俳優・加藤慎吾さんの演技論

劇団・ポップンマッシュルームチキン野郎の俳優、加藤慎吾さんによる”持論”演技論。観客の心を震わせる演技の秘密に迫る
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加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

何をもって『役者』になるのか。色んな回答があるだろうが、僕は「役に応じて自分の肉体と生理をコントロールできること」が“必要”条件だと思っている。その意味で、僕はまだ十分に役者とは言えない。まだまだ生理も肉体もコントロールできないことが多い。特に生理のコントロールは至難。 #持論

2016-04-25 23:56:20
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

ここでいう生理とは、心・精神の動きに伴い現れる身体的反応。呼吸、鼓動、瞬き、筋肉の弛緩・緊張、汗の分泌、涙、視線、、、etc。 虚構である作品を現実として体感してもらうために、役者は「自分とは別の現実の人間」に成らなければいけない。 #持論

2016-04-26 00:02:48
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

自分では無いのに現実の人間―故に、肉体と生理のフルコントロールが必要になる。たまに映画やドラマなどで素人さんがどハマりするが、それはその人そのままを出すことに成功したから。嘘偽りの無い現実の人間だから。ただそれでは「役者」ではない。他の役をやれば現実でなくなるのだから。 #持論

2016-04-26 00:13:25
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

芝居を始めると、皆「役作りする」と簡単に言うが、「役作り」ってハテ何だろう?という人は多いのではないか。僕は役作りは2つの両輪で成っていると考える。「演じる役の生理と肉体を造りあげること」と、その生理を生じさせる「その役の心・精神を造ること」。どちらも物凄く大変だ。 #持論

2016-04-26 00:16:32
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

実はそのどちらもできていない人が多い。セリフを「っぽく喋る」だけで演技したと思っている人が。吹原も良く言う。「どこかで見てきた演技をするな」と。「その役の心から引き出されるその役の生理を、その役の肉体を通して表現」できたとき初めて、「役を生きている」ことになるんだろう。 #持論

2016-04-26 00:18:44
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

(前回からの続き)―それにはまず自分の生理に知悉していなければいけない。怒った時、考えている時、思い出した時、思いついた時、困った時、焦った時、嬉しい時、退屈な時、驚いた時、悲しい時、、、ありとあらゆる場面のありとあらゆる心の動きが、どのように身体・表情に表出するのか。 #持論

2016-04-26 23:24:32
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

分かりやすいのは、まず視線。「眼は口程に物を言う」との言葉通り、眼は身体から出される情報の中でも最大。なぜなら、心の動きに即応するから。心が動けば、無意識に反射的に目も動く。逆に言えば、視線がコントロールできていない役者は、心が動かせていない、と言ってしまってもいい。 #持論

2016-04-26 23:28:03
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

呼吸も目と同様に無意識に大きく変動する生理。人間は「気」で生きていて、呼吸はその気を司る。焦れば呼吸は浅くなり、疲れが溜まれば大きく嘆息する。より具体的な例としては、何かを「どう話そうか」考えながら話そうとするとき、得てして人は、息を吸った後息を止めて脳を回転させている。 #持論

2016-04-26 23:30:09
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

こういった人間の生理を、日常のありとあらゆる場面で常に意識し「発見・自覚」することで、意識してコントロールできるようになり、やがて無意識でもできるようになる。無意識だから、『演技』にならない『嘘』にならない。役に生命を宿すには、生理のコントロールが絶対に必要なのだ。 #持論

2016-04-26 23:36:06
加藤 慎吾/Shingo KATO(PMC野郎) @shooganikt

加藤慎吾の #持論 シリーズ。これは飽くまで、僕の演技に対する一家言です。違う!という人もいるでしょう。「お前なんぞが偉そうに何を言うか」と思う方も(強弱はあれども)いらっしゃるでしょう。でもなんで書くかと言うと、少しでも伝えたいから。拙くとも、誰かのヒントになるのなら。

2016-04-26 23:51:59