bistro cachette~ビストロ カシェット04~

弱虫ペダル二次創作 腐向け 東→荒←真っぽい レストランパロ
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ひな@復旧中 @newgibbousmoon

bistro cachette~ビストロ カシェット04~ 「え?荒北さん、今日、誕生日なんですか?」 「おう」 「……知らなかったのか?」  真波は荒北に懐いている。だから、東堂は意外に思った。 「しらないですよ~。えー、オレ、何も用意してないですよ。お祝いしたい~」

2016-04-02 17:22:46
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 足をばたばたさせるその様子は、二十歳過ぎた男とは思えない。 「……ああ、おまえ、一年坊主だもんなぁ」 荒北と東堂が三年生のときに、真波は入学した。 つまり、出会ったときにはもう荒北の誕生日は終っていたのだ。 その後の進路が重なったことはない。

2016-04-02 17:24:43
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon そんなわけで、真波はこれまで荒北の誕生日を知らずに過ごしてきたのだ。 (何か、口惜しい) 東堂が当たり前のように、今日は荒北の誕生日だから、と、朝食を和食にしていたりするのとか、荒北がそれを当然として受け入れているとかそういうのがすごく口惜しい。

2016-04-02 17:26:24
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (別に仲間はずれじゃないけどさ!) 「別に祝いなんかいらねーよ。年が幾つになったって中身が伴わなきゃ、無意味だろ」 「そういうんじゃないんですよ~。誕生日ってのは生まれてきたことをお祝いするんですよ。……生まれてきてくれてありがとうって」

2016-04-02 17:27:58
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (それで、出会ってくれてありがとうって……) 「あー、なんかこっぱずかしいから、いい」 「えー、東堂さん、今日は賄いの昼飯も夕飯もお誕生日スペシャルでしょ?」 「おう!もちろんだ。……昼は、いいアマダイがあるからポアレにするつもりだ」

2016-04-02 17:30:18
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「アマダイ、荒北さんの好物ですもんね~。夜は?」 荒北は白身の魚が好きだ。 寿司とか刺身でなら赤身も食べないことはないが、基本、白身の淡白な味わいの方が好みだと言う。 「夜はまだ決めてないが、まあ、がっつり肉だな」 よし、と真波は拳を握る。

2016-04-02 17:32:43
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「オレ、荒北さんのためのスペシャル・デセール作るから!」 「お、おう」 真波の気合の入り具合に、荒北は気おされたようにうなづいた。 「大丈夫!甘いもの、好んで食べない荒北さんでもおいしく食べれるデセールにするから!!」 真波はかたく誓った。

2016-04-02 17:36:27
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (とはいえ、難しいなぁ……) 真波の得意はショコラだが、今から新味を作る、というのは不可能だ。 今日だって普通に店は営業するのだ。それにだけ関わっていられない。 (時間的制限と、材料の制限がなぁ……) 時間があるならいくらだって凝ってみせる。

2016-04-02 17:38:40
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon けれど、今日の今日ではできることは限られている。 (すっげえ時間かけて飴細工!とかもやりたかったなぁ) 本物ソックリのバラの花束を飴細工で作るとか、そういうのも良かったかもしれない。 荒北がどんな顔をするか見物だっただろう。

2016-04-02 17:40:31
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (あ、でも、売り物にされるかも) 店の常連は、ちょっとお金に余裕の在る女性客が多い。商売人なところのある荒北のことだから、これはイイ!とばかりに売り飛ばすかもしれない。 真波的にはそれは不本意だ。 (ホットショコラとかでお茶濁すのも嫌だしな~)

2016-04-02 17:43:28
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 荒北が気に入ってくれている果物ショコラは、材料と手間の関係で店に出す分しか作れない。 もう一つのお気に入りのオレンジピール入りのビターのホットショコラは、喜んでくれるだろうけれど、誕生日の特別感が薄い。 (やっぱ、プレゼントはワクワクしないと!)

