神谷　純(@junkamiya)氏、ここ四十年の主人公変遷を語る。

神谷純 @junkamiya

１９７０年代からアニメ作品を鳥瞰すると、面白いことに気づく。アニメもまた時代を吸収し、吸収されたアニメから強い影響もあるのかもと、内心複雑な思いも感じつつだが。何を言っているのかというと『男の子』の変化についてだ。

神谷純 @junkamiya

１９７０年代は、ガラは悪いが一本気という感じで、正義感の強い男の子（あるいは青年）が主人公のアニメが主流だった。

神谷純 @junkamiya

１９８０年代に入ると『ラブコメ』が初めて少年マンガ誌に根を下ろし、『うる星やつら』がひとつの指針になる。一人の男の子に、一途な女の子とその他多数の女の子が群がる『ハーレムスタイル』だ。

神谷純 @junkamiya

ただ、『うる星やつら』の主人公アタルは他の女の子に、手当たりしだい声をかける『オス』であった。

神谷純 @junkamiya

１９７０年代は、使命感が『男の子』のキーワードになり得る。１９８０年代は、その『使命感』が消え、よりライトに『オス』が残った。そして１９９０年代になると、群がるヒロインに任すままという状態になった。

神谷純 @junkamiya

１９９０年代に入ると、その『オス』が影を潜め始める。『天地無用』に代表される時代に入ってくる。主人公・天地はおとなしくガツガツとはしていない。そこにその主人公を取り合うようにヒロインたちが動きまわる。

神谷純 @junkamiya

ここで大きなパラダイムシフトが起こっている。主人公『男の子』は、ここでは物語の構造上としては、『紅一点の女の子』の役割を担っているのだ。それが主人公であり、そこに感情移入する視聴者層があったということだ。

神谷純 @junkamiya

そして２０００年代。なんと主人公から『男の子』は消え、女の子が主人公のアニメが増え続けた。男性視聴者は『女の子視点で』番組を楽しむ時代に入ってきたことになる。

神谷純 @junkamiya

４０年という時間の流れの中で、確実にアニメの中の『男の子』は変容していった。作品が時代の鏡であるのなら、それは世の中がそうなっていったということになる。

神谷純 @junkamiya

今、アニメで明確に『地球の平和を守る！』とか『正義にために！』と叫んでいるのはプリキュアだ。この現実はある一定の危機感を持って考えたほうがいいものだと思う。

川崎 逸朗 Itsuro Kawasaki @itsuro_k

@junkamiya 「男の子」の範囲が広くなった、というか男の「子」が減少したから、その性質が変化した事もありますよね。

神谷純 @junkamiya

@itsuro_k なんかねえ、すっごい心配なんですよ。女性に優しさもエロも正義を守る強さも全部お願いしちゃってるってる『男』という構図が。

ザンキ＠東京 @zanki

@junkamiya 男の子向けはホビーorジャンプ系の対決ものがほとんどになってしまいましたね……

神谷純 @junkamiya

@zanki で、目的は『仲間のため』とか『友情のため』と、耳障りはいいけど、実は根っ子の感情の部分としては、昔宮崎駿さんが言った「半径２メートル」くらいの世界の話が多いんです。けっこう難しい、実は深刻な問題だと思っています。

川崎 逸朗 Itsuro Kawasaki @itsuro_k

@junkamiya そうそう、ひっくり返ってるよね。でも特撮はちゃんと「男の子」が存在してるのはグローバル化したからなのかな？

神谷純 @junkamiya

@itsuro_k だってウルトラとライダーと戦隊だけじゃん（汗）。それに商売上は低年齢向けで、その男の子層に向けた商売しなきゃいけないし。女の子向けはプリキュアシリーズが確実に女の子の購買層、獲得したから。

msy2go @msy2go

@junkamiya 興味深いどころの騒ぎではないですね。そのまま怖さを感じます。現実でもこういう人（ヒーロー）になってみたい。→この画面のなかだけでも幸せでいたい。→この画面の中でも誰かに守って欲しい。

神谷純 @junkamiya

.@msy2go この問題って、実はリアルに『種』の存続危機問題に繋がってるんですよ。それが１０年単位でこうも明確に見えちゃうと、けっこう戦慄します。

ASA @fusuian

@junkamiya @itsuro_k 十歳くらいまでの男の子は、昔と今とでそんなに違いはないと思うんですよ。ところが、思春期の男の子はなんか打ちのめされてるような気がする。

神谷純 @junkamiya

@fusuian 自分も男の子の父親として、小学生くらいまではあまり変わらないなあと思っています。ちなみに今回のツイートって、９０年代以降は特に『アニメファン向けに作られた』作品の傾向になっていますので、一般総論としては、もう少し温度は違うとは思います。