うさぎ小説第四弾(りーくる)

がっこうぐらしのりーくる小説です。
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凛とした闇。全てを拒絶する冷たい空気。恵飛須沢胡桃はその闇を、"かれら"とともに切り裂いて進む。 あの日以来、私はパトロールと称してバリケードを越えては無為な殺戮を繰り返してきた。いや、殺戮という言葉は適切じゃないな、と胡桃は考える。最早"かれら"には生も死もない。

2016-03-02 11:30:05
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永遠に近しい間この世を彷徨い続けるのならば、それを死と分けることが出来るだろうか?私にはわからない。わからないし、考えたくないな。ふと、さっき叩き斬った"かれら"の1人に目をやる。こいつも、私と同じ巡ヶ丘高校の生徒だったんだ。それがもう、人の形をしたモノになっている。だから壊す。

2016-03-02 11:30:52
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生活圏の拡大なんて大層なお題目は、二の次だ。やつらを叩き斬るのは自分のためだ。こんなことを言ったら、りーさんに怒られてしまうけど。 りーさん。この冷たい死の中でさえ、りーさんのことを思うと暖かさを感じるのはどうしてだろう。

2016-03-02 11:32:23
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時折喧嘩もするけど、りーさんはかけがえのない存在だ。ゆきとはまた違う意味で、彼女もまた、私の生きる意味だ。 寒い。暖かさを感じると、それに対峙する存在としての寒さを感じずにはいられない。それと同じように、"かれら"の冷たい死の中にあってしか私は生きている暖かさを感じられなかった。

2016-03-02 11:33:48
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あの頃の私には、死んでないものとしての生しかなかった。だからこうやってわざわざバリケードを抜け出してパトロールをし始めた。 でも今は違う。ゆきやりーさんがいる。彼女達と居るとき、私は真に生きているんだ。もう"かれら"に頼らなくても、私は生きている。

2016-03-02 11:34:08
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今日のパトロールはこの辺で切り上げていいだろう。割れた窓から月明かりが差し込んだ廊下は、それでもとても暗かった。もうすぐ夜明けなのかもしれない。"かれら"は夜になるとあまり学校を歩かない。きっと家に帰ってるんだろうな。だから夜は生活圏を広げるのには効率がいい。私も、部室に帰ろう。

2016-03-02 11:35:13
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部室への帰り道、廊下で1人の"かれら"と出くわした。1人なら、大丈夫だ。私はピンポン玉を教室へ投げこみ"かれら"の注意を逸らす。やつが教室に入り込んだ瞬間に組み伏せる。 「おやすみなさい」そう言って、シャベルを振り落とす。顔は、見ないようにする。見たら、辛いから。

2016-03-02 11:35:35
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動かなくなったことを確認して、私はやつの手をやつの胸の上で組ませ、教室の隅に横たわらせる。せめてもの弔いだ。立ち去ろうとしたとき、さっき始末したやつが私と同じ髪型だという事にはっと気がついた。気が付いてしまった。どことなく。私と似ているかもしれない。

2016-03-02 11:36:30
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そんな思いを首を振って打ち消そうと試みた後、私は教室を後にする。だがさっきの思いはそう簡単には消えてくれない。さっきのやつは、私と同じこの高校の生徒だったんだ。でも、やつは今、人の形をした肉塊だ。なら、私は?私は肉塊じゃないの?どうして?

2016-03-02 11:37:27
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処理したはずの"かれら"がそう問うてるような気がして、私は走り出す。 「やめてよ!!」気づいたらそう叫んでいた。自分自身から逃げるようにしてしかバリケードを越える。今まで私に生を実感させていた闇が、今度は私に死を問いかける。

2016-03-02 11:38:03
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「ごめんな……許して……」バリケードの向こうに置き去りにした自分に向けた言葉。 もう、限界が近いのかもしれない。みんな、無理をしてるんだ。 やっと、部室の前にたどり着いた。この部室を出るときはいつも覚悟する。もう、2度と戻れないかもしれないと。

2016-03-02 11:39:00
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今回は無事に帰ってこられた。次はどうかわからない。だから部室に入る前には、大きくただいまと言う。ゆきやりーさんはもう寝てるかもしれないけど、それでも、悔いが残らないように。 「ただいま!」ガラッと扉を開ける。よかった。ゆきは寝てるみたいだけど。

2016-03-02 11:40:01
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りーさんは数刻前、この部室を出たときと同じように椅子に座っていた。これ以上ない微笑みを湛え、私に言う。 「おかえり。帰りが遅いから心配したのよ?」 「悪い悪い、ちょっと手こずっちゃって」 「あんまり無理しちゃダメよ?身体は大事にしないと」 「……そうだな」

