【物語の物語】世界最強の吸血鬼、ラノベを書く(第2話)
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レッズ・エララ神話体系・現代/近未来篇、「ほうき星町」シリーズ、中篇(中くらいの物語) 「世界最強の吸血鬼、ラノベを書く」第二話 人生を破壊した芸術の高み #レッズエララ
2016-06-09 18:52:18【前回のあらすじ】togetter.com/li/985034 吸血鬼・セリゼは暇。よってラノベを読む。なんという平和だろう。なんという平和テキストだろう。そんな驚きに身を浸しつつ、自分は……何も、作ってこなかったよな、この人生。物語にも、触れんかったよな。私の人生ってなんだ?
2016-06-09 18:53:43登場人物: セリゼ:吸血鬼。壊し屋。ラノベ初心者 フレア:工作者。作り手。マニア/オタク キギフィ:美少女。プロのイラストレーター 月読:仙人。読み手。「一般人」 レルエリィ:町の書店店主 リッテ:町の書店店員
2016-06-09 18:53:56その静けさがありがたい。 SFを借りた。 サイエンスフィクショナルエモーション。もしくはセンスオブワンダーコトノハ。 大方正しい理解である。それくらいは、本を読んだ。 まるで黒い海に航海する小船。私の前には凪いだ海 どこへ行ってもいい、という硬質な神の言 風さえ…… 1
2016-06-09 18:56:26忘れることが可能という驚き、静かにてーー 冷蔵庫にラップかけておいとくことが可能なくらいの、過去の絶望、勇気、弔い、嘲笑、天を穿つと決めた覚悟…… それらを全部タッパにいれて、とりあえず冷蔵庫の扉を閉める 「あけたままでは電気代かさみます」 それくらいの理由で、扉をパタン。2
2016-06-09 18:59:21過去の整理はそれでいい。物語がそういうふうにしてくれた。 なぁんの役にもたたないと思ってたフィクションテキストが、こうやって自分を整えてくれてる それは悪くない。日曜午後のちょっとした風の冷たさくらい悪くない で、ここからどうするか、だ 今まで、私は何も<創造/生産>してない 3
2016-06-09 19:01:12私は今まで何をやってきたのかというと (壊し屋殺し人生は除く) ……ううん、こうやってカッコしてしまったら、ないではないか とくに、このほうき星町という安寧にたどり着いて 私は、日々が流れるままに任せていた。 それは、何も作ってなかった。 ただ、小船が浮いてるだけだった。4
2016-06-09 19:02:46(場面転換) 呑んだくれ美少女は言う「それくらい過去を勝ち取ったってことが確かだってことだよ」 げっといっとおーん、げっといっとおーん、と美少女は歌う。 「つまり私は勝ち取ったあとのことを、ミリ単位で考えてなかったと」 「それは悪いことなの?」 「……」 ここで答えられん私。5
2016-06-09 19:04:36呑んだ暮れ。「人生なんて次どうなるかわからないんだから呑もうよ」 「人生論には首肯するが、おまえただ呑みたいだけじゃねえか」 「つまるとこ人生はいかに楽しむかだよ」 「てめえを肯定してるだけじゃん」 「じゃあ、セリゼは、セリゼを肯定できるの?」 ……小娘め、痛いところを突く 6
2016-06-09 19:06:04「勝ち取った安寧を得たからには……次に、何かをせねばならんな」 「そうだよ。フレアみたいに、何かつくったら?」 「この私が!!この壊し屋が!」 「作らなきゃ創れないよ」 どうも今日の美少女は、胡乱(酒精は入っている)な中にも、厳しさが入っている。7
2016-06-09 19:07:45