- tasobussharima1
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『マロ』は、内心の苦悩を抱えながらも悠々自適の生活を送っていた。少なくとも、他の人間達にはそう映った。 では、徳島の他の人間達はどのような生活を送っているのか。決して、飢えに苦しむような不安定な日々ではない。だが、その暮らしは、徳カリプス以前の豊かさからは程遠い。
2016-04-18 21:04:03暮らしへの不満は、皆が同じ状態ならば、形にはならなかっただろう。少なくとも、より内向きな発散が行われた筈である。だが彼らの集落には、ただ一人、徳カリプス以前の豊かさを保つ者が居たのだ。 無論、自分たちの生活を立て直したのが正しく『マロ』当人であることは、誰もが知っていた。
2016-04-18 21:08:03だからこそ、彼がどれだけ広大な土地を専有しようとも、嘗ての文明の遺物を独占しようとも、表立って抗議をする者は誰も居なかった。 それでも、彼は『やり過ぎた』。仮に『マロ』が島の人々に混じり、指導者的な立場に収まっていたならば、また話は違っていただろう。しかし彼は人との交流を拒んだ。
2016-04-18 21:12:06何故彼は豊かで、自分達は貧しいのか。妬みと言うには素朴すぎる疑問は、数年の時をかけ、微かな不和を醸成していく。 徳エネルギーは、確かに人々の心根をも豊かにしたかに見えた。だが、忘れてはならない。心根の豊かさとは往々にして、物質的な豊かさに支えられるものであることを。
2016-04-18 21:16:03人嫌いというか生きるのに疲れた身からすればある程度社会が回るまで施設を復旧したので十分やれることはやった形なんだけどなぁ…… #徳パンク
2016-04-18 21:16:11昔の徳エネルギー社会も物質的豊かさの上に成り立っていた節があるようだし、「それでも徳エネルギーを使い続けるのか?」という問いが…… #徳パンク
2016-04-18 21:17:26まぁそこに関してはマロ氏本人も徳高い生活を目指してたわけでもないからなぁ。「貧すれば鈍する」的ななんかであるなぁ #徳パンク
2016-04-18 21:18:42徳カリプスによって、嘗ての文明の豊かさは失われて久しい。そして、徳カリプスを生き延びた人々とは、即ち大なり小なり救いに見放された者達だ。 徳溢れる島。そう名付けられた場所に相応しくない微かな澱みは、やがて小さな過ちへと繋がる。 --------
2016-04-18 21:20:03ブッシャリオン! 卵が先か鶏が先か…理想郷そのものの徳文明を成り立っていたのは、それが圧倒的な効率が物質的欲求を満たして余りあるモノだったから、なんだろうなぁ #徳パンク
2016-04-18 21:21:34「……今、なんと?」 「パイプラインが止まった、って」 「おじゃっ!?おじゃーっ!?」 「落ち着いて!人間の言葉で喋って!私も潜って調べたけど、パイプ自体には異常が無いみたいだから」 取り乱す白塗り顔の中年男を宥める少女。ここは『マロ』の屋敷。時刻はまだ昼過ぎである。
2016-04-18 21:24:03今でも徳ジェネレータや関連施設に何かあればマロ氏の力が必要なんだから関係を損ねるのは得策ではないのは明らか……しかし理屈通りにいかないのが感情というものか。特に妬みは。 #徳パンク
2016-04-18 21:24:05何処ぞの不死身の大佐が如く、いっそ君臨してくれた方が妬みがたまらんのよな…皮肉な話だ、単に便利な変人として付き合えれば面倒もないのに #徳パンク
2016-04-18 21:27:24「……ふぅ、つまりパイプライン本体に異常が無いにも関わらず、徳エネルギーの輸送量が低下しているんでおじゃるな?」 彼は腐っても研究者である。水を一杯飲み干すと、『マロ』は落ち着きを取り戻し、少女……ヤオの話を元に分析を始める。 「多分そう」 「なら、問題箇所は限られるでおじゃる」
2016-04-18 21:28:01まぁパイプライン外の施設周辺で何かが起こってるか、もしくは抽出している徳エネルギー自体が減少しているか #徳パンク
2016-04-18 21:31:00