【本多勝一様への返書①】本多様は米寿に近い/~日本人の「謝罪」の不思議を最初に取り上げたのは夏目漱石~

イザヤ・ベンダサン『日本教について~あるユダヤ人への手紙~』/本多勝一様への返書/本多様は米寿に近い/185頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【本多勝一様への返書/本多様は米寿に近い】…年末も押しつまりましたころ、『諸君!』到着いたし、小生宛の公開状なる本多様の一文に接しました。 確かに拝読、山陽も三嘆いたす御名文に接し、心より敬服いたしました。<『日本教について/イザヤ・ベンダサン』

2016-05-08 14:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

②馬子殿にもよろしく御伝声のほど願い上げます。 ただ、小生まことに浅学非才、かつ日本語がよく読解出来ませぬため、何とも理解いたしかねる点、多々ござりますれば、まずその不審点の一部を指摘させていただきたく存じます。

2016-05-08 14:38:53
山本七平bot @yamamoto7hei

③まず第一の不審点でありますが、和英辞典によりますと、公開状とはオープン・レターの意味とあります。 従ってこの言葉は公開書簡(オープン・レター)と同義と存じますが、私は未だかつて本多様から、公開・非公開を問わず一通の書簡も拝受した記憶がございません。

2016-05-08 15:09:07
山本七平bot @yamamoto7hei

④元来「公開書簡」と申すものは、「公開書簡」と明記した手紙を相手に送り、然る後に公開すべきものであります。

2016-05-08 15:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤私は最初、本多様が…「公開状」という言葉を意味がわからぬままに使い、そのため…いきなり「公開状」を掲載した雑誌が飛び込んで来たのかと思いましたが、『朝日新聞』の記者がそのように非常識だと考える事は、ただに本多様に失札なだけでなく、(続

2016-05-08 16:09:06
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥続>当方が非常識の誹(そし)りをまぬかれざることと愚考いたし、おそらくは郵便の事故で雑誌の方が先に到着し、「公開書簡」そのものは近々手元に届くことと確信し、かつ書状と『諸君!』誌の内容とは同じであるという想定のもとに返書をしたためました次第であります。

2016-05-08 16:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦とは申せ、後述いたしますように、どうも不審な点が残ります。 するとやはり「火事できのこ」が飛んで来たのでしょうか? 第二の不審点に移ります。

2016-05-08 17:09:14
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧すぐ「ゴメンナサイ」というのは日本人だけだ、 という指摘には、 「困っちゃったよ。だって全く同じことを、僕自身がベンダサン氏よりずっと前に書いているんだから」 というお言葉です。

2016-05-08 17:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨これを読みまして私も思わず、 「困っちゃったよ、だって私は、漱石がこのことを指摘している、と書いているんだから」 と呟いてしまいました。 事実私は、この「ゴメンナサイ」すなわち日本人の「謝罪」の不思議を最初に取り上げたのは漱石だと記し、(続

2016-05-08 18:09:02
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩続>これを 「一つの疑問として最初に取り上げたのは”私の知る限りでは”有名な作家夏目漱石です」 と明記した上で、漱石がこれを指摘した個所を引用し、ついでそれを解説し敷衍しているだけであって、もちろん私の発見だなどとは書いておりません。

2016-05-08 18:38:57
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪漱石と違った見方からする指摘なら、漱石以前にも文字通り腐るほどあります。 従って私にとりましては、この事実そのものは「旧聞」であり、従って私の如き「旧聞記者」が古い資料から取り出す対象であっても、(続

2016-05-08 19:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫続>本多様のような「新聞記者」が新聞として報道される対象とは到底考えも及ばず、従って最近の新聞に掲載されていようなどとは夢想だにいたしませんでした。

2016-05-08 19:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬いやいや失礼を申し上げたのかも知れません。 本多様が 「僕自身が…ずっと前に書いているんだから」 と明記された以上、おそらく漱石以前に新聞に書いたという意味でしょう。 すると『坊っちゃん』発行以前ということになります。

2016-05-08 20:09:14
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭明治何年何月何日の新聞に書かれたのか後学のため御教示いただければ幸いです。 といたしますと本多様はもう米寿に近いお年のはず、老躯をひっさげての取材の旅、心より敬服いたします。

2016-05-08 20:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮未だ尊顔を拝する機会がなく真に残念に存じますが、私が如き若輩がかかる老大家より直接公開書簡をいただけますことは光栄の至りで、拝受の節は家宝といたす所存でございます。 と考えますと少々不審になります。

2016-05-08 21:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯あまりの不思議に、小生一時は、本多様が私の書いたものを読まずに批判されたのかと思い込みそうになりました。 しかし本多様は、最も良心的な『朝日新聞』の良心とも言うべき方と伺いましたので、その方が調べずに記事を書くはずがない。

2016-05-08 21:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰かような失礼な想像をいたし、そのようなことを記せば朝日新聞社より名誉毀損で訴えられてもいたし方なきことだと愚考いたしました。 第一、拙文の「漱石の指摘」以降の部分のみなら、読みますに三十分かかるはずがございません。

2016-05-08 22:09:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑱三十分で確実に判る事を調べずして記事にする記者がいたら、その人自身が新聞記者の資格がないのみならず、その新聞自体がもはや信頼できる新聞とはいえなくなります。 従いまして漱石先生と因縁浅からぬ『朝日新聞』の名誉の為、本多様を米寿にお近い方と考えざるを得なくなりました訳であります。

2016-05-08 22:38:52