エルフとオーク

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エルフ「貴様らはゴブリン退治などはどうやっているのだ？」 オーク「エッ、エルフノ集落ニハゴブリン出ルノ…？」 エルフ「当然だ！清らかな森と小川の水を命の源とする我ら森エルフの住処は、あの忌まわしい小鬼共には垂涎の環境なのだから！」 オーク「イヤ…管理ガ行キ届イテナイダケダロウ…」

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@nezikure エルフ「侮辱しているのか！？」 オーク「同ジ所デ発生シテイナイカ？」 エルフ「…言われてみればそうだな」 オーク「村ヲ襲ウ時、大体百体前後ノ規模デハ無イカ？」 エルフ「見てきたように言うな…その通りだ」 オーク「早期ニ駆除スル仕組ミヲ作ラナイカラソウナル」

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@nezikure エルフ「駆除なら我々もやっている！」 オーク「森ヲ移動中、適当ニ殺スノハ駆除トハ言ワン モット組織的ニ、交代デ毎日抜カリ無ク棲家ニ成リソウナ場所ヲ潰シタリ アル程度ランダム性ヲ交エツツ、テリトリーヲ巡回シテ…」 エルフ「難しい事を言うな！」 オーク「エェ…」

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@nezikure エルフ「そんな面倒くさい事、いったい誰がやりたがるというのだ！」 オーク「大事ナ仕事ダ…集落内デモアル程度ノ社会的地位ヲ認メラレルベキ… …ナァ、エルフヨ」 エルフ「なんだ？」 オーク「貴様ラノ集落ニ…ト言ウカエルフニ『職業』ヤ『仕事』トイウ概念ハアルカ？」

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@nezikure エルフ「うん？ソレはアレだ…外界の人間どもが使っている仕組みだな 私は外で遊…遊学の経験も有るから知っているが、自由な我々には馴染まぬ考え方だな！」 オーク「…共同体…イヤ、村ノ中デノ公共…アァソノ…『ミンナノ為ニヤル事』ハ ドウイウ風ニ決メル？」

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@nezikure エルフ「やりたい奴がやる」 オーク「Oh…」 エルフ「馬鹿にされているか？」 オーク「イヤ、関心シテイル…ヨク滅ビズ、何千年モ共同体トシテ成リ立ッテイル物ダ…相互扶助トカ、マッタク無イノカ…？」 エルフ「だから難しい事を言うな！やりたくない事はやらんぞ！！」

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@nezikure オーク「…ナァ、コレハ相談ナンダガ」 エルフ「？」 オーク「オマエ達ノ集落ノ周リナ、我々ガゴブリン駆除ヲ引キ受ケテモ良イ」 エルフ「本当か！」 オーク「アァ、ダカラ対価トシテ…ソウダナ、オマエ達ガ作ル薬ヲ…ゴブリンノ数ダト不正ニツナガルカラ」 エルフ「待て」

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@nezikure オーク「ウン？矢張リエルフノ誇リガ問題ニ成ルカ？」 エルフ「いや違う…『対価』とは何だ？」 オーク「　」 エルフ「どうした？」 オーク「……………ハッ。 ア、アァ、スマン……エェト…外界ニ行ッタ事ガ有ルノダッタヨ…ナ…？」 エルフ「うむ、刺激的な経験だった」

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@nezikure オーク「外界ノニンゲン達ハ、貨幣デ色々ナモノヲ遣リ取リシテイタダロウ？」 エルフ「うむ、妙な仕組みだが楽しかった」 オーク「ツマリナ…アァイウ貨幣ヤ、ソレニ代ワル物ヲ渡シテ 『誰カニ何カヲシテモラウ』ノガ『対価』ダ」 エルフ「？」 オーク「『？』ジャナイガ」

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@nezikure エルフ「よくわからん」 オーク「…ニンゲンハ色ンナ『仕事』ヲシテイタダロウ？」 エルフ「うむ、遊ぶ暇も無いほどあくせくと忙しそうにしていたな」 オーク「アレハ『対価』ヲ得ル為ノ『労働』ダ。 多クハ『貨幣』ヲ、ソウデナイ場合ハ『欲シイ物』ヲ働イテ手ニ入レル」

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@nezikure エルフ「少しわかってきたぞ」 オーク「『少シ』ナノカ…」 エルフ「つまり、働くから貨幣なり物なりを寄越せ…という事だな？」 オーク「…言イ方ハ悪イガ、マァソウ言ウ事ダナ」 エルフ「つまり貴様らオークは『ゴブリン退治がしたい』ワケでは無いと」 オーク「当然ダ」

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@nezikure エルフ「ならこの話は無しだな！」 オーク「…ソウ悪イ話デハ無イダロウ？」 エルフ「いや、エルフの誇りが許さん！」 オーク「神聖ナ森ニ、我々ガ立リ入ルノガ気ニ食ワンカ？」 エルフ「いや、やりたくない事を他の者に強制するのはエルフの流儀に反する！」

