【本多勝一様への返書⑤】残虐少尉をなぜ匿名にしたか/~本多勝一の唱える責任の追及は、実際には何もしない「天皇制下の一億総懺悔」に過ぎない~

イザヤ・ベンダサン『日本教について~あるユダヤ人への手紙~』/本多勝一様への返書/残虐少尉をなぜ匿名にしたか/196頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【残虐少尉をなぜ匿名にしたか】しかし何としても不思議に耐えられないのは「天皇の責任追及」という貴方の言葉の具体的内容です。 何度も申し上げますのは、「追及」とは、何かを直接にする積極的行為の筈で、何かをしないということではない筈です。<『日本教について/イザヤ・ベンダサン』

2016-05-10 14:38:58
山本七平bot @yamamoto7hei

②「ドバカな記事を書かない」とかNHK受信料の不払いとかということは、いわば「お茶をにごして」いるだけであり、これが「天皇の責任追及」という言葉の具体的内容だといわれて、 「ハイ、さようですか」 と承服できる民族が、この地球上に、日本教徒以外には存在するとは思えません。

2016-05-10 15:09:08
山本七平bot @yamamoto7hei

③私が『諸君!』誌に 「日本人はまた中国問題で大きな失敗をするのではないか」 と書きましたのはこの点です。 文化大革命後の中国人が「天皇の責任追及」という意味の言葉を耳にしたとき、その言葉の具体的内容をどう受けとっているかという問題です。

2016-05-10 15:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

④「天皇の責任を追及するのは私の責任です」 ということを言いまわることによって「責任は解除された」と解し、天皇に公開書簡一通を送ることすらしなくとも、それで本多様が責任を完うしたと彼らが考えるかどうか、 という問題です。 問題はどんなに迂回しても、ここへ来るわけです。

2016-05-10 16:09:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤しかし私は中国について何も知りませんので、ここは疑問の提出に終ります。 天皇制については少しくつけ加えます。

2016-05-10 16:38:50
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥「天皇の責任を追及するのは私の責任である」 といえば、聴衆や読者が 「いや我々の責任です」 といい、相互にそういい合うことによって責任が解除されるので、実際には何もしないという集団相互懺悔相互告解方式を、私は「天皇制下の一億総懺悔」と同じものと考えておりますから、(続

2016-05-10 17:09:11
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦たとえ本多解放軍が東京を占領して日本人民共和国が成立し、第一代大統領本多勝一閣下が出現しても、それで天皇制が終ったとは考えません。 と申しますのは、本多様はすでに「集団的総懺悔」の象徴に即位しておられる本多小天皇だと思いますから。

2016-05-10 17:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧もちろんこれは仮定です。 と申しますのは、後述するように本多様が活躍されればされるだけ、天皇は御安泰でしょうから。 ではここで、第五の不審点に移ります。 実はこの不審点が私に『朝日新聞』を取り上げさせたわけです。

2016-05-10 18:09:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨この不審点は相当にはっきり『諸君!』に書いておりますのですが、本多様は結局、言を左右にして何も答えてくださらないので、もう一度、さらに具体的に記します。 私の質問はきわめて簡単で、 なぜ加害者の名を匿名にするのか という一事です。

2016-05-10 18:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩本多様はこの質問にはよほど答えたくないとみえ、何とか体をかわそうとされ、こちらの質問の要点を封ずるためか 「読まないで批評している」 「勇み足」 「かみつく」等々 と書いておられます。

2016-05-10 19:09:05
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪「読まないで批評している」といわれて、 「いや、おれは読んだ」 などと反論をいたすのはあまりにユーモアがございますまい。 ではここで、本多様の一文を「読まないで」引用させていただきます。

2016-05-10 19:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫【AとBの二人の少尉に対して、ある日上官が殺人ゲームをけしかけた。 南京郊外の句容から湯山までの約十キロの間に、百人の中国人を先に殺した方に賞を出そう。 …二人はゲームを開始した。 結果はAが89人、Bが78人にとどまった。 湯山に着いた上官は、再び命令した。】

2016-05-10 20:09:12
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬【湯山から紫金山までの約十五キロの間にもう一度百人を殺せ、と。 結果はAが百六人、Bが百五人だった。 今度は二人とも目標に達したが、上官はいった―― 「どちらが先に百人に達したかわからんじゃないか。またやり直しだ。紫金山から南京城までの八キロで、こんどは百五十人が目標だ」】

2016-05-10 20:38:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭【この区間は城壁に近く、人口が多い。結果ははっきりしないが、二人はたぶん目標に達した可能性が高いと姜さんはみている。】 私は本多様の『中国の旅』の最初からある一つの「感じ」を抱いておりましたが、その「感じ」がここで決定的な事実として表われたわけです。

2016-05-10 21:09:11
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮本多様はまず 「事実そのものを知らせるのがルポだ」 という意味の言葉を、小生宛の「公開状」にお書きになりました。 では伺いますが、この「A少尉」「B少尉」という名前は事実そのものですか。 これが実名なら、私は自分の書きましたものを撤回いたします。

2016-05-10 21:38:57
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯この記事は非常に具体的であり、場所も殺された人数も、何十何人まで明らかですから、このA・B二少尉の実名がわからぬはずはありますまい。 まずこの二少尉とその上官の実名を伺いましょう。 ついでなぜこの実名を匿名になさいましたか、 その理由を伺いましょう。

2016-05-10 22:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰もちろんお答えになりたくなければ、お答えくださらなくても結構です。 人間が口を利くのは権利であって義務ではありませんから、その時は一言「ノー・コメント」とおっしゃれば良いのであって、「読まないで引用している」「勇み足」等々の煙幕的駄弁を弄される必要はございません。

2016-05-10 22:38:55
山本七平bot @yamamoto7hei

⑱私も答えたくないことには、遠慮なく「ノー・コメント」ですから。 もちろん「ノー・コメント」の場合は、その結果一方的に推断されても抗議の権利はありませんから、私自身につき、いろいろ推断されましたことにつきましては、何も申しません。

2016-05-10 23:09:10
山本七平bot @yamamoto7hei

⑲しかし、何としても不思議なことは、下手人の責任はもちろん追及されなければならないが、 「末端の下手人よりも、やらせた責任者がもちろん糾弾されなければならない」 と主張される本多様が、この末端の下手人、およびそれをやらせた「上官」を匿名にしたことです。

2016-05-10 23:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑳天皇の責任を糾弾すると壮語される方が、加害者の名前をふせつづけ、どうしても出さざるを得ないときにはAとかBとか上官にしてしまう。 一体この理由は何なのか。 本多様は結局ノー・コメントでしたから、私の方で推論いたす以外に方法がありません。

2016-05-11 08:09:06