木村草太先生の報ステ(H280524)発言に関連して解散権の制約を考える

基本的に自分の勉強整理用まとめです。比較憲法学、政治学的な視点は基本的にいれていません。「法学部で憲法学として勉強する範囲のまとめ」というところでしょうか。なお、流れがわかりやすいよう時系列は少し入れ替えています。
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ドン・プロタジオ @meisouchizu

木村草太先生が、報ステで憲法7条はあくまで「国民のために」国事行為を行うと定められているから、「国民のため」ではない解散は違憲という話をしたみたいだが、完全に初耳の解釈論なんだが。TVで憲法学者として発言する以上、そういう独自すぎる解釈論はいかがなものかな。

2016-05-24 23:17:58
ドン・プロタジオ @meisouchizu

たしかに芦部憲法にも、「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である」と書かれているし、他の基本書でもこれに類する記述はよく目にするが、正直言って、基準としては曖昧すぎるし、解散権が内閣にある以上、「内閣の一方的な都合や党利党略」の全くない解散というのも観念し難い。

2016-05-24 23:25:13
銀冠 @ginkanmuri_0202

芦部憲法は「解散は内閣が国民に対して信を問う制度であるから、それに相応しい理由がなければならない」としていますね。 あくまで7条で内閣に自由な解散権があることを前提に内閣の党利党略に基づく解散は「不当」と言うに留まっていますが。 twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-24 23:26:04
ドン・プロタジオ @meisouchizu

おそらくは芦部説をベースにした話なのかなとは思いましたが、芦部憲法のあの部分の記述は率直に言って意味不明なので私は支持しないことを別にしても、7条の、おそらく特段の意味はない「国民のために」に結び付ける解釈はいかがなものかなと。 twitter.com/ginkanmuri_020…

2016-05-24 23:35:22
銀冠 @ginkanmuri_0202

どうなんでしょうね。 天皇の国事行為や内閣の助言・承認に関しては、またちょっと勉強してみます。 twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-24 23:40:22
ドン・プロタジオ @meisouchizu

解散権の限界論は専ら政治上の問題を論じているものと思われ(『憲法の争点』243頁)、そうなると結局、解釈論としては7条解散を前提とする以上、解散は内閣の自由裁量としつつ、その当否についてはまさに解散総選挙によって争われ、国民により決せられるものとする解釈以外無理なように思われる。

2016-05-24 23:57:29
ドン・プロタジオ @meisouchizu

実は私も純粋な憲法解釈として考えれば、69条限定説に分があると思う。樋口陽一先生も69条非限定説は「それぞれに難点があり」、69条限定説は「それだけの根拠がある」とし、解釈として「自然であったといえる」と書いている(樋口ほか『注釈日本国憲法 上巻』123頁)

2016-05-25 00:15:58
ドン・プロタジオ @meisouchizu

しかし、この65年近く実務上完全に確立している解釈を、変更することは法的安定性の観点からいっていかがなものか。もちろん、集団的自衛権の場合と違って、内閣の権限を自ら狭める解釈変更なので、その点では問題は少ないが、これまで7条の下で行われてきた解散総選挙の効力の問題が出てくる。

2016-05-25 00:22:08
ドン・プロタジオ @meisouchizu

「違憲」というのは私の勝手な付け足しだったかもしれません。 もう少ししたら、どこかに動画が。。。 twitter.com/SPhil1246/stat…

2016-05-25 00:26:23
ドン・プロタジオ @meisouchizu

@MaliSNacht 確かにご指摘の通り、解散権の限界の基準として引用したのは不適切でしたね。もっとも「不当」とされる場合の基準ではあるわけで、その点やや曖昧なのではないかと感じた次第です。

2016-05-25 01:32:28
ドン・プロタジオ @meisouchizu

なお芦部憲法の解散権の限界の部分は、深瀬忠一教授が1962年に書かれた論文をベースにしていると思われるが、この説は通説とは言い難い。 長谷部憲法は「有力な学説」としているし、樋口先生執筆の『注釈日本国憲法上巻』でも、解散の当否は選挙で決するというのが「一般」であるとされる。

2016-05-25 01:53:44
ドン・プロタジオ @meisouchizu

いずれにせよ芦部説(深瀬説)をベースに、解散権の限界や当・不当をTVで論ずることまでは許容範囲としても、それを7条の「国民のために」という文言に引き付けるのは木村先生の独自説と思われ、この点「独自すぎる解釈」と評しても、誇張とは言えないであろう。

2016-05-25 02:02:28
ドン・プロタジオ @meisouchizu

@MaliSNacht 『憲法の争点』243頁(上田健介先生執筆)は、「①から⑤以外の場合(引用者注ー限定列挙以外の場合)、たとえば内閣の一方的な都合や党利党略による解散は「不当」にすぎず、「違憲」とはされていない点に注意が必要である。」として、分けて理解しています。

