- kirishima_naji
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対潜部隊の訓練艦として佐伯港を拠点にしていたある日、繋留していた桟橋から呂500潜が消えた。 見ると佐伯基地の対岸にある大入島に呂500潜が艦前部を乗り上げて停止しており、周囲には乗組員と消防団が集まっている。 どこからどう見ても、呂500潜は立派に座礁していた。
2016-03-12 02:42:55時間を巻き戻す。 朝、機械室では出港前の試運転で主機械を起動していた。 通常の碇泊時ならば主機械(ディーゼルエンジン)と電動機は接続されているが、推進器は接続されていない。 これならばエンジンが動いてもスクリューは回らない。。。はずだった。
2016-03-12 02:46:12しかしその日は前夜に空襲注意報があり、すぐ行動できるよう電動機と推進器を接続し、そのままにしてしまっていた。 要するに主機械から電動機、推進器まで全部接続されており、つまるところ浮上潜水艦がディーゼルで航行するのと同じ状態であったのである。
2016-03-12 02:48:57機械室でいつも通りディーゼルの試運転を始めたところ、ディーゼルの力がそのまま推進軸を伝わり、スクリュープロペラを回してしまったというわけだ。 で、出港準備のため錨を上げようと甲板に出た乗組員は、呂500潜が前進していることに驚愕することになった。
2016-03-12 02:50:38艦長以下、誰も動くとは思っていなかったので停止や転舵の命令が出ることはない。そもそも上陸したまままだ戻ってない乗組員もあったくらいだ。 佐伯基地の桟橋を離れた呂500潜はまっしぐらに大入島に突入、無事に上陸を果たしたという次第である。
2016-03-12 02:52:34責任は電動機と推進器の接続を外していなかった電機長にあると結論されたが、大人の事情であろうか、懲罰はなかった。 なお座礁した呂500潜は、重量物を後部に移動して離礁を試みたがことごとく失敗。満潮を待って全力後進をかけたところようやく自力離礁に成功したのである。
2016-03-12 02:55:56以上がろーちゃん上陸事件の顛末であるが、この恥ずかしい事件の一部始終を地元民に見られていたはずなので、現地の町史とかにこそっと書いてたりしないかとちょっと期待している。 どなたかご存じだったら教えてください。
2016-03-12 03:00:10