ニンジャカタナ!Location#A.D2399 Chapter 5 『緑―ミドリノエニシ―縁』

@NJkatanaにて連載中のニンジャカタナ!まとめです。 連載はTwitterにて行っておりますが、保管はカクヨムにて行っています。以下保管庫https://kakuyomu.jp/works/1177354054880208335
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ニンジャカタナ! @NJkatana

ニンジャカタナ!はTwitter小説です。自分から小説を探す手間もかからず、ただ@NJkatanaをフォローするだけでラジオやテレビ感覚で気軽に小説を楽しむことができます。『フハハ、そこまで言うなら見てやろうではないか!』という方はぜひ@NJkatanaをフォロー下さいませ!

2016-05-15 15:45:14
ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは!Twitterでの予告通り、間もなくニンジャカタナ!の最新話Twitter連載を開始します!

2016-05-15 19:26:40
ニンジャカタナ! @NJkatana

ニンジャカタナ!はSF冒険小説となっています。現代から約1000年後。地球は一度地上全てが凍り付く全球凍結を経て文明が崩壊しています。そんな世界を舞台に、ニンジャの少年カタナと、発明少女リーゼが訪れる様々な場所で冒険が繰り広げられる形式となっています。

2016-05-15 19:28:06
ニンジャカタナ! @NJkatana

物語は現在、王道SFの#93。スチームパンクの#225。文明崩壊前夜の#A.D2399があり、それぞれ独立しているため、どこからでもお楽しみいただけます。全話、下記アドレスから閲覧可能となっています。 kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-05-15 19:29:46
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それでは皆様、しばしTLをお借り致します。どうぞテレビやラジオの流し見感覚で、ごゆるりとお気軽にお楽しみ下さいませ! pic.twitter.com/sogIFZo2qu

2016-05-15 19:30:48
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ニンジャカタナLocation#A.D2399 Chapter 5 緑―ミドリノエニシ―縁 ――――――――――――――◆

2016-05-15 19:31:38
ニンジャカタナ! @NJkatana

「う――ぐっ!」 思考が一気に回り始める。恐怖にすくんでいた僕の心に、感情の息吹が戻ってくる。 金属の壁をぶちぬいて、めり込むように倒れる蒼髪の少年は全身傷だらけ。見る限り武器も持ってない。そして重要なのは、こいつがニンジャとほとんど同じ見た目をしてるってこと――。

2016-05-15 19:32:53
ニンジャカタナ! @NJkatana

(ニンジャ……なのか?) 僕は必死に考えを巡らせる。なんのためにって? 決まってる。もしニンジャなら、こんなに弱ったニンジャを放っておくなんてことはしない。今度こそ、殺してやる。 この600年で、僕の中のニンジャに対する気持ちは大きく変わっていた。それは、怖さを上回る、怒り。

2016-05-15 19:34:49
ニンジャカタナ! @NJkatana

父さんや先生を失った恐怖が増すのと一緒に、僕の中のニンジャに対する怒りの気持ちもどんどん強くなっていた。 自暴自棄になっていたのもある。誰とも関わらず600年も過ごしてきた僕は、どうせもう死人と変わらない。ニンジャと戦って、怒りをぶつけて、それで死んだからなんだっていうんだ。

2016-05-15 19:36:14
ニンジャカタナ! @NJkatana

ここはどこともわからない多次元世界。 砂漠に落ちた一本の針なんて生ぬるいくらい、僕以外の人がここに現れる確率は低いはず。つまり、こいつは絶対に普通じゃない。こいつがニンジャである可能性は、限りなく高い――。 (――殺せる――) 僕ののど元を、飲み込んだつばが通り過ぎる。

2016-05-15 19:38:13
ニンジャカタナ! @NJkatana

一歩踏み出す。後ろに控える戦闘用のビーンズが、銃口を傷だらけの少年に向ける。 「――僕がどれだけ苦しんだか、思い知らせてやる!」 瞳孔が開くのを感じる。当たり前だけど、僕は人を殺したことなんて無い。でも殺す。今、殺してやる!  「やれ! ビーン……」 「――悪い、謝る――」

2016-05-15 19:39:37
ニンジャカタナ! @NJkatana

――!? 射殺の指示を出そうとしていた僕の手が止まる。今、こいつはなんて言った? 「――よくわかんねえけど、ニンジャになんかされたんだろ?」 「お、お前だってニンジャじゃないか!」 少年は体を起しながら僕を見る。蒼い髪に蒼い瞳。やっぱりそうだ。やっぱりあのニンジャと同じ!

