2016空想の街氷涼祭(氷門旅館)

空想の街2016年7月。氷涼祭。 資料:http://www4.atwiki.jp/fancytwon/
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空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

【告知】 空想の街告知です!7月1日~3日、空想の街の住人として遊びませんか?wiki www4.atwiki.jp/fancytwon/ 主催 @harasaraha @siduku_xxx 参加前に各自wiki(街・氷涼祭)の設定の確認をお願いします。 #空想の街

2016-06-29 09:19:42

一日目はじまり。

ろっか @rokkarium

帰りたいけど帰れない。そんなことってあるでしょう。だったらどうぞ、私の旅館へおいでなさい。生者はみんなお断り。死んだくらいじゃ終わることなど許されないこの街で、ここだけが死人たちの隠れ家。訳ありの死人たちがほんの3日を過ごす幽幻の館、氷門旅館。#空想の街 #氷門旅館

2016-06-29 11:40:06
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 少女がふたり、森を駆ける。ゆうらり揺れる4本の耳。白いウサギの耳がそれぞれの頭上で風を切る。「きこえる」「きこえるの」「時が近づく」「足音がする」ふたりごとのように囁きあいながら獣道を急ぐ少女たち。「「急がなきゃ!!」」 さあ、扉を開ける準備を。#空想の街

2016-07-01 08:17:53
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 西区の森の奥。少女たちは1年ぶりにこの場所を訪れた。ハンツピィの宴以来。ここは宴の時期だけ二人の雇用主でもあり保護者でもある仕立屋の友人、旅するメイドとそのご主人様の屋敷となる。そしてこの時期は。「きたの」「こっちなの」近づく馬車に二人は大きく手を振った。#空想の街

2016-07-01 09:43:40
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 荷台からおろされるたくさんの荷物。その中から二人は、「氷門旅館」と刻まれた古ぼけた真鍮の看板を探しだし屋敷の入り口に掲げる。この時期、この屋敷は旅館となる。二人はその準備を任されていた。荷物をそれぞれ定められた場所へ配置し整える。静かな屋敷が息を吹き返す。#空想の街

2016-07-01 09:50:47
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 #兎姉妹 「「調子でないの!!」」手を動かしながらもどこか窮屈そうな少女たち。「ほらなんていうのノリが違う」「なんてメタ的な」「いいの我らこの世界長いの」「これまたメタ的な」二人は向かい合ってわーわーと叫びあう。「時々こうして」「息抜きしよう」わーわーわー。#空想の街

2016-07-01 10:06:12
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 家具や小物の配置はおおよそすんだ。大掛かりなものは仕立屋があらかじめ準備したようで、屋敷の内装はハンツピィの頃とは雰囲気を違えていた。屋敷自体は古い洋風であるのに随所にみられる和の設えと相まってどこかの国で言うところの「大正ロマン」の雰囲気をたたえていた。#空想の街

2016-07-01 13:23:03
ろっか @rokkarium

#氷門旅館「「ほほう!」」少女たちは耳を震わせるとうっとりと屋敷を眺めた。「この屋敷は」「我々が作った」作ってなどいない。#空想の街 そうして全ての部屋に、これは頼まれたわけではないが、この街で二人が見つけた美味しいお菓子を置いていく。長旅で疲れているであろう旅人たちのために。

2016-07-01 13:30:57
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 「なごみ茶屋さんのところのお菓子と」「花心亭さんのところのお菓子と 」「あと最近椿が出した青い鳥サブレもおいておこう」「そうそう通りすがりにおひよさんがくれた、何かよくわかんないけどとにかくおいしいこの食べ物も」 それはもう盛りだくさん。#空想の街

2016-07-01 14:46:57
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 最後に少女たちは氷涼祭のならいに従い風船を屋敷の外側、あらゆる箇所にくくりつけた。氷門旅館の名前と六花の紋が入ったその風船は夜空の色をしていて、風船の中にはきらきら星が瞬いている。屋敷を眺める二人は満足そうに頷きあって、それから屋敷をあとにした。#空想の街

2016-07-01 17:20:41
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 屋敷は再び静けさを取り戻した。主の訪れをただ静かに待っている。#空想の街

2016-07-01 17:21:55
ろっか @rokkarium

#兎姉妹 #氷門旅館「帰るの」「お支度するの」「だって」「明日は」「「帰ってくるの!!」」約束通りに今日ははやめに眠ってそうして明日の朝にはきっと会える。お味噌汁のにおいで目を覚ます。死んでしまった母親に1年分の「「あのね」」を伝えるんだ。#空想の街

