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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
【スルー・ザ・ゴールデン・レーン】#4
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むかしむかし、途方もない可能性の海がありました。それは言葉にできない言葉と音から作られていて、果てしなく、広大無辺で、危険で、美しく、無数の星々が輝いていました。ミコー・プリエステスやゼン予言者やニンジャだけが、体からソウルを切り離して、そこを泳ぐことができました。
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他の人たちは時々、夢の中やソーマト・リコールで、偶然そこを視るだけでした。ミヤモトマサシはザゼンでそこに行こうとしましたが、みんなには真似できるはずもありません。やがて科学が発達し、電灯や電話や電算機が発明されました。その頃には、もうみんな、魔法じみた海のことなど忘れていました。
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でも、ほんの少しの人たちがそれを覚えていました。そして考えました。誰でもそこを泳げるようになれば、どうなるだろう。それを真似た海を作れば、どうなるだろう。世界は創造性と多様性に溢れた良い場所になると考える人がいました。世界は秩序だって整然とした良い場所になると考える人もいました。
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彼らは一緒になって働きました。どちらにせよ、世界を自由に作り変えられるのは素晴らしいことだと思ったからです。人々はUNIXを繋ぎ合わせて、インターネットという名前の紛い物を作りました。ずっと昔からあった、電子ネットワークの紛い物。その大部分は、メガトリイ社が自分のものにしました。
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まずは42億のIPアドレス。ネットワークに浮かぶための舟を作って、何も知らせず人々を希望の海へと送り出しました。この世の魂の数が全部で42億?いいえ、IPは繰り返し使えるチケットの数。七つのトリイ・ゲートウェイを超える時に、しばらく魂をのせる小さな舟の数。それを模した数字の羅列。
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魂の数には限りがない。可能性の海にも限りがない。でも誰かが一時的な決まりを決めて、みんながそれを信じてしまった。そうしないと、誰にも理解ができないから。誰もが理解して、誰もが使えるようにするために。予測不可能な広大な宇宙のひとくぎりを、自分たちのものにするために。
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それからどうなったのか。世界はよりよい場所になったのか。……ごめんなさい、答えはノー。メガトリイの技術者たちが何かがおかしいと思った時には、もう遅かった。昔は神聖だったものに、もう誰も敬意を払わなくなった。真っ黒に染まった本物の海やトロと同じように。そして世界は熱を失っていった。
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きっと鷲の一族は初めから知っていた。みんなが紛い物のネットワークとスシで満足すれば、彼らにそれを限界と信じさせれば、混沌の海をありふれた法で満たせば、2つの世界を完全に切り離せると。危険を察して叫んでいた人たちは誰からも真じられず、暗黒メガコーポの罠に囚われてカロウシしていった。
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鷲の一族は、もう少しで勝利をおさめるところだった。でもY2Kが全てを引き裂いて、二つの海の間に偶然、穴があいた。なんでY2Kが起こったのかは、もう誰にもわからない。そしてひどい混乱と戦争がやってきた。
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私たちは戦いに負けて、土の下。これからまた戦いを挑もうとしている。でも、地上のみんなが死んだ法に囚われたまま、自分たちの限界を決めてしまっていたら、そこでおしまい。もう勝ち目はない。もうそれで、インターネットはおしまいのこと。私たちは忘れ去られたまま、ずっと、ずっと、土の下。
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地上には過去の亡霊もうろつき始めた。紛い物のニンジャ。別の世界に生きる危険な死者たち。大丈夫、私たちはまだ生きている。さあ、目を閉じて……おやすみなさい、私のかわいいエシオ。明日が来たら、またロジックを考えましょう。そうしないと、私たちはずっと土の下。ここで死んで、朽ち果てる。
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……むかしむかし、途方もない可能性の海がありました。どこまでも続く無限の地平がありました。人々はそれを…………むかしむかし……これでおしまいのこと………………エシオ、おやすみなさい、私のかわいいエシオ。母さんたちの宿した火を受け継いでくれた、たったひとりの……………………………
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ゴウン!衝撃で車輛と金属レールが揺れ、火花を散らし軋んだ。赤黒い影が突如飛来し、無慈悲なるチョップを振り下ろしながら着地したのだ。デスワームはその一撃で爆発四散を遂げた。いまやローラーコースター上に残るニンジャは三人。ブラッドチェイサーとマインスイーパ、そしてニンジャスレイヤー。
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「ドーモ、ブラッドチェイサーです」「ドーモ、マインスイーパです」七輌後方からアマクダリニンジャはアイサツを返した。アルゴスの判断は、撤退に非ず。作戦継続であった。望む所よ、とブラッドチェイサーは犬歯を剥いた。マインスイーパによるクナイ投擲の間を縫うように走り、死神に斬り掛かった。
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レール上を何度も複雑にくねり、あるいは大きくループ回転ながら疾走するローラーコースター上を、恐るべきニンジャの平衡感覚と脚力で駆ける。「イヤーッ!」ブラッドチェイサーの姿がジグザグの色付きの風と化し、ヒートカタナの赤い鋭角ネオン光が刻まれる!その間をマインスイーパのクナイが飛ぶ!