2016-04-02 17:46:18
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon いつものランチ用のパンを焼きながら、真波は考えをめぐらす。 (とりあえず、昼は、新作のチーズケーキにしよう) ブルーチーズを使ったチーズケーキは、味にとてもクセがある。それを、去年の年末に作った柿のコンフィチュールと合わせた。

2016-04-02 17:53:11
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 夏向けのデセールを、といわれて試作していたもので、まだ東堂にも荒北にも食べさせていない。 ブルーチーズを使っている、というところでかなり人を選ぶだろう。 (でも、きっと荒北さんは好きな味だ) それに、きっとウチの店以外ではまずない味だろう。

2016-04-02 17:55:57
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon ここでしか食べられない味にこそ、価値があるのだと荒北はよく言う。 だからこそ、やや高いと思われる値をいただけるのだと。 だから、この店で働くようになって、真波は一見、ミスマッチのように思える味というものをよく組み合わせる様になった。

2016-04-02 18:01:48
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon ミスマッチのように思われる味は、互いに互いの味を鮮やかにする。 (それをうまくマッチさせることができたら、それが最高だ) いわば、ワインで言うところのマリアージュみたいなものだ。 (もうちょっと削ってから出したかったんだけど) 仕方がない。

2016-04-02 18:03:26
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon まだ真波の中では70点くらいなのだが、誕生日プレゼントはやはり当日に渡したいのだ。 ここらへんで一度、お披露目しておいてもいいだろう。 (まあ、店にはあんまり向かない気もするんだけど) チーズが苦手な人もいるし、ましてやブルーチーズだ。

2016-04-02 18:06:01
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon それでも、真波がこれを作っていたのは、新しい味を目指したからだ。 甘いものが苦手な人間でも食べられるケーキ そして、この店でしか食べられないケーキ (ま、正直に言ってしまえば、そもそも荒北さんにって思って作ってたからこれで正解なんだけどさ)

2016-04-02 18:08:01
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon そこにはささやかな真波の野望があったのだ。 (オレにしか作れない味で、それを荒北さんに気に入ってもらえたら、すっごく嬉しいし……) 真波だけの味を気に入ってくれる……それは、荒北の中のその心の部分を真波が占めているように思える。それが嬉しい。

2016-04-02 18:11:04
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「……型は16センチでいいかな」 ピカピカに磨かれた作業台の上に道具をならべる。 「チーズは……ピカンテ使いたいとこだけど、ドルチェにしとこう」 一番重要なチーズは、ゴルゴンゾーラのドルチェを選んだ。ブルーチーズではあるがマイルドな味わいがする。

2016-04-02 18:18:15
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「柿とブランデーのソースは任意でかけるとして、だったら、ナッツ類入れちゃおうかな」 この手のケーキは見た目の華やかさに欠けるが、そこは味で勝負だ。 真波は鼻歌混じりに、何度も試した手順を丁寧に繰り返し始めた。

2016-04-02 18:23:57
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「何これ、チーズケーキィ?」 「そうでーす。荒北さん、きらっきらの果物のタルトとかそれほど喜ばないでしょ」 「あー、ああいうのは女ウケ最高だけどねぇ」 荒北にはウケない。わかってる。 だからこそのチーズケーキである。 (これ、秘密兵器だからね!)

2016-04-02 18:26:35
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「見た目は派手ではないが、コースのラストにはこれくらいがちょうどいいかもしれんな」 ふむ、と東堂が、盛り付けたそれをいろんな角度から凝視する。 選んだ皿は何の変哲もない白。切り分けたチーズケーキとフレッシュなクリームチーズを添えた。

2016-04-02 18:28:42
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (チーズ&チーズって意外といけるんだよね) 生クリームでは浮いてしまいがちなのに、これがクリームチーズだと途端に味が不思議な調和をみせる。 ちなみにこれのヒントはピザだ。四種類もチーズいれてるのに、味がケンカしないことから思いついた。

2016-04-02 18:31:06
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「このソースは何だ?」 「あー、食べてみてください。言っちゃったらつまんないでしょ」 小さなガラス器に別添えしたソースは、柿のコンフィチュールとブランデーから作った。同じブランデーをケーキにもたっぷりと使っている。 見た目では柿とわかりにくい。

2016-04-02 18:32:57
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「……あー、いただきマス」 遅めのランチは、東堂の予告どおりアマダイだった。 濃厚なのにさっぱり食べられるその一皿は東堂の真骨頂を遺憾なく発揮していたといっていい。 (東堂さんはやっぱ海鮮だよなぁ) でも、東堂の渾身の一皿はいつも肉だ。

2016-04-02 18:36:08
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