ニンジャカタナ!Location#A.D2399 Chapter 2 『襲撃』

カクヨムにて連載している『ニンジャカタナ』Twitter連載分まとめです。以前投稿していたLocationNo.93はプロト版となっており、現行連載との繋がりは一切ありません。その他、本編は下記より!カクヨムURL https://kakuyomu.jp/works/1177354054880208335
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ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは! 予告しておりました通り、今からニンジャカタナ!の最新話投稿を開始いたします!半年ぶりで手違い等ありましたら、どうぞ遠慮なくご指摘頂ければと思います!

2016-05-04 19:21:18
ニンジャカタナ! @NJkatana

現在、ニンジャカタナ!は以下サイトにて全編閲覧可能です。 カクヨム kakuyomu.jp/works/11773540… また、連載分は随時まとめておりますので、こちらもご利用くださいませ! toggeter togetter.com/id/NJkatana

2016-05-04 19:23:41
ニンジャカタナ! @NJkatana

それでは、しばしTLをお借り致します。 投稿時間は約1時間を予定しております。どうぞ、ラジオやテレビの流し見感覚でごゆるりとご覧下さいませ!

2016-05-04 19:24:52
ニンジャカタナ! @NJkatana

ニンジャカタナLocation#A.D2399 Chapter 2 襲撃 ―――――――――――――◆ pic.twitter.com/UaUmwSqwHk

2016-05-04 19:26:32
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前回までのあらすじ: 西暦2399年。貧富の差が拡大しすぎた社会は、富裕層の人々を宇宙に追放。サードラインと呼ばれる巨大な軌道リングと地上とに別れ、お互い一切の干渉をせずに生きていた。そんなある日、空を覆ったオーロラによって地球全土が寒冷化を始める。

2016-05-04 19:30:04
ニンジャカタナ! @NJkatana

全球凍結。地球が全て凍り付いた状態のこと――。 学校ではまだ習ってないけど、天才であるこの僕は知ってる。今まで、地球は何度も凍っていることを。 そんな馬鹿なことって思う? でも、計算では太陽の光が普段の90%になるだけで地球は凍る。 全然、馬鹿げたことなんかじゃないんだ。

2016-05-04 19:32:47
ニンジャカタナ! @NJkatana

西暦2399年4月12日。 僕の誕生日――。 南極と北極で同時に発生した大規模なオーロラ。それは、約1時間足らずで地球の空全てを覆った。 初めはみんな、見たこともない空の様子にはしゃいでた。けど、お祭り騒ぎはすぐに終わった――。 オーロラは、消えなかった。

2016-05-04 19:34:40
ニンジャカタナ! @NJkatana

一日たって、二日たって、一週間たってもオーロラは地球を覆い続けた。   顔を上げれば見えたはずの青空と太陽は消えて、空にかかっていた橋。サードラインは、影も形も見えなくなった。

2016-05-04 19:37:20
ニンジャカタナ! @NJkatana

このとき遮られた太陽光の割合は、40%。しかもそれだけじゃない。あの光は太陽を遮るのと一緒に、大気中の温室効果ガスも浄化していたんだ。 まるで、空を覆う緑色の光そのものが、地球を凍らせようっていう意志を持っているみたいだった――。

2016-05-04 19:38:44
ニンジャカタナ! @NJkatana

◆     ◆     ◆

2016-05-04 19:40:28
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「外気温、マイナス50℃――」 「これでは、赤道下の国は絶望的だな――」 相変わらず白一色の研究所。 モニターの表示温度を見て絶句する僕に、アマネ先生が沈痛な表情で口を開いた。先生も以前は何を考えているのかわからなかったけど、この数ヶ月で随分変わった――。

2016-05-04 19:42:12
ニンジャカタナ! @NJkatana

西暦2399年11月28日。 太陽が消えてから約半年がすぎた。全球凍結は避けられないと判断した世界の国々は、各地の地下深くにコロニーと呼ばれる避難所を建設して人々の収容を開始していた。けど、それはただの悪あがき――。 今この時も、世界中で大勢の人が凍え死んでる。

2016-05-04 19:44:55
ニンジャカタナ! @NJkatana

それに、世界大戦で減ったっていっても、まだ人口は100億近くいる。そのうちの80億人は、コロニーに入ることすらできないんだ。そして、その殆どが貧しい暮らしの人々――。 100年前、宇宙に追い出した富裕層と全く同じことを、今の僕たちがしようとしている。本当に、なんて愚かなんだ。

