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ニンジャスレイヤー二次創作集『テイルス・オブ・ギブン・ネームス』より【ア・グレート・エスケープ・オブ・ルーザーズ】 #4215tk #すみゆ忍
2016-06-25 16:00:17暗い空の下に爆炎が上がる。何も知らぬ市民たちの悲鳴が、その裏で起こるイクサの絶叫がそこかしこから木霊している。ネオサイタマは今、戦場と化していた。そんな中を荒っぽいドライビングで駆け抜ける、一台のヤクザベンツあり。そのルーフ上には一人のニンジャがアグラしている。1 #4215tk
2016-06-25 16:04:12然り、ニンジャである。古代中国めいたニンジャアーマーを身につけ、豊かな黒髭で顔の下半分を覆ったそのニンジャは目を閉じ、神経を研ぎ澄ませている。その手には大きな銅鑼とバチ。そしてニンジャヘルムにはクロスカタナのエンブレム。この者の名はリトリートゴング。2 #4215tk
2016-06-25 16:08:11視線を車内へと転じよう。中には四人。そしてそのいずれもニンジャだ。まず運転席でハンドルを握るは筋骨隆々の男。鋲打ちレザー装束の上に板金胸当て。不機嫌そうな顔をスカルレリーフ入りの金属メンポで覆い隠し、ただフロントガラスの向こうを睨む。ジューテイオンだ。3 #4215tk
2016-06-25 16:12:10後部座席には二人。窮屈そうに巨体を押し込めるバタリングラムと、それとは対照的に細身のエンデューロ。エンデューロは腕組みし、沈思黙考をしているように見えた。彼の存在なくば、この状況でこれだけのニンジャが集まることもなかった。この急造チームの指揮官とも言える存在だ。4 #4215tk
2016-06-25 16:16:06そして助手席に座るのは藍色装束のニンジャ、ショートセンテンス。彼は最後の合流者であり、本来は予定に入っていなかったバタリングラムを引き連れてやってきた。現在は予備のデバ・ナイフの点検中。使い慣れた得物は合流前のイクサで失われた。眉間には深いシワが刻まれている。5 #4215tk
2016-06-25 16:20:30計5名。もし一般市民が相対すればNRSを即座に発症すること間違いなしの顔ぶれ。しかし車内のアトモスフィアは暗く沈んでいる。ラオモト・カンの死。想像以上の戦力を持って急襲したザイバツ・シャドーギルド。そうしたものが、彼らの思考に暗雲を落としていた。「気に入らねェ」6 #4215tk
2016-06-25 16:24:14ジューテイオンが吐き捨てるように呟く。「無敵のソウカイ・ニンジャが雁首揃えてトンズラなんてよォ。今からトコロザワ・ピラーに行ってラオモト=サンの仇を討つべきなんじゃねえのか!?」「冷静になれ、ジューテイオン=サン」エンデューロが静かに答える。7 #4215tk
2016-06-25 16:28:08「長期的なヴィジョンを持って状況判断せよ。消耗した我々では貴方の計画を果たす前にザイバツに目をつけられる」「関係ねェ!邪魔する奴ァみんな叩き潰せばいい!」「おお!よくわからんが突撃の話か!?ならば無条件に賛成するぞ!」バタリングラムが弾んだ声を上げる。8 #4215tk
2016-06-25 16:32:12