電撃文庫のカリスマ編集者。「ライトノベルでは、読者の心をつかむ表紙イラストが超重要」(意訳)

作家さんと絵師さんでは、打ち合わせる内容が少し異なります。作家さんとは、面白い、より楽しめる方向にストーリーやキャラクターの動きなどを、打ち合わせ時に一緒に考えたりし、ときには没にしたり、ときには原型をとどめないくらい大きく話を変えたりします。
2011-02-06 01:21:55
翻って絵師さんとは、どういうシーン、どういうキャラを入れるかという話はするのですが、「イラストをうまく描くにはどうするか」といった話はしません。
2011-02-06 01:22:07
個人的な考えですが、絵師さんには依頼した段階でもう一蓮托生で、工程上どうしても後から参加することになるパートナーです。全没して次にいこう、というわけにはいきません。
2011-02-06 01:22:26
この人で駄目なら、このチームは駄目、そう思って依頼します。究極的にはその人がどんなイラストを上げてこようが、それは自分が選択し依頼した結果です。すべて受け止める覚悟で臨んでいます。
2011-02-06 01:22:31
もちろんイラストについて凄くアドバイス(や直接加筆とか)できる人も中にはいらっしゃると思いますが、自分はpixivランカーでも芸術大学を出たわけでもなく、絵を描くスキルは1ミクロンもありません。にもかかわらず、自分は指示や指摘を、偉そうにもさせていただくポジションにいます。
2011-02-06 01:22:51
この立ち位置はチーム構成上変わりません。しかし絵師さんに「ここをこうするともっとイラストがうまくなるよ」と言うスキルもありません。
2011-02-06 01:23:03
なので、せめて自分が唯一絵師さんよりもアドバンテージを持っているところ、つまり「客観的に観ること」と自分が今勝負しているフィールドで「そのイラストがどれくらい人気が出そうか、また出すためにはどのようなことをすればいいか」、その経験則と勘の冴えと武器の扱い方を提供します。
2011-02-06 01:23:15
お願いするときは事前にホームページで掲載してる過去作品や、同人誌を何日も時間をかけて何十回も見て、「このイラストがついたとき、この作品はこうなる」というイメージをものすごく想像します。
2011-02-06 01:23:30
描(書)いてみないとわからない、というのはもちろん作家さんも同じ事がいえるのですが、イラストは見た一瞬で勝負が決まるからなのか、そのウェートが文章よりもものすごく顕著です。パッと見ただけですべてが判断されます。
2011-02-06 01:23:48
なので、その一瞬で勝負するイラストは、担当するこの作品ではどんなものにすればよいか、どんな構図やキャラにすればよいか……そんな打ち合わせを絵師さんとはしています。
2011-02-06 01:24:02
「文庫のカバー」というA6判の、とても小さい面積の中で表現されるイラストが、最高の刀となって、一瞬の居合い切りで読者のハートを切り伏せ、そして……ご購入ありがとうございまーす。そんなイラストが上がるとなるといいな、といつも思ってます。おわり。
2011-02-06 01:24:06