2016-03-02 11:41:10
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ふっと息をついて、りーさんが用意してくれていたお茶を飲む。もう冷えているけど、心は温まる。りーさんの声を聞きながら私は思う。 私は、りーさん無しじゃ生きられない。生きていけない。 りーさん無しで、生きていたくない。

2016-03-02 11:41:50
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「……ちょっとくるみ?聴いてるの?」 「はいはい聴いてるって、今度からは無茶はしないよ」 「……貴女はいつもそう」 「おい、りーさん?大丈夫か?」なんだかりーさんの様子が変だ。いつにも増して、余裕がない。よく見ると目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

2016-03-02 11:46:45
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「貴女はいつもそうやってなんでもないようなフリをして、なのに無茶をして!私……私……!貴女ことが心配で……」 「そんな……私はただ、りーさんに心配させまいと……」 「心配くらいさせてよ!貴女がこの部室を出てしまって、空っぽになった部室で私、ずっと祈ってるの。

2016-03-02 13:01:33
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神様、どうか無事にあの娘が帰ってきますようにって」 「部長……」 「私ね、怖いの。貴女が遠くに行っちゃわないかって。……めぐねえのところに、行っちゃわないかって。」 「そんな……行くつもりはねえよ」 「つもりじゃダメよ!……お願い……どこにもいかないで。

2016-03-02 13:02:16
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もう私……私のためにみんなが離れ離れになるのはイヤなの……なのに貴女は心配すらさせてくれない」 「りーさん……ごめんな……今まで、気づけなくて」 「……ううん、ごめんなさい……取り乱しちゃって」そう言うと緊張の糸が切れたようにりーさんは机に突っ伏して、なきじゃくり始めた。

2016-03-02 13:29:09
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やっぱり、みんな、壊れかけている。 ゆきは、壊れた。現実を受け止められず、虚像の学友と虚構の学園生活に逃げ込んだ。 私も、多分、壊れている。現実から目を背け、学友を叩き斬り、その罪をバリケードの向こうに置き去りにして、平然としている。

2016-03-02 13:29:33
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なら、目の前で泣き噦る少女、誰よりも現実を見つめ、誰よりも冷静の態度を見せていた少女が、壊れていない理由があるだろうか。 しばらくして、私は淹れなおしたお茶を手に、りーさんに語りかける。 「りーさん……大丈夫か?」 「ごめんなさい……さっきはあんな酷いこと言っちゃって……」

2016-03-02 13:30:23
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「気にすんなって、それより今日はもう寝たほうがいいよ、疲れてるみたいだし……」そう言いながら私はりーさんの隣に座る。 「でも本当に、無理しちゃダメよ?生活圏を広げるのも確かに重要だけど、貴女が傷ついたら意味がないわ」長い睫毛、整った眉、若干つり目がちな目が私を見つめる。

2016-03-02 13:30:45
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「そうだな、気をつける」そう言い終わる前にりーさんの顔が私を覗き込む。吸い込まれそうになる深い憂いを湛えた目、栗色の長い髪の毛。綺麗だ、とくるみは思った。綺麗で、そしてとても繊細だ。 「くるみ……」りーさんはそう言うと私に覆い被さる。私の唇を、りーさんの唇が、奪う。

2016-03-02 13:33:43
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石鹸の香りと、甘い香りに包まれる。深い、深いキス。"かれら"のことや、食料のこと、電力のこと、これからのことを全て忘れてしまうような優しいキス。慌てて、目を、閉じる。甘くて、優しくて、求めて、求められて。蕩けてしまうような。そんな、キス。

2016-03-02 19:56:46
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どれくらいの時間が経っただろう。 「りーさんって……涙の通り道にホクロがあるんだな……知らなかったよ」唇と唇が離れ、気まずさを誤魔化すため、私は言う。 「何言ってるのよこんな時に……」 「でもさ、やっぱりこういうのは、その、なんていうか……よくないと思う。やっぱり、女同士だし」

2016-03-02 21:51:49
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「どうして?誰がそんなこと決めたの?」 「そりゃあ皆が……」 「皆って、誰かしら?」ちょっとだけ意地悪で、それでいて蠱惑的な表情でりーさんが問いかける。 そうだ。もう、"皆"なんて居ないのだ。 私がいて、りーさんがいて、ゆきがいて。今はそれだけが世界だ。 少し、目に涙が溜まる。

2016-03-02 23:47:09
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