2016年4月24日

『インタールード、ピンク・フラワー』#1

テキストカラテ 完結に向かいガンバルゾー!
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不幸鳥 @hukurou_nayuta

『インタールード、ピンク・フラワー』

2016-04-24 13:52:59
不幸鳥 @hukurou_nayuta

(これまでのあらすじ:ブローチと引き換えに右腕を失う致命傷を負ったピンパーネルは、ニンジャスレイヤーによって殺されたニンジャ…通称「赤い闘牛」の左腕を繋ぎ逃げ延びた。彼は何処へいくというのか。繋げたその腕は一人でに赤く蠢く。都市伝説は終わらないと嘲笑うように)1 #HkruNj

2016-04-24 13:53:50
不幸鳥 @hukurou_nayuta

白いスーツの男は右腕を押さえ、否……抑え、「少しヤバイ」と書かれた壁にもたれ掛かる。青い顔には冷や汗が浮かぶ。息は荒い。彼はひたすらに己の行動を後悔してはそれを否定した。他人の腕が己に馴染むものか。それもただの人間のものではない、危険なニンジャのものだ。2 #HkruNj

2016-04-24 13:56:15
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「だが…これほどのものだとは……」固く閉じていた目を薄く開き、目の前の惨状を見た。トマトめいて潰れた死体の数々。自分がやった。正しくは、その赤い腕が。血の色と同化しわかりにくいが、死んだものたちは一様に真っ赤な服を着ていた。「手に負えん」3 #HkruNj

2016-04-24 13:59:27
不幸鳥 @hukurou_nayuta

その腕は今なお、赤を求めている。制御はしきれぬ。ならば手放せばよい、ピンパーネルは、一度はそう考えた。しかしそれは出来ない。それと決別できるのは、恐らく死したときのみ。「こうまでして生き延びて、私は何を……」深く息を吸い込み、吐き出す。少しだけ落ち着いてきた。4 #HkruNj

2016-04-24 14:03:39
不幸鳥 @hukurou_nayuta

やがて、足取り重くピンパーネルは歩き出す。行く宛知れず、目的もなく。それらふたつはつい最近失った。右腕を失ったあの日、ともに。始末されなかったのは幸運か。否、いつ消されてもおかしくはないだろう。或いは、彼一人放っておいたところで問題はないのかもしれない。5 #HkruNj

2016-04-24 14:07:58
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「失業したが……どうしたものか。このまま都市伝説になるかね」死体を踏みつけながら歩くピンパーネルはひとりごち、闇へと消えた。6 #HkruNj

2016-04-24 14:11:21
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ハコベ・モモナは困っていた。厄介な連中に絡まれていたのだ。「あんたさぁ、ナメてるよね?」ややキツめのオイランメイクをした女…名前はなんだったか……彼女は業腹のようであった。「アタシの彼氏に色目とか使うなって言ってんの」「使ってない……」実際使っていなかった。8 #HkruNj

2016-04-24 14:17:01
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「ウルセェんだよ!そういう態度どうかと思う!!」「ワカル」「ダヨネー」取り巻きらしき男、恋人らしき男が口を揃えて同意する。なんなのだろうこの人とたちは。「ちょっと痛い目遭っとくべきだよね」「いや、待ってください」モモナの言葉など気にせず、彼女へと手が伸びる。9 #HkruNj

2016-04-24 14:21:13
不幸鳥 @hukurou_nayuta

何者かの手が、右目を覆う眼帯に引っ掛かる。「!!」咄嗟に身を離そうとするも、眼帯は取られてしまった。手で目を隠したが、もう遅い。「ヒッ」「アイエエ……」オイランメイクの女、取り巻きの男たちは恐怖した。ハコベ・モモナの右目は激しく裂傷していたのだ。10 #HkruNj

2016-04-24 14:26:08
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「返して……返せ!!」モモナは激昂し、男から眼帯をひったくり走り去った。醜い右目。せっかく隠しているのに。元から酷いものだったがさらに酷くなったんだ。お前らみたいな奴らのせいで! 彼女に何があったというのだろうか。ひとつは病。もうひとつは… 11 #HkruNj

2016-04-24 14:31:01
不幸鳥 @hukurou_nayuta

理不尽だ。以前、眼帯を取られた際に加えられた暴力。彼女は何もしていなかった。けれど思い知った。そのようなことは関係がない。勝手に搾取され、虐げられるのだ。命があるだけまだマシだったとも言えよう。逃げ出した彼女は目前のビルの巨大モニターをふと見上げた。 12 #HkruNj

2016-04-24 14:33:43
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ニュース番組が流れていた。内容は、少し前に流行した、ある都市伝説のことだった。『──日前にもこのように赤い服を着た男女が殺害され、今回は赤い服を着た若者たち数名が殺害されているのが発見されたドスエ……』オイランキャスターが脚を組みながらペーパーを読む。13 #HkruNj

2016-04-24 14:38:11
不幸鳥 @hukurou_nayuta

上の空で立ち尽くし、数十分巨大モニターを眺めていたモモナはタクシーを停め、それに乗り帰ることにした。車内で流れるレディオでさえも、都市伝説殺人の話題を語り続けていた。彼女はそれを右から左へ聞き流した。しばらくして不意に車は停まり、男が乗り込んだ。14 #HkruNj

2016-04-24 14:43:32
不幸鳥 @hukurou_nayuta

運転手に一言二言告げると、腕組みをしてシートに座った。シート一つ分開け、モモナの隣へ。汚れ一つ無い真っ白なスーツと、胸元に光る女物のブローチが印象的だった。「物騒ですね」男が静かに言った。レディオの内容に対する言及である。「そう……ですね」15 #HkruNj

2016-04-24 14:49:34
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「どうか、赤い服を着ての外出は避けて」白スーツの男は視線を一瞬だけ彼女に向け、告げた。「ハイ、ご親切に、ドーモ」会話はそれきり途絶え、少し眠ってしまっていたモモナが目を覚ました時には、男は隣のシートから消えていた。その代わりに、花を象ったブローチが落ちていた。16 #HkruNj

2016-04-24 14:54:29
不幸鳥 @hukurou_nayuta

彼は結構ドジだったのだ。17 #HkruNj

2016-04-24 14:59:45
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ピンパーネルは焦燥と苛立ちに駆られていた。己の物の管理の雑さに呆れ返っていた。何度目だ。これを何度繰り返せば済む。幾つものタクシーを襲撃し、タクシー会社に連絡したりもした。だが、彼の無くしたそれは見つかることはなかった。ならば大事なブローチはどこに!?19 #HkruNj

2016-04-24 15:04:21
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ピンパーネルは頭を掻きむしっていた手を止め、か細く呟いた。「……あの娘」タクシーに乗り合わせた、眼帯の娘。もし、あのタクシーに落としたのであれば、彼女が拾っているかもしれない。「連絡先くらい、訊いておけば良かったかね……」20 #HkruNj

2016-04-24 15:09:03
不幸鳥 @hukurou_nayuta

『インタールード、ピンク・フラワー』#2 に続く #HkruNj

2016-04-24 15:10:57

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