アンヴェイル・ザ・トレイル #4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
3
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(あらすじ:学生寮にスクワットする退廃学徒の三人組、ゴイ、ボルタ、ユウラギは、根城にする無線機材室を訪れたウミノという男が不可思議な鉱石を用いて01ノイズの狭間に消失した都市、ニチョームと通信するさまを目の当たりにする。だがその直後、学生寮はイッキ・ウチコワシに制圧された)

2016-05-02 22:32:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(指導者テツオを失い無差別テロ組織と化したウチコワシはこの学生寮に遺されたヴィンテイジ無線機材を悪用し、ニンジャパワーで遠隔マイクロウェーブ攻撃を行う!火柱をあげ、爆散するビルやマグロツェッペリン。大変な事になった。そこへ突入したヤモトとフィルギアはウミノの救出に成功する)

2016-05-02 22:35:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ニチョームとのコンタクトのキーパーソンであるウミノを確保した以上、ウチコワシに占拠された学生寮や学徒がどうなろうと、フィルギアにはどうでもいい。だがウミノは学生達を捨て置けないと主張。テコでも動かない。さらには、通信を行う為の機材は学生寮に残されていると語った……!)

2016-05-02 22:39:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

食堂には凄惨な火薬と血のにおいが漂っていた。床に転がった死体を前に、ウチコワシ戦士達は銃を構えたまま動かない。学生達は壁側に背中を押し付けるように集まり、声を殺して嗚咽している者も何人かいた。「あの……」不意に挙手した者がいる。ユウラギだ。ウチコワシ戦士達が銃口を向ける。

2016-05-02 22:43:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴイとボルタは歯噛みし、顔をしかめた。(アイツ、何を?)「そのままじゃ、あんまりですよ」ユウラギは言った。ウチコワシ戦士達は互いに目を見交わした。「我々の正義に疑義提出するならば相応の……」「違います。そのまんまッてのは、悲惨すぎるっていうか。目を閉じてやってもいいんじゃ」

2016-05-02 22:45:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どうした」戸口に別のウチコワシ戦士が現れ、教室内の戦士に問いかけた。戦士が答えた。「その、反革命学徒が我々に疑義提出を。この死体の目を閉じるべきであるという内容です」「死体の目を閉じるべきかだと」戦士は答えに詰まった。「……同志に確認を仰ぐ。反革命学徒を動かすなよ」「徹底!」

2016-05-02 22:48:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

学生たちがざわつきかけた。戦士の一人が威圧的にショットガンをポンプしてみせると、再び静まり返った。「こいつをトイレに行かせてくれませんか」別の者が挙手し、青ざめた顔の友人を示した。「腹を壊していて……」「何……何だと?」「オイ」戦士達は顔を見合わせ、ぼそぼそと言葉を交わす。

2016-05-02 22:54:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ダメだダメだ!そういうルールは無い」戦士は苛立たしげに言った。「でも、その……このまま最終的な事になっちまうと、衛生的にも良くないんじゃ……」学生が言った。「貴方達も、長期戦の構えなワケでしょ」「死んだ奴も、そういう話ですよ」ユウラギがかぶせた。「せめて場所を移すとか……」

2016-05-02 22:57:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」「……」戦士二人は不安げに互いを見た。そこへ戸口の戦士が戻ってきた。「同志ブリックウィル=サンに確認!瞼を動かし目を閉じる事を容認する」「同志タケギ=サン!実は今再度の疑義提出が」「何だと?」「用便の必要があると……」「では再び確認する」戸口の戦士は狼狽えUターンした。

2016-05-02 23:06:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「腹が……腹が……!」学生が脂汗を流した。質問者が必死の形相で訴えた。「ヤバイですよ!」「あのう、許可してもらったなら、ひとまず瞼を、いいですか」ユウラギが立ち上がった。「どうしたら」戦士Aが戦士Bに呟いた。戦士Bは手振りで黙らせた。「あの、いいですか!」ゴイが手を挙げた。

2016-05-02 23:08:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だ!」「ここに集められる前の話なんですけど、その……俺ら、無線機材室を使っていたんでわかるんです。ハイデッカーの無線が混線して、この大学に巡回に来るって言っていたんですよ、つい今しがたの話ですけど……」「なぜ黙っていた!」「黙らされて……」ボルタが追認した。「本当なんです!」

2016-05-02 23:10:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!」戦士AとBは戸口を見、学生を見、戸口を見た。「ヤバイですよ!」ゴイが叫んだ。「腹が痛い!」脂汗の学生が呻いた。「諸々、確認したほうが」最初の学生がすまなそうに言った。「責任取らされたりとか……」「余計なお世話だ!」戦士Aは唸った。そして踵を返し、教室を飛び出した。