2016-07-01 17:26:39
ろっか @rokkarium

#氷門旅館 街に灯る灯りの美しさにほおと息を漏らす。上空から眺めるこの景色はいつみても美しい。「寒くはございませんか?」不意に後ろからかけられた声。「呂色は心配性だな」風船がこれ以上ないほど不似合いな長身の男を振り返りもせず銀子は答えた。#空想の街

2016-07-01 20:35:57
ろっか @rokkarium

銀か白か見極めの難しい美しく長い髪は今は一本にまとめられている。黒地に銀の刺繍が施された羽織は去年この街に同じように降り立った際、仕立屋に頼んだものだ。黒い風船を傘でもさすように掲げ降下してゆく。「あそこか」森の中にぽっかりと小さな宇宙が見て取れる。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 20:43:52
ろっか @rokkarium

ふわり降り立つ。毎年のことだ。いつもこの時期この時間この場所に降り立てばこの風船が迎えてくれる。星空を閉じ込めたような風船。今年も同様で屋敷は厳かに煌めいていた。「それでは準備して参ります」銀子の風船を受け取り呂色は屋敷の中へ。この街での日々がまた始まる。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 20:52:07
ろっか @rokkarium

扉を開けてすぐ、ロビーがわりの広間にはテーブルとソファが並ぶ。奥にはバーカウンター。宿泊の手続きを行うのも、眠れぬお客様が長い夜を過ごすのもこの場所。ここ以外でお客様が出入りできる場所には個室と食堂、それから図書室がある。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 21:02:07
ろっか @rokkarium

ひとつひとつ個室を見て回る銀子。「これは……」テーブルの上、青い鳥サブレと書かれた菓子をつまみ上げ首を傾げる。旅館の準備はすべて街の仕立屋に頼んでいるがこんなことまで願ってはいない。「さてはあの子らか」思い当たるのは同じ顔をした二人の少女。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 21:11:33
ろっか @rokkarium

「礼をしなければ」呟いて山のように盛られた菓子の中からひとつをつまむ。行儀が悪いと思いながらも食べながらロビーへ。するとすっかり今年の衣装に着替えた呂色がこちらを見ていた。「お召し替え願います」仕立屋が仕立てた今年の衣装は黒い地に金魚が泳ぐ夏着物。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 21:18:46
ろっか @rokkarium

着替えが終わった頃には全ての準備は整っていた。呂色の黒い着物に密かに泳ぐ黒い金魚が跳ねるのが見える。「それじゃはじめようか」氷門旅館の扉を内側から開ける。見上げれば風船で次々と降下する彷徨える死人たち。「ようこそ氷門旅館へ」年に三日限りの幻影の宿へ。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 21:25:25
ろっか @rokkarium

#空想の街 #氷門旅館※これより氷門旅館には死人の方のみご自由にご宿泊いただけます。リプライやタグに必ずしもお答えできるとは限らないのですがご自由にお泊まりください。お部屋の数にはかなりの余裕がありますので満員になることはありません。旅館での出来事には基本的に呂色が応対します。

2016-07-01 21:29:34
ろっか @rokkarium

金魚が跳ねた。相変わらずどんな魔法か科学かもわからない仕掛けに驚かされながらラウンジで酒を愉しむ銀子はとてもこの宿の主には見えない。一方テキパキと働く呂色。眼鏡の向こう側、黒い瞳は次から次へと別のお客を映し出す。「こんばんは。来ちゃった」「おやあなたは」#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 21:43:59
ろっか @rokkarium

「なんか飲ませて。この街で大人の遊びが出来るのって今日くらいなの」呂色に飲み物を頼む彼女はもちろん死人だ。「帰るところのある者がなぜここへきた」追い返すつもりはない。もはや毎年お約束の台詞。銀子は彼女を歓迎していた。「あら銀子ちゃんお言葉ね」屈託のない笑顔。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 22:20:12
ろっか @rokkarium

名前は知らない。仕立屋の知り合いで、今日この旅館にたくさんのお菓子を贈ってくれた二人の少女の母親だ。「歓迎はする。けれど」続けられない言葉を察して彼女は銀子に寄り添った。「相変わらず可愛いな銀子ちゃんは」ぽんぽんと頭を撫でる。こんなことするのは彼女くらいだ。#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 22:26:23
ろっか @rokkarium

あの子たちのために早く帰れとは言えない。どんな事情も探らないのがこの宿の掟。主である以上それは守らなければ。けれど気になる気持ちを抑えきれるほど器用でもなくて、柔らかな関係の相手にはこうして失態を晒してしまう。「バカね。私はただ色々な自由を楽しみたいだけよ」#空想の街 #氷門旅館

2016-07-01 22:33:53
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