1982年の伊藤和夫はもう

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It happens sometimes @ElementaryGard

男子中学生のからかいとちょっとお茶目なエレン・ベーカー先生 | FBC #pixiv pixiv.net/member_illust.… 「あなたは人気教師」じゃなくて「生徒に人気がある」と英訳しないといけない。前者は形容詞の限定用法で後者は叙述用法。

2016-04-26 09:01:04
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2)この違いは、先日論じた「キモノが(は)きれいですね」「きれいなキモノですね」の違いに通じる。

2016-04-26 09:03:27
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3)「キモノは(が)きれですね」と「きれいなキモノですね」のニュアンスの違いは、英語でいうSV関係であるか否かの違いに結局は行き着く。詳しくは前に論じたとおりです。 pic.twitter.com/WU5Ov88qlo

2016-04-26 09:58:44
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4)きれじゃなくてきれいでした。

2016-04-26 09:59:52
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5)昭和の受験参考書に、今だからこそ傾聴に値する素晴らしい論考があります。著者は伊藤和夫。受験英語の神様として名高い方です。

2016-04-26 10:03:22
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6)平成の頭ぐらいの授業風景。それにしても男の子ばっかし。全員黒髪なのが昭和テイスト。教え方も今の目で眺めるとカビが生えてみえる。youtu.be/JxKr8L2r-yA

2016-04-26 10:06:00
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7)彼の代表作といえば『英文解釈教室』。大学入試の一次試験を国がマークシート方式で一律で行う最初となった1979年に刊行された。この年ですよね?誰か検索して確認しておいてください。

2016-04-26 10:07:32
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8)その実践編的な位置づけでその後出たのが『英語長文読解教室』。数年前に再刊されて今でも手に入るはずです。これの巻末に「私の訳出法」という小論があって、これが今だからこそ味わい深い。

2016-04-26 10:08:53
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9)This means she's wise. を愚直に「これが意味するのは、彼女が聡明だということだ」と訳してはいけない、「つまり彼女は聡明だということだ」と訳せ、と伊藤は言う。彼のことばでいうと「S+Vのくくりだし」を行って訳すべきだと。

2016-04-26 10:16:29
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10)この文は That means が文の骨格となるS+Vであり、その一ランク下に she 's wise という第二のS+V(ここでは小文字表記で s+v とします)があるわけですが、日本語に置き換えるときは s+v のほうをS+Vに昇格させるべきだと。

2016-04-26 10:19:17
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11)そして本来のS+Vは副詞的に、つまり「つまり」と日本語化することでわき役にまわせ、これが「S+Vのくくりだし」であるというのが伊藤のメソッド。

2016-04-26 10:23:35
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12) >コンピューターによる翻訳まで視界に入ってきている今では、英語と日本語の相関関係を機械にもわかる次元でとらえ直すこと、つまりこれまで無意識に行なってきたことを、意識的自覚的にとらえ直すことは緊急の問題となっている。

2016-04-26 10:28:44
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13)これ1982年初出なんですよ。今こそ再読すべき先見性に満ちた論考だと思います。

2016-04-26 10:30:33
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14)S+Vを前にくくりだすか、後ろにくくりだすかで技が違ってくるとも論じていて、その鮮やかな論じ方には舌を巻きます改めて。

2016-04-26 10:32:17
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15)あ、「くくりだす」を伊藤は違う意味で使ってるみたいですね。ここは後日また論じます。

2016-04-26 10:35:03
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16)伊藤は触れていないのですが日本語文法の仕組みが英文法と違うことを踏まえての訳出法なのですこれ。

2016-04-26 10:39:57
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17)「私が作ったケーキ、誰か食べちゃった!」は、まず「私が作った」まで耳にした時点では「私が」が主語で「作った」が述語に思える。ところがその後に「ケーキ」と続くと、頭の中で何かが切り替わって「私が作ったケーキ」全体で述部と解釈変更される。

2016-04-26 10:41:56
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18)ところがさらに「誰か」と続くから「私が作ったケーキ」は述部ではなく目的語らしいぞ、と脳内で解釈変更される。

2016-04-26 10:43:16
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19)「食べちゃった!」の登場で、ああこれが述語なんだな、ということは「私が作ったケーキ」はやはり目的語で「誰か」が主語(本当は主格補語と呼びたい)で、そして「食べちゃった!」が述語ということだな、と聞き手は判断する。

2016-04-26 10:45:26
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20)もしさらに続けて「ってママが言ってたけどちゃんとテーブルにあるじゃない!」とくれば、「食べちゃった」が述語という解釈は変更ないけれど「私が~食べちゃった」文は間接話法つまりカギかっこでくくられた文だったんだなと聞き手は再解釈するでしょう。

2016-04-26 10:47:58
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21)「私が作ったケーキ」を英語に直訳すれば The cake that I cooked になります。この場合の that は普通省略されますがここではあえて入れました。関係代名詞の that です。

2016-04-26 10:51:37
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22)日本語には英語の関係代名詞にあたるものがなくて、述語(述部)が次第に後ろに回されていくメカニズムで対応しています。

2016-04-26 10:52:39
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23)述語が後ろに送り出されるというのは17~19で論じたとおりです。こういう風に聞き手(読み手)の頭は解釈変更していくわけです。

2016-04-26 10:53:42
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24)坂本龍一の楽曲を分析していくと、同じ技で回っている気がします。

2016-04-26 10:54:32
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25)「ああこれはハ長調の曲だな」と頭から決めつけて聴いていくと、ハ長調では鳴らないはずの音が途中で出てきてびくっとなって、ああト長調だったのかこの曲はと気が付かされたところに、今度はト長調ではならないはずの音が鳴りだしてまたびくっとなって、最後の最後でようやく

2016-04-26 10:57:02