2016-05-02 23:13:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウウーッ!」脂汗の学生が床に倒れ込んだ。戦士Bが慌てた。「なッ……ダメだぞ!それは許可しない!」ショットガンを構える。その銃口は震えている。「許さん!」「今だ!」最初の学生が言った。以心伝心といったところか。ユウラギが戦士Bにタックルをかけた。KBAM!散弾が天井に突き刺さる。

2016-05-02 23:15:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「銃を!」最初の学生が叫ぶ。咄嗟に別の学生が床に落ちた散弾銃を蹴った。「ウオオオーッ!」学生達が必死の形相で戦士Bに襲いかかる!「何を」KBAM!「アバーッ!」騒ぎを聞きつけ取って返してきた戦士Aの胸部に散弾が叩きこまれた。誰かが撃ったのだ。即死!「アイエエエ!」悲鳴が上がる!

2016-05-02 23:18:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!」囲んで叩く!戦士Bは気絶!「そいつの銃も奪え!」最初の学生が叫んだ。ゴイは飛びつき、ライフルを取った。戦士Cが戸口に現れた。「何を……」KBAM!「アバーッ!」散弾銃で即死!「行け!皆!行けーッ!」誰かが叫んだ。「大した数じゃないぞ!」「「ワオオーッ!」」

2016-05-02 23:21:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オイ、でもニンジャが!」ユウラギが止めようとした。「「ワオオーッ!」」学生達が拳を振り上げる。「まずいッて!」警告を裏付けるかのように、戸口に新手が現れた。KBAM!「イヤーッ!」新手の戦士は片手を翳し、散弾銃の弾丸を指先で摘み取る!BLAM!「イヤーッ!」ゴイの銃弾も止めた!

2016-05-02 23:24:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ブリックウィルです。静粛にせよ敗北主義者ども!一丸となり同時革命せよ!」赤いニンジャは叫んだ。然り、ニンジャだ!「アイエエエ!ニンジャナンデ!」誰かが叫び、泡を吹いて倒れた。銃弾を止めたワザマエを目の当たりにしてNRS症状を起こしたのだ。「駄目だ!」ユウラギが呻いた。

2016-05-02 23:30:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いや、見ろ!」誰かが指差した。後ろの戸口から風めいて別の者が飛び込み、床の上で前転して跳躍、一寸の躊躇もなくブリックウィルめがけ襲いかかったのだ。「「イヤーッ!」」回し蹴りとチョップが相剋!二者は着地と同時にアイサツを繰り出す。「ドーモ。ヤモト・コキです」「ブリックウィルです」

2016-05-02 23:33:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエ!ニンジャ!ニンジャナンデ!」誰かが叫び、尻餅をついた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」二人のニンジャは激しい打ち合いを始めた。「今だ!」誰かが叫び、学生達は食堂から雪崩を打った。「ウオオーッ!」「ウオオーッ!」鬨の声!そして衝突音!

2016-05-02 23:35:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オイ、ヨキト=サンだろ。大丈夫?」ユウラギは床から脂汗の学生を助け起こした。「へ、平気さ」学生は弱々しく笑った。「オレ、元々顔色が悪いし。演技さ。ザマあみろだ。ニンジャにはビビっちまったけど」「そりゃよかった」ユウラギは周囲を見た。「アンタを助けた奴は?俺の知らない奴だったな」

2016-05-02 23:41:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオーッ!」学生達は廊下へ飛び出し、ウチコワシと争い始める。確かに彼らは数の上で勝利している。物騒な銃声が数度きこえた。しかしもはや怒りと決断でニューロンを固めた学生達の勢いは止まらなかった。「ゴイ=サン!ボルタ=サン!」ユウラギは友を探す。わかりきっている。上に向かったのだ!

2016-05-02 23:45:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

上!すなわち無線機材質!食堂でそのような争いが発生したまさにその時、フィルギアは窓を蹴破り飛び込んでいた!「再エントリーだ、ウチコワシの旦那……!」「イヤーッ!」モジュラーはノールック後ろ回し蹴りでフィルギアに攻撃!フィルギアはブリッジで回避する!そのとき、下階で喧騒!

2016-05-02 23:51:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」モジュラーはケリ・キックを放った。フィルギアは転がって回避し、素早いチョップでモジュラーの有線リンケージを切断した。「フハハハ!」モジュラーは哄笑した。そして片腕をかざした。ピュイイイイ!「イヤーッ!」フィルギアは懐に敢えて飛び込み、致命的マイクロウェーブを回避!

2016-05-02 23:53:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「既に周波数同期は完了した。有線接続はもはやオプションだ」モジュラーは腕を振り、マイクロウェーブでフィルギアを焼き殺そうとした。「私は最強の革命兵器となったのだ!」ピュイイイ!床が、壁が融解する。フィルギアは間一髪でこれを回避し、ブースから飛び出す。モジュラーの周囲の空気が歪む!

2016-05-02 23:56:04