まばゆいエレン先生の背後に広がる闇

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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

私の翻訳をある出版社の社長さんが「もう翻訳語じゃない、日本語だ」と褒めてくださったのはうれしかった。どうも春樹は読んでいて受け付けない理由は、このいかにもの翻訳臭さが生理的になじめないからか。twitter.com/kossetsu/statu…

2016-05-16 10:44:11
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

「彼は優秀な生徒だが、遅刻魔だ」と「彼は優秀な生徒だ。しかし遅刻魔だ」の二文。「だが」は接続詞ではありません接続助詞。「しかし」が接続詞。学校の国語は後者ばっかり教えて前者を教えない。それがやがて英語嫌い量産の礎となってしまう。 pic.twitter.com/DBvH7WeXHK

2016-05-16 10:49:18
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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

3)「が」は逆接とは限らない。接続助詞の「が」(または「だが」)英語でいう副詞節であってbutではないことのほうがずっと多い。日本語で作文していると「が」をどうしても連発しがちなので、できるだけ使用頻度を減らすよう心掛けている。

2016-05-16 10:56:32
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

4)「人間は必ず死ぬ」「ソクラテスは人間である」「ゆえにソクラテスはいつか必ず死ぬ」 三段論法の基本。ここから形式論理学が生まれた。面白いことに形式論理学では「しかし」がないのです。つまりどんな言語の接続詞も「しかし」がある限り論理が破たんする宿命。

2016-05-16 11:05:39
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

5)「必死で走った。だから二位だった」も「必死で走った。けれども二位だった」も成り立ってしまう。ということは「だから」や「けれども」(「しかし」と同義)に代表される接続詞はしょせんは話者の感情を伝える道具であって論理関係は示せない。 pic.twitter.com/RJb4Bq1gYv

2016-05-16 11:09:24
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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

6)ピーターセン教授が教え子に英作文させて「三年連続で負けた。しかし今年は勝ちたい」と(英文で)書いてきたのを見て「三年負け続けたのなら『しかし』ではなくて『だから』を使うべきじゃないのかね」と首をひねったという逸話は示唆的です。

2016-05-16 11:11:50
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

7)日本語の接続詞は、英語をはじめとするヨーロッパ系言語の話者にすると、接続詞として機能していないように思えるのか。

2016-05-16 11:12:54
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

8)中二の英語で受動態って習いますよね。いわゆる受身形。受け身にできるのは他動詞のときです。自動詞ではできない。ところが日本語では「雨が降る」を堂々と「雨に降られる」と受け身化できてしまうのです。「降る」はどう見ても自動詞なのに。なぜかわかりますか。

2016-05-16 11:14:37
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

9)外国人向けの日本語文法では、こういう摩訶不思議な受動態を「迷惑の受け身」と説明しています。「雨に降られる」だと、雨が降ってきていや大変だったよ傘持ってなくってサなニュアンスがでますよね。迷惑のニュアンス。

2016-05-16 11:16:01
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

10)そもそも自動詞、他動詞という分け方じたいが西洋人が勝手にグローバルスタンダードに仕立て上げたものでしかない。「戸を開ける」「戸が開く」の場合なら「開ける」が他動詞で「開く」が自動詞と理解してもいいけれど、「床を磨く」の「磨く」を仮に他動詞として、じゃあ自動詞は何?ないよね。

2016-05-16 11:17:47
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

11)英語では自動詞と他動詞が同じ姿をしていることがほとんどです。I open the door.(戸を開ける)も The door opens.(戸が開く」も同じopenだし。一方で日本語は「開ける」「開く」と使い分けています。これは世界でも割と珍しいそうです。

2016-05-16 11:19:40
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

12)「床を磨く」の「磨く」が他動詞とすると、じゃあ自動詞としてどんな動詞がある?ないんですよ。こういうときは「床が磨かれる」とすると自動詞っぽいニュアンスを出せる。受動態ですね。

2016-05-16 11:21:52
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

13)「雨が降る」の「降る」は英文法の理屈で考えると自動詞です。「降る」に対応する他動詞は思いつかない。そういうときは「雨を降らす」とする。使役文です。

2016-05-16 11:23:19
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

14)ちょっと脱線しましたが、要するに ①日本語では動詞が自動詞、他動詞で姿が違ってくる(例:「開く」と「開ける」) ②こういう自動詞・他動詞のペアがない動詞(例:「磨く」「降る」)も存在する ③そういうペアなしの動詞さんについては自動詞とか他動詞とか分類せず「動詞」と呼ぶ

2016-05-16 11:27:21
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

15)ここが出発点となります。いいですか自動詞/他動詞の分け方は、古代ギリシャの文法を始祖にしたものであって少なくとも日本語に100%は通用しないのです。多少は使えるけれど、途中で説明つかなくなる。その延長に「雨に降られる」という受動態としてありえないはずなのにありえる文がある。

2016-05-16 11:29:37
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

16)古代ギリシャの文法を始祖(というかお手本)にまとめられた英文法と、『万葉集』や『古事記』の解読のために編み出された本居宣長のメソッドが、明治になってごっちゃまぜになって、私たちが学校で教え込まれたあの退屈な国文法が生まれました。

2016-05-16 11:33:11
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

17)この大混乱のつけを、義務教育と称して子どもらに押し付けているのがこの国の教育システムです。

2016-05-16 11:34:13
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

18)国語のなかではとりあえず完成した語彙空間を作り上げたつもりでも、ほかの言語にそのまま移植すると、それこそ先に紹介した「日本の学生はどいつもこいつも接続詞をめちゃくちゃに使ってきよる」な嘆きを生む。

2016-05-16 11:36:03
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

19)エレン先生のめちゃくちゃな英語も、このあたりが水源地とみます。 pic.twitter.com/psmjXZY46h

2016-05-16 11:37:12
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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

20)英文としてはめちゃくちゃなんですよ彼女の喋り。ところがこの教科書を使っている生徒さんたちが、辞書を使ってごりごり和訳すると、ちゃんと意味のとれる日本語文になってしまう。

2016-05-16 11:39:05
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

21)なぜそういうマジックが生じるかというと、教科書作成チームがそもそも日本語でまず台本を書いて、それを英語に直訳してこしらえたのがエレン先生の喋りだからです。元が日本語なんだから日本語に戻せば日本語になる、というわけです。

2016-05-16 11:40:23
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

22)英文のふりをした日本語でしかないわけです。

2016-05-16 11:40:46
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

23)暗号解読ゲームと同じ。ただ暗号は外部の人間に解読されないことを至上命題としているのにたいし、外国語は外部の人間(その外国語を理解する人間)に理解されることを至上命題としています。

2016-05-16 11:42:43
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

24)エレン先生の英語は、英語ネイティヴには「はあ?なにこれ暗号?」としか取られないでしょう。

2016-05-16 11:43:29
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

25)国語の相対化が小学校の国語の授業で教えられていないツケが、彼女にまわっているのです。

2016-05-16 11:44:27