グーグルブックス訴訟がひらく「アーカイブの主体は誰であるべきか」という問題
- kuragari20nen
- 2095
- 18
- 0
- 3
NYTはじめここ1〜2時間で世界中のメディアがグーグルブックス訴訟最高裁上訴棄却の報。おそらくは福音であり、しかし「誰が図書館やアーカイブを担うのか」という問いのパンドラの匣を開けたという意味も、よく、よく考える必要があります。 nytimes.com/2016/04/19/tec…
2016-04-19 01:51:37Challenge to Google Books Is Declined by Supreme Court - The New York Times
【参考】(2015.10.29)大原ケイ「グーグル勝訴で浮き彫りになるフェア・ユースと著作権の問題」 « マガジン航[kɔː]
グーグルブックスとHathi訴訟は、米法で図書館等にだけ適用される108条ではなく、あくまでフェアユースが認められた結論。米法において、もはやデジタル時代に図書館は「特権的」な主体では(ほとんど)ない。そういうとき、図書館はどういう価値を社会に示すべきなのか、そういう問いです。
2016-04-19 01:56:26だから「日本版フェアユース」を導入するのだとしたら、そのフェアユースは本家のアメリカと同じように、グーグルブックスを許容するものか否かは、図書館にとって大変大きな問題です。むろん立法でその主体を(国会)図書館に限定する手段はありますが、その社会的是非を含めて考える必要があります。
2016-04-19 02:03:26とはいえもちろん、これは(デジタル時代の)図書館的なるものの役割は「色々ある」わけであり、その役割を公私超えて誰がどう、講学上の比較優位や永続性の観点含め、分業して担っていくのかという、制度設計の問題なのです。この辺りをデジタルアーカイブ全般でちゃんと考えたい。
2016-04-19 02:40:46「欧州文化遺産の電子化と公開、保存に関する勧告」でもpublic-private partnerships for digitisationは大変強調されているのに、その論点について読むべき物をちゃんと書けてないことには猛省です。 kantei.go.jp/jp/singi/titek…
2016-04-19 02:49:04知的財産戦略本部・デジタルアーカイブの連携に関する実務者協議会(第1回)
「欧州文化遺産の電子化と公開、保存に関する勧告」自体については「資料4 生貝構成員資料(PDF:5,242KB)」5〜6頁に言及あり
EUR-Lex - on the digitisation and online accessibility of cultural material and digital preservation (32011H0711) - EN - EUR-Lex
ANNEX I PUBLIC-PRIVATE PARTNERSHIPS FOR DIGITISATION
- Respect for intellectual property rights
- Non-exclusivity
- Transparency of the process
- Transparency of agreements
- Accessibility through Europeana
- Key criteria
ある分野の重要な概念について知るために読むべき適切な文章が存在しないとしたら、それは本当に端的に「僕たち」が悪いのです。もっと叱ってやってください。
2016-04-19 02:50:43《以下、2016-04-20 15:00追記》
グーグルブックス訴訟の法的側面についてはスタンフォードの増田先輩 @m_masuda が全知全能です。僕は図書館・アーカイブとの関係や社会的影響、あるいは「それ以外」の側面に関心が強いです。そういえば7年前に増田先輩と某委員会でご一緒させて頂いた仕事もそういう分担でございました。
2016-04-20 11:23:10出ました。控訴審判決に対する裁量上訴の申立てを棄却するだけの、ごく簡単な判断のようです。 → 米最高裁、Googleブックスの書籍スキャンを公正使用と認定 | TechCrunch Japan jp.techcrunch.com/2016/04/19/201… @jptechcrunchさんから
2016-04-19 16:00:22ともあれ、これで一連のGoogle Books訴訟は終結、ということになりそうです。私が弁護士になった直後から、かれこれ7年間追い続けてきた事件ですが、新たに追加すべき点が特に見当たらないため、先日コピライト4月号に掲載した解説記事が本件のエッセンスを集約したものとなります。
2016-04-19 16:07:23月刊コピライト/出版物のご案内/公益社団法人著作権情報センター(CRIC)
月刊コピライト4月号(最新号)<2016年4月1日発行>
増田雅史「Google Books訴訟―フェアユースを認めた控訴審判決―(WINDOW2016)」