3142コンテ式を機能させるためには 攻撃編
柏の守備が機能しなかった理由は前述の通り。だが、何故3142での攻撃まで機能しなかったのか?3142は442の急所に選手を配置する事が特徴だが、その442で守るはずの名古屋にはあまり効果を発揮しなかった。その理由をイタリアvsスウェーデン、甲府vs広島と比較しながら解説したい
2016-07-02 11:02:333142vs442のマッチアップ図はこうなる。3バック+アンカーの4枚で相手2トップに対し数的有利を作りながらビルドアップを行い、横幅をWBが担当。DHSH間にインサイドが位置しているため、相手は中央に絞らざるを得ない pic.twitter.com/7TywQdz21t
2016-07-02 11:02:48結果、CB→WBへのパスコースが空く。WBに相手SBが釣られるようならFWとCBが2対2。また、WBが持った時に空いたCBSB間へインサイドが裏抜けする事で、WBから縦のパスコースを作り、サイドを突破。PA内侵入を果たす事も可能 pic.twitter.com/rD4fPVt5Oi
2016-07-02 11:03:19また、インサイドの裏抜けに相手DHが釣られれば、WB→FWへのパスコースが空く。ここが2対2になので、2トップ間のコンビネーションでDFラインを突破する事も難しくない。前方進出したアンカーが受け、フリーの状態で2トップを使うことも pic.twitter.com/a3fcRHS3bn
2016-07-02 11:03:59このように、3142は442に対してすこぶる相性が良い。ポジショニングと裏抜けで442を破壊する事が容易。ただ、名古屋戦での柏はそれができなかった。何故か?「インサイドがDHSH間で受ける事だけに固執し、裏抜けなど動きが少なかった」
2016-07-02 11:04:0314分。インサイドの2人は中央に鎮座したまま。セカンド奪取後、小林がビルドアップの出口になるべく引いて受けるが、前に動きがないので出しどころがない pic.twitter.com/FVeisTSkHb
2016-07-02 11:07:58前述の通り、3142においてインサイドの動きは非常に重要。インサイドのポジショニングで相手2列目守備を機能不全に陥らせる事で相手DFラインを暴露、直接破壊するのが3142の特徴だが、柏のインサイドは昨季の433同様、ボール保持のために落ちてくるばかりで動きが少ない。だから崩せない
2016-07-02 11:08:32また、アンカーやインサイドがボール保持のために落ちて受けようとするだけでは、前線の残りの2トップ+両WBは名古屋の4バックと数的同数である。これでは前に出て潰されるだけ。実際、サイドまでは出すがアプローチに来られているので前を向けず、というプレーばかりが目立つ結果となった
2016-07-02 11:08:59では具体的にどうすればよかったのか?答えは明快。「インサイドがサイドに開く」事でビルドアップの出口を作る。ここでコンテ式の本家であるアントニオ・コンテに率いられたイタリア代表がスウェーデン相手にどうプレーしたかを振り返りたい
2016-07-02 11:09:077分。ビルドアップの際、左インサイドのジャッケリーニがサイドに大きく開いているのが解る。CB,インサイド、WBと3人の縦の関係を用いて、442のSHとSBの2人で守るスウェーデンのサイドからボールを運ぼうという狙いが見える pic.twitter.com/j41t4FgJxi
2016-07-02 11:10:189分。今度は右インサイドのパローロがサイドに開いている。パローロからWBに出した時点で既にスウェーデンのDFラインが暴露されている。中は3対3になっていて、コンビネーションで中央突破も図れる形に pic.twitter.com/exZIfPc7X1
2016-07-02 11:11:4411分。状況に応じて右インサイドのパローロ、そして左インサイドのジャッケリーニがサイドに開いてビルドアップの出口となるべくプレーしていることが解る pic.twitter.com/Fj7fzz5Wdi
2016-07-02 11:12:56機能しなかった柏の3142と違いが一目瞭然である。本来のコンテ式のインサイドは選手間、ライン間で受けて自らパスを出すだけではなく、裏抜けとサイド流れでボールを前進させる働きをしなければならない。これにより相手の守備の基準点を狂わせ、ボールホルダーに時間とスペースを与える事ができる
2016-07-02 11:13:01次に甲府vs広島での広島の3142を見ていきたい。541で守る甲府と、3142コンテ式の広島。この試合は甲府がマンツーで付いてきた事もあり、広島にとって非常に理想的な展開が繰り広げられた。お陰で題材としてもとても扱いやすかった
2016-07-02 11:13:043142vs541のマッチアップ図はこうなる。このままならば1トップと両SHが3バックにアプローチに行くことで数的同数プレスを仕掛ける事ができるように見えるが、ここで重要なのが前述の「インサイドがサイドに開く動き」である pic.twitter.com/gOolrSOj0e
2016-07-02 11:13:13インサイドがサイドに開く事で、相手SHは「対面のCBに行くのか、外に流れてきたインサイドに付くのか」の2択を迫られる。CBに行けばサイドが1対2。インサイドに付けば対面のCBがフリー。DHが行こうにも、アンカーが目の前にいる pic.twitter.com/pSj280RmxM
2016-07-02 11:14:11加えて、SHがサイドに流れたインサイドに釣られ、DHがアンカーに釣られると、当然DHSH間が空く。DFラインが暴露される。そこに2トップの片割れが落ちて受けるという仕組み。「CBからFWへのパスが直接届く」というのがコンテ式の怖さ pic.twitter.com/UVC95WsRUN
2016-07-02 11:14:42もちろん、CBがフリーという事は、もう片方のFWやインサイドの裏抜けにロングパス1本通す事も可能。イタリアvsベルギーでのボヌッチ→ジャッケリーニの得点を思い出してもらえば解ると思う pic.twitter.com/eXVFvyneKW
2016-07-02 11:15:376分。柴崎と浅野が甲府のSHの外側に位置している事が解る。インサイドがサイドに流れる事で相手SHを釣り、CBがフリーに。また、SHが外に釣られるという事は相手DHSH間にスペースができる。そこにウタカが落ちて受ける狙い pic.twitter.com/y9WQXoiOhA
2016-07-02 11:17:187分。アンカーが相手DHを釣り、サイドに流れたインサイドが相手SHを釣っているため、やはりDHSH間にスペースがある。そこを伺うウタカ。ウタカの引いて受ける動きの巧さも相俟って、甲府はウタカを度々フリーにしている pic.twitter.com/WHJ0pdqcX7
2016-07-02 11:18:369分。WBにボールが入った時、今までの広島では無かった動きが見られた。インサイドの浅野がサイド奥に流れ、WBから縦のパスコースを作っている。この動きによって中へのパスコースが空き、落ちてきた寿人が受けてクロスまで pic.twitter.com/ud96IHVlJ1
2016-07-02 11:19:2215分。9分の動きが布石となっている。CBが持った時にインサイドの浅野がサイドに流れる事で甲府の左CBを引っ張り、中が2トップとCBの2対2。ウタカがフリック、寿人スルーで柴崎はフリーでシュート。先制点を挙げる pic.twitter.com/IRsGIr5Mpw
2016-07-02 11:21:0019分。空いたDHSH間で受けようと伺うウタカ。一度CBまで戻し、再度DHSH間のウタカへ。寿人が引いて受ける動きとクロスするようにインサイドの浅野が裏抜け。浅野のケアにラインを下げれば寿人がフリー、浅野に付いて行けば寿人がフリー pic.twitter.com/0ulJM8YPaa
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