2016-05-15 19:41:31
ニンジャカタナ! @NJkatana

「そうだよ! だから謝ってる」 「ふざけるな! なんでお前なんかが僕の――」 そうだ、どうしてこいつは僕がニンジャを恨んでいることを知ってるんだ? それに謝るって、こいつもニンジャなのに。ニンジャは全部同じじゃないのか? でも、あの女の子は自分をニンジャだってひとくくりに――。

2016-05-15 19:43:11
ニンジャカタナ! @NJkatana

「危ねえ!」 「え?」 声と同時、二体のビーンズが爆発してB.Bのアームも吹き飛ぶ。僕が立ってた場所の壁が左右どちらも真っ二つに。切断面が煙を上げて溶け出す。 僕は――。 「カミサマー!」 「くそっ!」 僕は、いつの間にか、目の前にいたはずの少年に抱きかかえられてた――。

2016-05-15 19:44:42
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――次元航行可能な船。どこの所属だ?」 疑問を尋ねる隙もなかった。さっきまで僕のいた位置の空間が放電してぐにゃりと歪む。聞こえてくる悪魔のささやきのような声。現れる白髪の大男――。 「まぁいい――」 大男はそう言って笑うと、獰猛なライオンみたいな目を僕に向けた。

2016-05-15 19:48:25
ニンジャカタナ! @NJkatana

その装備は僕の知るニンジャと同じ技術体系だ。黒いスーツに赤く光るライン。肩には重厚なアーマーが組み合わされて、左右の手には赤く輝く剣――。 「――ニンジャが、二人?」 「ほう、俺達のことを知っているのか?」 僕の言葉に、男は驚きを隠さない。 「やめろ! こいつは関係ねぇ!」

2016-05-15 19:50:10
ニンジャカタナ! @NJkatana

男が笑う。赤い閃光が奔る。  ああ、本当にこいつらはニンジャなんだ。 600年ぶりに見た光に、僕の心があっという間に萎れていくのを感じていた。 「100年だ。俺とお前が打ち直されるまでに100年かかった。もはや仲間がどうなったのかもわからん。全て、お前の咎だ――無銘のカタナ」

2016-05-15 19:52:08
ニンジャカタナ! @NJkatana

「みんな消えちまうなんて、俺だって知らなかったんだ!」 迫る赤い光に目を閉じた僕の耳に、二人の会話と落雷のような音が飛び込んでくる。 恐る恐る光に目を向けると、そこには僕を抱え、左手に持った緑の剣で赤い光を止める、カタナって呼ばれた方のニンジャがいた。 僕を、庇ってる――?

2016-05-15 19:53:52
ニンジャカタナ! @NJkatana

「お前は出来損ないだった。俺はそんなお前にも目をかけ、徹底的に鍛え上げた。その結果がこれだ。俺はニンジャの長として、お前だけは消さねばならない」 「――感謝してる。悪いとも思ってる。謝って済むなら、何度だって謝る――」 僕を抱えるカタナの腕にぎゅっと力がこもるのがわかった。

2016-05-15 19:55:53
ニンジャカタナ! @NJkatana

「でもダメだ。あんたで最後ってんなら、俺はあんたも倒す!」 視界が飛ぶ。目の前の大男が一瞬で小さくなる。通路が魚眼レンズ越しみたいに歪んで伸びる――。 「かつてこのアレイドとここまで拮抗した者はいなかった」 嘘だ。声が、耳元から聞こえる。 「そんな小者を庇って終わるか?」

2016-05-15 19:57:30
ニンジャカタナ! @NJkatana

「うわああああああ!」 「させるかよ!」 さっきの雷みたいな音が耳元で響く。カタナは左手の剣で迫る赤い剣を弾き飛ばす。でもその勢いで加速がなくなり、僕達は全然違う場所に放り出される。 ぐるぐると回る視界。カタナは僕を抱えたまま空中で回転、二度三度と壁を蹴って地面に着地した。

2016-05-15 19:59:58
ニンジャカタナ! @NJkatana

ここは作業室?  どうやって一瞬でこんな離れた場所に!? 「ダイジョウブデスカ!」 「B.B! どうしてお前まで!?」 「友達なんだろ? お前が守ってやってくれよな!」 カタナは僕を振り返らずにそう言った。さっきまでズタズタだったはずなのに、体の傷はもうどこにもなかった。

2016-05-15 20:02:00
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ふざけるな!お前がニンジャだっていうなら、お前だって僕の敵だ!ニンジャは、僕の父さんと先生を殺したんだぞ!」 「……だよな」 気配がする。頭上を見る。空間が歪んで、現れた男と視線がぶつかる。アレイドが、笑みを浮かべて落ちてくる。 「約束する。これが終わったら、なんでもする」

2016-05-15 20:04:21
ニンジャカタナ! @NJkatana

アレイドを見上げたまま、カタナは僕に向かってそう言った。 「な、なんでもって……君は、どうして……」 「これで最後なんだ。絶対にやるって決めたんだ。だから頼む、少しだけ待っててくれ!」 カタナの周りが緑色に光った。光が圧を生んで僕の髪をふわりとなびかせ、大気が渦を巻く。

2016-05-15 20:06:20
ニンジャカタナ! @NJkatana

「支配こそニンジャのあるべき姿だと教えたはずだ。お前の緑光で俺は倒せん」 「はっ! こいつらはそんなことされたくねーってよ!」 カタナの髪の色が緑に染まる。大きな倉庫の半分が緑色の光で埋まった。もう半分は、アレイドの赤い光で埋まっていた。 「くそっ! 勝手なことばかり――」

2016-05-15 20:08:27