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@nezikure オーク「……………馬鹿ノ癖ニ気高ク清イカラ始末ニ困ル」 エルフ「何か言ったか！？」 オーク「イヤ、別ニ…ナァ、ナラコウシナイカ？」 エルフ「うん？」 オーク「『我々オークハエルフガ作ル薬ガ欲シイ』」 エルフ「うむ」 オーク「ダガ『タダデ貰ウノハ気ガ咎メル』」

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@nezikure エルフ「うん？タダで薬をやるなどとは言ってないぞ？」 オーク「マァ聞ケ、ダカラ『交渉』ガシタイ。 『エルフノ森ノゴブリンヲ駆除スル』カラ、一月ニ決マッタ量ノ薬ヲ分ケテ欲シイ ゴブリンガ出テ、村ヲ襲ッタ月ニハ受ケ取ラナイ」

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@nezikure エルフ「だが『ゴブリン退治はしたくない』のだろう？」 オーク「危険ダシ、大変ナ仕事ダカラナ」 エルフ「なら」 オーク「ダガ、ソレヲ呑ンデモ薬ガ欲シイノダ」 エルフ「うぅむ…」 オーク「我々オークハ『仕事トシテゴブリン退治ヲ行ウ』」

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@nezikure エルフ「しかしそれでは…」 オーク「ダカラ、エルフハ『ソノ礼トシテ薬ヲ渡シテクレ』 礼ガ気ニ食ワナケレバ『気持チ』トカデモ構ワン」 エルフ「『やりたくない事をする』のだろう？」 オーク「違ウ『薬ガ欲シイ』ノダ」 エルフ「同じではないか？」

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@nezikure オーク「違ウ『我々ガソウシタイ』ノダ。 『オークノ為』ニ、ソシテ『エルフノ為』ニモ」 エルフ「……我々エルフが水を与えて、華を咲かせるのと同じか」 オーク「華ハエルフノ為ニ咲クワケデハ…アァ、マァソレニ近イ。 果実ノ方ガ近イガ」

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@nezikure エルフ「ならば貴様らオークは『我々のために咲く華』で、 『我々のために実る果実』なワケだ」 オーク「コノ件ニ関シテハソウナルナ」 エルフ「我々の薬を得る為にゴブリンを退治し、我々もゴブリンを退治して貰う為に薬を与える…いや、違うな！」 オーク「違ワンガ？」

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@nezikure エルフ「オークとエルフは互いの為に互いの欲する事を行う つまり友と成るワケだ！」 オーク「…………アァ、納得シタ。 オマエ達ガ何千年モ、ソウイウ風デアリ続ケテ、滅ビル程ノ争イモ 共同体ヲ維持スル為ニ、特別ノ仕組ミヲ必要トシ無カッタワケモ…」 エルフ「？」

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@nezikure オーク「我々ハ努力シ、共同体ヲ作リ『賢(かしこ)ク』ナッタツモリダッタガ 『賢(さか)シク』ナッタダケダッタノダナァ… エルフヲ『賢キ森ノ民』トハ良ク言ッタモノダ」 エルフ「エルフを賢いと褒めたか？」 オーク「オマエ達ノ在リ方ヲ『聖賢』ト言ウノカモ知レン」

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@nezikure エルフ「うん？よくわからないが羨ましいのか？」 オーク「…ソウ、ダナ…ソウダ。我々…我ハオマエガ羨マシイ」 エルフ「ならば、いずれお前たちもそう成ろう！」 オーク「無茶ヲ言ウ…」 エルフ「そう『成りたい』のだろう？なら我々が手伝えば容易い事だ」 オーク「　」

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@nezikure エルフ「我々エルフには幾らでも時間が有るからな！友の為なら幾らでも付き合うとも」 オーク「幾ラデモ…トハ、大キク出タナ？ソンナ簡単ニソウ成ル事ナド…」 エルフ「3000年くらいかければなんとかなるか？」 オーク「キサマ等ソウ言ウ種族ダッタナ…ッ！」

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@nezikure エルフ「その頃には、私も次期族長だろうよ」 オーク「オマエ、族長筋ダッタノカ…」 エルフ「でなければ外界になど行かんし、行こうとも思わん。 森の中にいればエルフは満たされているのだぞ？」 オーク「遊ビニ行ッタダケカト…」 エルフ「遊・学・だ！」

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@nezikure オーク「ソノ頃マデ、我々ガ滅ンデイ無イトハ限ランゾ」 エルフ「そうなのか？」 オーク「オークノ寿命ナドタカガ知レテイル、長生キシテ50年ソコソコダ」 エルフ「ならば60のオークの長と同じ話をしよう、我々には容易い。 お前たちは努力するが良い！」

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@nezikure オーク「高慢ナエルフメ…」 エルフ「生き足掻くが良い、オーク達よ。視ていてやるから」 オーク「…馬鹿ノ癖ニ」 エルフ「今度は聞こえたぞ！エルフを馬鹿にしたな！？」