- tasobussharima1
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「……と、いうわけで、共同作戦でおじゃる」 何はともあれ、成すべきことは定まった。かき集められた徳ジェネレータは花の蕾のようなその筐体を無造作に両断され、その底板を晒している。 超高密度三次元複合集積構造体。徳ジェネレータの心臓部、マンダラ・サーキット。
2016-05-16 21:04:05現在の人類には、既に製造不能な構造物。ロスト徳ノロジーの中枢、形而上と形而下を繋ぐ門。それは今、太陽の光に曝され虹色に耀いている。 「……不幸中の幸いでおじゃるなぁ」 資材運搬用に換装されたロボ牛車に徳ジェネレータの下半分を積み込みながら、『マロ』は呟く。
2016-05-16 21:08:04「……そうかなぁ」 いや、幸いなのだ。塞翁が馬と言うべきかもしれないが。 徳ジェネレータは、貴重な集落の資産である。それを持ち出し、まして使い潰すことなど、平素であれば同意を得ることは困難であっただろう。最終的に可能としても、大きなしこりを残した筈だ。 だが、今は事情が異なる。
2016-05-16 21:12:07「船団」のエージェント……確証は無いが、もはや確実と見てよいだろう。彼が集落をかき回したせいだ。 混乱を避けるため、『マロ』は犯人探しを始めとして締め付けを強化してきた。 彼の意思としては不本意なことながら、『マロ』は今、かつてないほど強権を振るえる状態にあるのだ。
2016-05-16 21:16:02問題が後回しになってるだけな気はするけど、まぁタイムリミットがある中で揉めずにすんだのは良し、と #徳パンク
2016-05-16 21:17:16もしかすると、それすらもあの第三席の掌の上なのではないか、という思考すら脳裏を過る。 それらをヤオに告げることは、彼はしないのだが。 「……乗り心地が悪いでおじゃる」 「仕方ないよ」 リミッターを解除したロボット牛に股がり、二人は海岸への道を進む。
2016-05-16 21:20:03爆破用の徳ジェネレータ。それを駆動するための徳ジェネレータ。更に予備の徳ジェネレータと、それらに焚べるための徳エネルギー結晶体。「船団」との通信機材。途中からは集落の人々の手も借りながら、珍妙な行列は海へと歩む。 あの通信の終わりから、既に数時間が経過している。
2016-05-16 21:24:04当初の計画を見る限りはそこまで考えてはいなさそうだけど……でもよく考えたら、結局パイプラインが崩壊して得度兵器が攻めてくる状態になったらわりとマロ氏の集落内での立場的にマイナス補正かかってるんじゃないのかな #徳パンク
2016-05-16 21:24:09というけタイプ・シャカニョライは数時間ずっと徳エネルギーフィールドを維持したまま穂状で座ってるのか。さすが仏舎利搭載機だ #徳パンク
2016-05-16 21:26:54『マロ』の理論が正しければ、徳エネルギーフィールドの内側は巨大なフラスコめいた隔離空間だ。それは命あるものの徳を強制的に解き放ち、徳エネルギーとして解放する。 そして……フラスコの中の徳エネルギーが一定レベルに達したとき、ある種の相転移が発生する。徳カリプスの再来である。
2016-05-16 21:28:03徳エネルギーフィールドの中が十分量の徳エネルギーで満たされるまでは、時間がかかる。それが、即ちタイムリミットまでの猶予の正体だ。 まして、あの得度兵器のフィールドは『広すぎる』。徳島の結晶体を消費したとしても、フィールドの内側を充たすには、最低でもあと数時間はかかろう。
2016-05-16 21:32:08ガンダーラが徳エネルギーフィールドで壊滅したのってもしかして曲がりなりにもそれなりに徳を積んだ僧侶の集団だったからで、さっぱり徳を積んでいない徳なき民ならそんなに大きな影響はないのかな。赤い結晶みたいなのが一緒に巻き込まれない限りは #徳パンク
2016-05-16 21:32:23だが、徳科学に精通した読者にはお分かり頂けると思うが、この現象は徳カリプスと「結果」は同じだが、プロセスは些か異なる。 (これは、徳カリプスというよりは寧ろ……『奇跡』に近いでおじゃる) 分析を進めるごと、『マロ』の心中は穏やかならざるものとなっていった。
2016-05-16 21:36:04