- tasobussharima1
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「ハーッ!ハーッ!ハーッ!ハァー!ハァー!ハァー!ハァー!……この歳で、この距離はキツいでおじゃる」 『マロ』は走る。今は、少しでも時間が惜しい。運動不足気味の、今のこの肉体が恨めしい。ロボ牛車はヤオへ貸してしまった。 最早何故走っているのか、彼自身ですらわからなくなりつつある。
2016-05-01 22:34:04敵は、恐らくパイプラインから情報を読んでいる。ならば……他に、そこへ仕掛けをしていないとも限らない。 初手こそ、集落内の分断工作のために中の人間によって停止させる、という回りくどい方法を採ったようだが、彼等はその気になれば何時でもパイプラインを直接破壊可能と考えるのが自然だ。
2016-05-01 22:38:05しかし実際問題としては海賊が直接パイプラインを破壊してしまうと得度兵器の矛先が海賊に向いてしまうから、徳島側の問題でパイプラインを止めさせる必要があったわけだなあ。得度兵器内における徳島の人間に対する期待を下げさせる、と言えばいいのか #徳パンク
2016-05-01 22:41:53それは、とても不味い。喉元を鷲掴みにされた状態も同然だ。しかし、 「ハー……ハー……まさか、得度兵器を呼び寄せるような真似はせんでおじゃろ……」 不死者の宿痾。彼はこの期に及んでもまだ、生者の必死の足掻きをどうしようもなく侮っていた。その愚かさを、見誤っていた。
2016-05-01 22:42:04『保険』はあるにせよ。実際に、その札を切ることは無いと思い込んでいた。 だが、それとは別に、彼の何時蓄えたともしれない記憶は警鐘を鳴らし続ける。それが、彼を走らせる理由だった。 不死の毒に耐えるための薬。その筈だった。それとも、こんなことすら、自分は何度も繰り返してきたのか。
2016-05-01 22:48:43彼は、走り続ける。衰えた身体に己で鞭打ちながら。己が何者かすら、曖昧になりながら。それが、嘗て彼自身が選んだ生き方なのだと気付かぬままに。 ---------
2016-05-01 22:55:02「嘗て彼自身が選んだ生き方」 やはりマロ氏の最初の人生で不死者となるなんらかの切っ掛けがあったのかな #徳パンク
2016-05-01 22:59:01『マロ』が目的地に辿り着いたのは、結局、ヤオが日課の点検を全て終えた後のことだった。 彼女は、ボロボロになった『マロ』を見て、目を丸くした。 「……どうしたの?『マロ』さん」 「ハァーッ……ハァーッ……ゲェーホ、ゲホ。何か、異常は無かったでおじゃるか」
2016-05-01 23:00:00「えっ、別に……」 「本当でおじゃるか」 「何かあったの?」 「かくかくしかじかでおじゃる」 呼吸を整えながら、彼はヤオへ彼の仮説を語る。 「……自己診断だと異常は無いみたいだし、潜って調べたとこは、変なところも無かったけど……確かに、潜って調べられるとこより先は分からないかも」
2016-05-01 23:06:52