2016-05-25 02:09:22
ドン・プロタジオ @meisouchizu

@muramurakungfu @goza_u1 まあ木村先生らしい「新手」の解釈だなあとは思いましたし、解釈論として絶対に成り立たない見解ではない気がしますが、報道番組でのコメンテーターという立場からすると、ややふさわしくないのではと思った次第です。

2016-05-25 02:41:29
ドン・プロタジオ @meisouchizu

②に関して。芦部憲法の「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である」という結論を視聴者に簡略に説明するためだったのかもしれないが、Twitter上でも、「国民のためにならない解散はやってはいけないんだ」と解釈する人も多く、やはり非常にマズい説明だったと思う。

2016-05-25 14:38:06
ドン・プロタジオ @meisouchizu

要するに、これまでの政府の解散権の解釈が誤りだったとすれば、7条の下で行われた解散総選挙は違憲無効であり、そこで選ばれた議員によって作られた法律や予算も無効であるという事になりかねない。そこは内閣法制局が事情判決的な処理を施すのかもしれないが、国民の疑念は払拭しきれないだろう。

2016-05-25 14:59:49
ドン・プロタジオ @meisouchizu

この点、木村草太先生も言っていたが、憲法改正によって解散権の限界をはっきりと定めればこのような問題は生じない。もっとも、自衛隊違憲説と同様、より文言に忠実な解釈(69条限定説)の側が、改憲を迫られるのは、奇妙な話だが、現実の法解釈の上では長年の法慣行に縛られるのは当然ともいえる。

2016-05-25 15:04:51
ドン・プロタジオ @meisouchizu

おっしゃる通りで、現行憲法下で天皇に政治的権能を負わせることは絶対ありえない以上、そう考えるよりほかないと思います。 そしてその上で、選挙において解散の是非も含めて、国民の判断を仰ぐということになろうかと思います。 twitter.com/suna_usagi/sta…

2016-05-25 19:30:35
赤い砂兎@時々黒くなる @suna_usagi

その解釈が妥当だとして、国民のためってのは誰が判断するのか。第三条では責任を負うのは内閣と明言しているし、第四条には天皇は国政に関する権能を有しないとあるんだから、内閣の判断だよな。 twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-25 17:07:53
銀冠 @ginkanmuri_0202

ぶっちゃけた話、現実政治の都合など「大人の事情」で7条解散は許容されてしまっているけれど、 政治的権能をもたない筈の天皇の国事行為関する条文から内閣の「政治的行為」ど真ん中である自由な衆院解散を正当化する事自体が変と言えば変ですか。 twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-25 19:39:00
ドン・プロタジオ @meisouchizu

法論理的に7条説が無理矢理な解釈であることは、おそらく「法律家共同体」の共通認識なんだろうと思います。しかし、それだと不合理な結論になるし、もはや実務上は完全に確立しているので、いまさら覆せないという。9条と自衛隊の関係に似てますね twitter.com/ginkanmuri_020…

2016-05-25 19:44:24
ドン・プロタジオ @meisouchizu

木村先生は、「国民のためにならない解散」とは、すなわち「争点がはっきりしない解散、党利党略による解散」と言われていました。この定義はおそらく芦部憲法をベースにしていると思われ、そこでは具体的な事例がいくつか列挙されています。 twitter.com/mina_miuri/sta…

2016-05-25 21:00:51
みなみうり💉ふ💉ふ💉も💉も @mina_miuri

そもそも国民の為かどうかの判断基準は何なんだろ。そういう解釈が成り立つのは理解できるけどさ。現実問題として天皇親政と運用不可をループしそうだけど、この解釈にはどんな意義があるんだ? twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-25 20:57:00
銀冠 @ginkanmuri_0202

芦部先生が「不当」という不明瞭な言葉を用いてまで解散権の濫用を牽制しようとした(少なくともその様に見える)のは、実務上の不合理回避の為やむを得ないとしてなし崩し的に認めた7条解散に、僅かでも歯止めをかけようとされたのかなぁ……と。 twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-25 21:08:28
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

他方、頻繁な選挙を回避するという目的から少なくとも3年の衆議院議員の任期を確保できる衆参同日選挙を目指す運用(つまり解散)が望ましいとする憲法学の重鎮の見解との折り合いはどうつけましょうか? twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-25 21:14:59
ドン・プロタジオ @meisouchizu

ごめんなさい。不勉強なものでどなたの見解か分からなかったのですが、それは大石眞先生のご見解でしょうか。国政上の習律として、そのような制約が認められるべきという議論は傾聴に値すると思うのですが、運用に期待するのもなかなか困難なのかなと twitter.com/inotake77/stat…

2016-05-25 21:34:17
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

私の記憶違いでなければ、長谷部先生がそのような見解だったと思います。ただ、ご関心は両院の任期の一致か、ねじれの防止だったかもしれませんが。 twitter.com/meisouchizu/st…

2016-05-25 22:07:31