- tasobussharima1
- 1068
- 2
- 0
- 0
それは、2つの場所で起こった。 徳ジェネレータが崩壊の間際に放つ、虹色の光。虹霓を大地にぶちまけたかの如き燐光の氾濫が、徳エネルギーフィールドの『淵』に沿って広がっていく。一つは徳島。もう一つは「船団」の作業船。2つの地点から広がった光は、やがて結び付き、欠けた巨大な輪を形作る。
2016-05-20 21:34:04その、欠けた場所。円形の徳エネルギーフィールドに穿たれた蝕の部分。そこは正に得度兵器達の拠点施設群であった。 施設の周辺には、巨大な霊璽めいたモノリス群が海に向かって幾つも並べられ、小刻みな振動を続けている。 それらは全て、施設を守護する徳エネルギーフィールドの中和器である。
2016-05-20 21:38:04あ、やっぱり得度兵器は徳エネルギーフィールド対策を確立していたのね……拠点防衛用だけかもしれないけど…… #徳パンク
2016-05-20 21:39:10『マロ』達の急造品とは、比べ物にすらならない『完成品』。それですら、未踏の規模の徳エネルギーフィールドの前では余力を残す余地はない。モノリスの表面が虹色に染まり、複雑な光の紋様が浮かび上がる。ビル程の大きさのモノリスは、その全てがマンダラ・サーキットと同質の構造体でできている。
2016-05-20 21:42:05現状判明している範囲ではマンダラ・サーキットを製造できるのは得度兵器だけだとはいえ、すごい贅沢な使い方するなぁ……分かっていたことではあるけどこりゃ勝てん #徳パンク
2016-05-20 21:44:40三方向から斥力を加えられ、徳エネルギーフィールドはゆっくりと縮み……圧縮される。フィールド空間内の徳エネルギーレベルが急激に上昇する。上方へと押し出された徳エネルギーが雲を貫き、電離層と衝突して黄昏の空にオーロラを生じさせる。 それは末法の終わり。そして、救済の始まり。
2016-05-20 21:47:03その光景を目にした誰もが、天を仰いだ。大なり小なり、形は違えど、救いを願って。 そして。その願いに応えるかのように。空が、割れた。 現れたのは、巨大な手だった。輝く手が、天の隙間から現れたのだ。 「……あれは」 徳島の地。フィールドのすぐ間際で、『マロ』達はそれを目にしていた。
2016-05-20 21:50:08彼らの横では、定格出力をとうに超過した徳エネルギー中和器のマンダラ・サーキットが光を放ちながら崩壊を始めんとしている。 その『壁』が崩れれば、正に眼前の光景が彼等をもまた襲うのだ。 だが、それすら忘れる程に。眼前の超常の光景から目を離すことは出来なかった。
2016-05-20 21:54:59「……功徳とは、記憶でおじゃる」 沈黙の中で。『マロ』は、口を開く。彼だけは、目の前の現象を解き明かす言葉を持っていた。 功徳は、記憶だ。そして徳エネルギーは、その『記憶』を転写することがある。 膨大な徳エネルギーは、即ち、無秩序な人類の記憶の総和である。
2016-05-20 21:58:25