【朝日新聞の「ゴメンナサイ」⑤】明治初年以来、日本と中国の関係は常に異常/~中国と「(日本教徒内部の問題処理に有効な)”二人称の関係”に入りうる」と信じて何度も失敗を繰り返す日本~

イザヤ・ベンダサン『日本教について~あるユダヤ人への手紙~』/朝日新聞の「ゴメンナサイ」/狸の論理/158頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①話は少し横道に入りますが、私は、日本人はまた中国問題で大きな失敗をするのではないかと思っております。<『日本教について/イザヤ・ベンダサン』

2016-05-07 22:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

②日本には現在 「日本は戦争責任を認め、中国に謝罪せよ」 という強い意見があります。 一見、まことに当然かつ正しい意見に見えますが、それらの意見を仔細に調べてみますと、この意見の背後には、まさにこの「狸の論理」が見えてくるのです。

2016-05-07 23:09:10
山本七平bot @yamamoto7hei

③すなわち 「私の責任です、といって謝罪することによって責任が免除され、中国と『二人称の関係』に入りうる」 という考え方が前提に立っているとしか思えないのです。 もちろん日本人が「責任」という場合、これ以外の意味がないから、当然のことですが――。

2016-05-07 23:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

④一方中国人は日本教徒ではありませんから、この「狸の論理」を逆に受けとる可能性は十分にあります。 即ち「全ては日本の責任であると謝罪したのなら、その責任を果たせ――まず虐殺事件の下手人と責任者を引き渡せ」ともし言ったら、またこれに類する要求をしたら、一体どういう事になるでしょう。

2016-05-08 08:09:07
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤前述の小学校の事件と同じように、こんどは全日本人が激怒して、 「こちらが、スミマセンと自分の責任を認めているのに、何ということを言うやつだ」 ということになるのは、まず疑いの余地がありません。

2016-05-08 08:38:50
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥しかし「責任」という日本語の「セキ」という文字は、文字は中国と共通ですが、中国では昔には「債務」の意味がある文字ですので、中国側からこれを見れば、(続

2016-05-08 09:09:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦続>「日本人は昔通りの嘘つきだ、自分の責任だと自分の方から言い、かつ謝罪までしておいて、責任を認めているなら当然実行すべきことを要求すれば、とたんにこれを拒否するとんでもない連中だ」 ということになります。

2016-05-08 09:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧これは 「債務を認めます」 と自分からいうので、それを取り立てに行ったところが、玄関払いをされたと同じような怒りを、中国人に起させるわけです。 日本は過去において、おそらく自ら気づかずですが、常にこれを行なってきたようです。

2016-05-08 10:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨「日中国交正常化」は日本のあらゆる言論機関に共通したスローガンですが、私の知る限りでは、明治初年以来、日本と中国の関係が正常であった時期は、皆無といって過言ではありません。

2016-05-08 10:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩これは何も両国がしばしば戦争をしたという意味でなく、戦時は戦時として正常な戦時でなく異常な戦時であり、平和時は平和時として正常な平和時でなく異常な平和時だった、という意味です。

2016-05-08 11:09:07
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪理由は私の見るところでは非常に簡単で、日本人と中国人とは「お前のお前」という二人称のみの関係に入りうると、日本人が勝手に信じ込んでいるからです。

2016-05-08 11:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫従って日本人側から見れば、日本は中国と正常な関係に入るために、多くの努力を払ったことになりますし、 「日本は戦争責任を認め、中国に謝罪せよ」 という主張もその努力の一つでしょう。

2016-05-08 12:09:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬日本教徒内部の問題の処理には実に有効な「二人称のみの関係」 「私の責任だということによって責任が免除され、対話に入りうる」 という方式を、そのまま中国にも援用しようとして、絶えず失敗をくりかえしたにもかかわらず、また同じ方式しか取りえないのです。

2016-05-08 12:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭これは日本人にとって、この行き方がいかに決定的であるかを如実に示しているというより、それが通用しない世界があるなどということは、夢にも信じられないからです。 以上のことは、もちろん、別に、日本の政府や新聞を批判するため書いたわけではありません。

2016-05-08 13:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮ただこれらのことを絶えず念頭に置いておきませんと、これからのべる「世にも不思議な物語」が、全く理解できないであろうと考えたからです。 従ってここで話をもとに戻し、もう一つの「司法殺人」「世にも不思議な物語」に入りましょう。

2016-05-08 13:38:54