編集部イチオシ

初出探偵・カスガ氏の元ネタ探しファイル~ヒーローから各種SF、人情ものまで

カスガ @kasuga391 さんはそのツイートでしばしば、現在定番になっているテーマや設定の、古い系譜や元祖を提示してくれており、勝手に自分は「初出探偵」と呼んでいるのですが、最近そういう話題が続いていたので、これまた勝手に章立てして「短編集」としてまとめました。 まとめ人の特権で、そこから当方が感じた考えた感想なども盛り込んでいます。これ、どこにカテゴリ分けすべきかなあ…
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リンク コミック小学館ブックス 怪獣人生 (メカ) ほりのぶゆき - コミック小学館ブックス 公式配信 「侍もの」でデビューした作者が、そこから脱却しようと打ち出した新機軸は――「怪獣!」。ハードボイルド獣、怪獣大喜利、怪獣学園、シリーズ働く怪獣・山岳救助獣、家政獣は見た! ドケチ獣の節約街破壊術など、怪獣×いちびりな世相が生んだ微妙なネタの数々。※注:内容は「メカ」とはあまり関係ありません
gryphon(まとめ用RT多) @gryphonjapan

「意に添わぬ相手とのお見合いや婚約をことわるために、一日だけ恋人のふりをして!」話も、ラニアン原作をキャプラが撮った映画からの派生形…ということでよろしいのかな(誰に聞いてるんだ)

2016-05-23 11:54:20

3:最初期?の「人類破滅SF」を読む

カスガ @kasuga391

私、破滅テーマや終末テーマ物のSFが大好きなんだよ。チャペックの『山椒魚戦争』とかエレンブルクの『トラストDE』とかバルジャベルの『荒廃』とか、有名どころは大抵読んでる。『虚航船団』も一種の終末テーマSFだしね。

2016-05-12 20:33:02
カスガ @kasuga391

で、先日メアリ・シェリー(フランケンシュタインの作者だよ)の人類絶滅SF『最後のひとり』(1826年)を読み終えたんだけど、これ結構な苦行だった。

2016-05-12 20:33:25
カスガ @kasuga391

19世紀初頭にはフランスの作家クーザン・ド・グランヴィルの『最後の人間』(1805年)を皮切りに、世界の終末を描いた小説がやたら流行った時期があり、シェリーの作品もそれらのブームの影響下に執筆された作品だった(と、解説には書いてあった)。

2016-05-12 20:33:51
カスガ @kasuga391

グランヴィルの作品からの影響は明らかで、ナポリの洞窟で発見されたシビュラの言の葉を介して21世紀末の人類の滅亡が描かれるという『最後のひとり』の序章は、パルミラの洞窟で未来を見通す精霊から人類の終焉を見せられるという『最後の人間』の枠組みを、そのままパクってる。

2016-05-12 20:34:19
カスガ @kasuga391

しかしながら、グランヴィルの作品では人類の絶滅は不妊によってもたらされていたが、シェリーはボッカチョやデフォーの作品からも着想を得て、「疫病による人類の絶滅」というアイデアを盛り込んだ。

2016-05-12 20:34:47
カスガ @kasuga391

この二つの全然関係ない既存の作品を組み合わせて、あたらしい作品を作り出す、というのは創作において基本的な手法で、「過去に前例のない斬新なアイデア」と思われているものも、実は複数の先行作品のアイデアの組み合わせだったりする。

2016-05-12 20:35:35
カスガ @kasuga391

ウェルズの『宇宙戦争』(1898年)にしても、イギリスがドイツの奇襲を受けて壊滅する「ドーキングの戦い」(1871年)という軍事小説と、古代人の部族が熱線を操る未知の生物と戦う「クシペユ」(1887年)という短篇を組み合わせたものなんだよ。

2016-05-12 20:36:11
カスガ @kasuga391

あ、当時のベストセラーだった「ドーキングの戦い」はともかく、ウェルズが「クシペユ」を読んでいたかどうかの確証はないです。でも、個人的にはウェルズが「クシペユ」から火星人の着想を得た可能性はかなり高いと思ってます。

2016-05-12 20:36:55
カスガ @kasuga391

少なくとも「クシペユ」の更に元ネタである、異星の環境に適応した生物を描いた天文学者カミーユ・フラマリオンの『空想の世界と現実の世界』や『ルーメン』あたりは、確実にウェルズに影響を与えているはず(現物読んだことないけど)。

2016-05-12 20:37:24
カスガ @kasuga391

で、話をシェリーの『最後のひとり』に戻すと、既に最初期の破滅テーマである本作で、この天災を神罰だと主張する狂信者や、社会的な階級差が消滅したことで結ばれる身分違いのカップルなど、既に後の破滅テーマの定番ネタが盛り込まれている。

2016-05-12 20:38:01
カスガ @kasuga391

そして雑草に覆われて荒廃していく都市の描写や、無人となった世界を放浪する主人公の様子などが、シェリーの美しい筆致で語られる。

2016-05-12 20:38:49
カスガ @kasuga391

ただいかんせん、一巻がすっげえつまんねえんだよ、この本。

2016-05-12 20:39:08
カスガ @kasuga391

第一巻では、滅亡とほとんど関係ない主人公とその友人達の一族や生い立ちの話が延々と続く。これだけで全体の三分の一以上、200ページ近くある。翻訳だから何とか読み通せたけど、原書だったら確実に一巻の途中で投げ出してた。

2016-05-12 20:39:48
ギア @dimensioniar

@kasuga391 個人的にはチャペックの「絶対製造工場」を思い出したのですが、これはちょっと違うジャンルでしょうか……(´・ω・`)

2016-05-12 23:47:29
カスガ @kasuga391

@dimensioniar 『絶対製造工場』は「終末」と言うより「新装開店」のような気が。まあ、それ言い出すと『荒廃』もそうなんですが。

2016-05-13 21:17:07

4:黄金バットはスーパーマンの前…ひょっとして「世界初のスーパーヒーロー」?

(※ヒーローの定義によります)

~あるいは「ヒーローの高笑い」の系譜

荒木 九郎 @stein00000

@ut_ken @gishigaku @keisatsuken1971 アメコミヒーローの偏ったテンプレとして、全身タイツのマッチョが「HAHAHAHA」笑うというのがあると思うのですが、タイツとマッチョはともかくそんな笑い方するヒーローっているんでしょうか。

2016-05-19 17:37:58
カスガ @kasuga391

この一昔前によく使われてた「ジャック・カービー風の絵柄でHAHAHAと高笑いするアメコミヒーロー」の発祥が何なのか、未だにわからない。戦後に入ってきたアメコミと戦前の黄金バットのイメージがごっちゃになってるのかな? twitter.com/stein00000/sta…

2016-05-20 19:36:58
カスガ @kasuga391

黄金バットは世界最初のスーパーヒーローかもしれないという話。 comicsbulletin.com/first-superher… pic.twitter.com/sB2CngWvkn

2016-05-20 19:47:43
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カスガ @kasuga391

当時25歳の鈴木一郎と17歳の永松健夫により黄金バットが生み出されたのは1930年の冬で、これはスーパーマンの誕生より8年、超能力を持たないコスチュームヒーローであるザ・ファントムと比べても6年早かった。

2016-05-20 19:48:24
カスガ @kasuga391

では、本当に黄金バット以前に「スーパーヒーロー」と呼ばれ得るキャラクターは存在しなかったのか。ここで重要になるのはスーパーヒーローの定義である。

2016-05-20 19:48:52
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