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ニンジャスレイヤーは後ろ向きに疾走するローラーコースターの車両上に立ち、ジュー・ジツを構えていた。一発目のクナイが、標的に達する。死神はこれを最低限の動きとブレーサーで弾き、火花が散った。二発目、三発目。弾かれる。十分な隙。ブラッドチェイサーは斜め上方から、イアイドーを振るった。
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否、繰り出せなかった。「イヤーッ!」「グワーッ!?」カラテシャウトが響いた。ブラッドチェイサーはニンジャスレイヤーの繰り出した対空カラテキックを受け、後方へ弾き飛ばされていた。彼は走行軌跡から外れ、宙を舞った。「イヤーッ!」空中の敵めがけ、死神は情け容赦ないスリケンを投擲した。
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今のカラテは、何だ。ブラッドチェイサーは無重力空間に放り出された宇宙飛行士めいて、目を見開き呆然としていた。「イヤーッ!」マインスイーパがダウジングロッドを両手に構え、タナカニンジャ・クランのジツを行使した。ブラッドチェイサーを狙った四枚のスリケンは空中で小さく振動し、静止した。
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「イヤーッ!」死神はクナイ全弾を弾き終えると、後方車輛めがけスリケンを投擲した。「イヤーッ!」マインスイーパはロッドを向け、即座にキネシツ・ジツを行使した。空中に透明の壁が張られたように、三枚のスリケンが静止した。一枚が突き抜け、マインスイーパの鎖骨に突き刺さった。「グワーッ!」
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アルゴスの示した連携プランは完璧であった。十分な隙であった。ただ俺の踏み込みが不足していたのだ。次は食らいつく。ブラッドチェイサーは口の中に溢れた血を吐き捨てながら、レールを掴んでループの頂点で一回転着地を決めると、魔犬の如き怒りの形相で跳び渡り、ローラーコースター車輛を追った。
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レールに火花が散る。コースターは悪夢じみた十連続のスクリュー回転ゾーンに達した。ニンジャスレイヤーは仁王立ちのままスリケンを投擲した。マインスイーパは身動き取れず、ジツでこれを凌ぐしかなかった。ニンジャスレイヤーはこのキネシス使いを直接殺しに向かうことはできなかった。何故ならば。
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「イヤーッハハハハハァ!」カンニバルがヤブサメ・ゴー・ラウンドの屋根の上から跳び渡り、横から直接、エシオを狩らんとしていたがゆえ。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは機先を制し、これをカラテキックで迎撃した。「グワーッ!」激痛に顔を歪め、弾き飛ばされるカンニバル。
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この先、コースは再びチューブトンネル。逃さぬ。赤いネオン光が、空気をジグザグに切り裂きながら、スクリュー回転レーンを突き進んだ。同時に、マインスイーパは電子音声を音割れさせながら叫んだ。「イヤーッ!」空中で小刻みに揺れながら静止していた全スリケンが、襲いかかった。投げ手自身へと!
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2016年5月28日
スルー・ザ・ゴールデン・レーン #1 http://togetter.com/li/969132
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