災害ボランティアとの「平熱」での向き合い方(仁平典宏氏)

個人的に大変興味深かったので、備忘にまとめました。
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仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

1:【現地での支援活動について】 「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)」の 「熊本地震特設サイト」 shienp.net 現在、現地でのボランティアの募集はなし。

2016-04-20 06:10:03

熊本地震特設サイト
《本サイトは、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議が、全国社会福祉協議会はじめとする構成団体や関係団体との連携のもと運営しています。》(運営/お問い合わせ)

仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

2:まあ、これは仕方ないです。 311の時も、南三陸町(3/26) 、気仙沼(3/28)、女川町(4/17)など、被害が大きいところで災害ボラセンの開設が遅れたところはあります。 今回は余震も続いており、今は現地での活動を急ぐべきではありません。

2016-04-20 06:10:36
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

3:確かに、阪神淡路大震災や311の時から、「行政や社協が何て言おうが、ボランティアは自発的にどんどん行くべき」という議論があります。 それは基本的には、乱暴な議論だと思います。 でも、一面の真実を突くこともある。

2016-04-20 06:11:17
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

4:それは、「ボランティアは現地で必要とされていない」という言明が、「ボランティアが圧倒的に足りない現状が見えないほど、コーディネートが追いついていない」ことによって引き起こされるケースがあるためです。

2016-04-20 06:11:41
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

5:行政が機能不全にな時ほどボランティアは必要ないように映り、コーディネーターが丁寧に聞き取れるようになった時、無数のニーズが発見されていく。そういうことがあります。 とはいえそれは一般論で、今回に関して「ボランティアは現地にどんどん行け」というのは、やはり無責任だと思います。

2016-04-20 06:12:41
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

6:(どんどん行け系の最右翼は、村井雅清2011『災害ボランティアの心構え』ソフトバンク新書。ただし村井さん自身は経験豊かな方です。たしなめ系の例は、新雅史2011「災害ボランティア活動の「成熟」とは何か」遠藤薫編著『大震災後の社会学』講談社現代新書など)。

2016-04-20 06:13:04
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

7:一方で、現地で活動している民間団体の情報を見て、無前提に「社協が止めているのに活動しているのはおかしい」と騒ぐのも大問題です。それがどういう団体か、という点が重要だからです。

2016-04-20 06:13:29
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

8:現在は、災害救援の経験豊かなNPO・NGOが先遣隊を派遣し、ニーズやロジスティクス等について調査しつつ、物資・食事支援も行っているところです。blog.canpan.info/shintsuna/

2016-04-20 06:13:54
リンク 震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな) 震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな) 震災がつなぐ全国ネットワークは、 阪神・淡路大震災を機に共生型社会の大切さに気づかされた全国に点在する人々が、 互いの違いを認め合いながら、過去の災害が教えた課題をともに学び、提言し、 今後の緊急時には共に動くことを目的としたネットワーク組織です。 18 users 993
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

9:これらの活動は、各団体だけで閉じず、現地での官民の協働体制の構築や、有効な支援拠点・回路の開拓、団体間の情報ネットワークの構築、支援が不足している場所の正確な情報収集・共有化など、今後に向けて、被災者支援の全体的なスキーム形成に寄与することが大きい。

2016-04-20 06:14:17
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

10:(311の発災直後に、NGOの先遣隊が現地でどういう活動をしていたかの詳細な報告例としては、例えば「ロングインタビュー 東日本大震災被災者支援における国際NGOの活動」『支援』3、2013年、生活書院)などを参照)

2016-04-20 06:14:35
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

11:また今後、災害ボランティアセンターの運営に、民間団体が関与したり、主導的役割を担うこともあるでしょうが、それも別におかしなことではありません。

2016-04-20 06:15:00
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

12:そもそも社協の役割は地域福祉の充実であって、外部からの大量の支援者と被災者の需給調整を行う業務は経験ないところが多いです。その場合、外部からの職員派遣に加え、熟達したNGO・NPOが大きな役割を果たすケースは、311でもよく見られました。

2016-04-20 06:15:20
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

13:災害ボラセンの官民連携では、石巻モデルが有名ですが、それもそこまで特別な事例ではありません。南三陸町では初期の災害ボラセンの運営に国際NGOが重要な役割を果たしてました。陸前高田では地元で立ち上がった団体が頑張りました。

2016-04-20 06:15:41
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

14:もちろん混乱の中のトラブルはつきもので、その種の事例も事欠きませんが、それを一般化して一概に否定しても意味は無いでしょう。

2016-04-20 06:15:48
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

14:災害ボラセンの運営の官民連携パターンの、各類型の機能の検証も進んできているので、それらを参照したほうが有益です。(現地発の事例報告として、岡村こずえ「東日本大震災気仙沼市での復興活動におけるNPO・NGO、社会福祉協議会、行政の連携の動き」『Volo』2011年12号等)

2016-04-20 06:17:38
市民活動総合情報誌「ウォロ(Volo)」2011年12月号

大阪ボランティア協会「ウォロ」編集委員会

仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

15:「民間非営利団体は胡散臭い」という、明治民法制定時から代わり映えしない官尊民卑根性でも、行政は非効率だから市民の自発性だけに委ねるべきという周回遅れの左派ネオリベ心性でもない、いい意味での冷め方が求められています。

2016-04-20 06:17:58
仁平典宏(Nihei Norihiro) @nihenori

16:さて、現地での支援を考えている人にとって、悩みの一つは資金だと思います。単発ならともかく、継続的にいい活動するためには、手弁当だけというわけにも行かず、ファンドレイジングは避けて通れません。

2016-04-20 06:18:14