
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コメント

hamusuke㌠ @tomonasisan 2016年4月18日
外見的な奇異の件は本人の感覚や感性のズレの問題で、大人になってからそれを修正するのは極めて困難だと思います…。 「発達障害者の就職のための常識マニュアル」的なものがあればいいのですが…。 例えば、面接の時の服装のコーディネートや髪型、持ち物など「これはOK、これはNG」「これなら大丈夫」と具体的に明記してあるようなものです。 「メモ帳やクリアファイルはキャラクターが描かれていない無地のものを使いましょう」など。
じーさん @GAS474 2016年4月19日
以前、話しかけても全く話が通じず、向こうの話す内容も理解できず、時には奇声を発したり、マナーの守れない労働者がおりました。  色々と試行錯誤した結果、彼は「フランス語」を話していたので、「フランス語」の辞書を使えば、意思疎通ができるようになりました。(「」内は何語でもいいんですが)   ようは、発達障碍者は辞書がないまま話せざるをえない異邦人である。というのが、私の考えです。 辞書が一人一人個別に違うという難点はありますが、本質は海外出身者と大差ないものと思います。
(´・ω・`) @syobo_n2 2016年4月20日
障害者雇用でも双方向のコミュニケーションやプロジェクトの把握能力を求められる、そして特にASD当事者はそれが困難である場合が多い。(全盲の人に白杖なしで歩け、介護犬を使うなと言っているのと等しいから) 障害者雇用でもその状況である事を省みると、 働かせる事が双方に損害を与える(だから人事に敬遠される)という結果になりはしないだろうかと。 発達障害者専用の年金やベーシックインカム制度を作って、無理に働かなくてもいいという環境を整えるのも大事だと思いました。
(´・ω・`) @syobo_n2 2016年4月20日
syobo_n2 勿論これは「全ての発達障害者は働くべきではない」という主張ではありません。 特性如何によっては職業と完全にマッチする可能性も十分に考えられるからです(SEは無理だけどプログラミングは出来るなど)。 しかし、逆に言えば 「特性が企業の求める物と全く一致しない当事者も存在する」 という事でもあります。 そのような当事者に対するベーシックインカムや発達障害者専用の年金は、十分な「合理的配慮」になると考えています。
hamusuke㌠ @tomonasisan 2016年4月21日
「それ、変だよ」とは感じても、面と向かって本人に指摘する人はなかなかいませんし、指摘したとしても「どこをどう直せば変でなくなるのか」という方策を具体的に示してやらない限りは永遠に解決しない問題だと思います。単に「おまえは変だよ」と指摘するだけでは相手は反発するか逃げるかのどちらかです。
hamusuke㌠ @tomonasisan 2016年4月21日
身も蓋もない話ですが、発達障害者は基本的にサラリーマンとして働くのには不向きな種族であるのに、生きていくためにはサラリーマンとして働くしかないというのが悲劇の根源だと思います。 療育や職業訓練で「変」な面を可能な限り打ち消して社会に適合できるようになった当事者もいるのでしょうが、その一方で療育や職業訓練の効果が無かったり、プログラムに適応できなかったりしてドロップアウトしてしまった当事者もいるのではないでしょうか。前者は輝いて目立ちますが、その足元の陰には後者の屍が転がっているのは見えない…。
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