2016-05-04 19:46:35
ニンジャカタナ! @NJkatana

無事にコロニーに逃げたとしても、その後は?  食べ物も水も、エネルギーも。ほんの数ヶ月で底をつく。作って、潜って――そこで死ぬだけじゃないか。 目の前に広がる絶望的な状況に、僕は奥歯を噛みしめることしかできなかった。

2016-05-04 19:48:52
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――多元連結理論を、公表します」 僕と先生の後ろ。以前に比べてすっかりやつれた父さんが口を開く。 「理論を――? でも父さんは、あの理論はまだ未完成だって――」 「――いいのか? 公表すれば、お前もただでは済まないはずだ」 僕を遮り、先生は身を乗り出して父さんに尋ねる。

2016-05-04 19:50:07
ニンジャカタナ! @NJkatana

「これ以上公表を遅らせれば、全ての国に理論を伝えることはできなくなります」 「……わかった」 「ちょ、ちょっと待って! ただでは済まないって、どういうことです!」 二人のやりとりに、僕は席から立ち上がって先生の横を通り過ぎると、その先でまっすぐ僕をみつめる父さんに詰め寄る。

2016-05-04 19:52:56
ニンジャカタナ! @NJkatana

「多元連結理論は、世界の有り様を一変させる理論です。多元連結理論を元に、各国が独自技術の実用化に成功すれば、人類は生き残ることができる――。ですが、この理論を応用した技術が生み出される危険性を『上』は見過ごさないでしょう」 「上――? 上って、まさか――」

2016-05-04 19:54:20
ニンジャカタナ! @NJkatana

「サードラインに住む人々は、今も私たちに干渉を続けています。総人口・技術レベル・食料供給・自然環境の調整――。彼らの地上への干渉先は多岐に及ぶ――。多元連結理論は、彼らの許容する地上の技術革新を越えている可能性が高いのです」

2016-05-04 19:55:23
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――事実だ。重力波通信の傍受で、彼らが今も地上に影響力を保っていることは確認している――」 その二人の言葉に、僕の体はガタガタと震えた。つまり、今起こってるこの全球凍結自体が、あいつらのせいってことじゃないか――。

2016-05-04 19:56:33
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――それじゃあ、上のやつらは父さんが理論を立証したのも知ってるってこと!? ただじゃ済まないって、父さんをどうするつもりなの!? この僕がそんなことさせるもんか――!」 「カーヤ君。君の力は、生物が持つ進化の意志そのもの。言ってしまえば、地上に存在する技術の頂点といってもいい」

2016-05-04 19:58:38
ニンジャカタナ! @NJkatana

興奮する僕を制するように、アマネ先生が僕の肩に手を置いた。 「だがそれでも、上の技術には届かない。それほどまでに、我々と上には絶対的な技術の差がある」 「――ふざけないでください! 僕は神様だ! 新しく命を作れる、進化できる、増やすことだって! この僕に、できないことなんて!」

2016-05-04 20:00:28
ニンジャカタナ! @NJkatana

「カーヤ」 不意に、父さんは席を立って僕に手を伸ばす。 そして両手を広げ、僕を包み込むように抱きしめた。僕は、腕の中で父さんを見上げた。 「――父さん?」 「あなたは、私の自慢の息子です。だからこそ、危険なことはしてほしくない。父さんからのお願いを、聞いてくれませんか?」

2016-05-04 20:01:53
ニンジャカタナ! @NJkatana

そう言う父さんの腕は――震えていた。 研究所で生まれて、誰も信じられなかった僕。その僕に、誰よりも頼りになって、誰よりも素敵だと思わせてくれた父さんが――。 「――いやだ! 父さん、僕は、悔しい――っ!」 「大丈夫――。愛していますよ。カーヤ」

2016-05-04 20:03:36
ニンジャカタナ! @NJkatana

腕の中で見上げる僕を、澄んだ金色の瞳でまっすぐに見つめる父さん。その言葉の中に秘められた決意の色に、僕は、自分の視界がにじむのを自覚していた――。

2016-05-04 20:04:55
ニンジャカタナ! @NJkatana

翌日、準備を整えた父さんは僕に別れを告げ、滅びへと向かう世界を救うため、一番近い通信拠点に向かった。 ――まだ彼らには知られていない。公表して帰ってくれば、いつも通りまた会えると言い残して――。

2016-05-04 20:06:19