小説家、悪いことばかりでもないとぼくは思っている。by 我孫子武丸氏

相沢沙呼『小説の神様』(講談社タイガ)の感想&小説家という職業や今の出版界への思いなどなど
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あびこ @sukiyapotes

長いおつきあいの編集さん(担当経験はない)が熱心に宣伝している『小説の神様』という本が気になったので会ったときに話を振ってみたら、「いやあ…我孫子さんは気に入らないんじゃないかな…いや、でも、お送りしますから読んで下さい!」となぜかビビリながらも送って下さったので読んだ。

2016-07-05 14:23:38
あびこ @sukiyapotes

相沢沙呼『小説の神様』(講談社タイガ)。担当氏がぼくは気に入らないんじゃないかと思うのはよく分かる(よく分かってらっしゃる、と言うべきか)。この主人公は色んな意味で間違ってると思うし、好きか嫌いかと言えばあんまり好きにはなれない。でもそんなことはどうでもいいくらい面白い本だ。→

2016-07-05 14:26:28
あびこ @sukiyapotes

→もっと、「売れない作家の呪詛」を書き連ねたような鬱々としたものだったらどうしようと思っていたが、これはちゃんと「フィクション」として昇華されている。『響』や『重版出来』など、業界もの、創作者ものが楽しめる人ならきっと楽しめる出来になっている。ただ一つ大きな不満は年齢設定。→

2016-07-05 14:29:34
あびこ @sukiyapotes

→「ライトノベル」の体裁に合わせるよう要請があったのか自らそうしたのかは分からないが、主人公を中学デビュー現在高校生という本人とは違うキャラにしてしまったのに、じゃあそのように読めるかというとそうでもない。もっと作り込むか、そうでなければ等身大の自分を描いてほしかった。→

2016-07-05 14:35:44
あびこ @sukiyapotes

→まあでも何にしろ、色んな意味で面白いのは間違いない。ぼくはものが小説に限らず、自分の才能に悩んだりしながらクリエイターを目指したり挫折したりする物語にはとにかく惹かれてしまうタイプなので、そういうのが好きな人にはおすすめ。

2016-07-05 14:40:33
あびこ @sukiyapotes

一部のベストセラーを除いて小説が売れないのも漫画が売れないのも雑誌が売れないのも――つまりは出版界全体がジリ貧であることはその通りだし、この主人公?に限らず初版部数は絞られる傾向にあるのはその通り。中に出てくる専業作家のように「これじゃ食べていけない」と慌てるレベル。→

2016-07-05 14:59:21
あびこ @sukiyapotes

→でもとにもかくにも「出してもらえる」だけでもありがたいというのも確か。作家になりたくてもスタートラインに立てない人もいるし、一作出たけど後が出ない人もいる。この主人公はとりあえずボツは食らっているものの、「あなたの本は出せません」とは言われていないし、何よりまだ未成年だ。→

2016-07-05 15:03:49
あびこ @sukiyapotes

→また、続きを望まれているのに書けなくなる人だってもちろんいる。傑作が書けたと思ったのに売れないつらさと、自分が納得できるように書けないつらさとどちらがよりストレスが大きいかは多分人によるだろう。

2016-07-05 15:07:40
あびこ @sukiyapotes

今の時代、出版とか小説がもっと売れていた時代に比べ、何かと暗い話ばかり聞くけれど、悪いことばかりでもないとぼくは思っている。部数が減って、書店の数も減ってしまったけれど、情報だけは早い。もしかすると昔よりも、読みたい人、読んでもらいたい人に届く率はあがっているかもしれない。→

2016-07-05 15:10:52
あびこ @sukiyapotes

→古本だってネットでどこにあるか探してあっという間に取り寄せられる。そして電子化だってそう。絶版がないんやからね。ただ逆に、これだけ積み重なった膨大なコンテンツ(あらゆる娯楽)の中で、一つ一つの価値が下がるのは当然で、そこで生き残っていく(商売にする)のが大変なのは間違いない。→

2016-07-05 15:18:20
あびこ @sukiyapotes

→小説なんていう原始的な娯楽がそもそも生き残れるかどうかも分からない時代に、わざわざそれを選んで職業にするというのは、結局「それが好きだから」以外の答などあるはずもなく、だったら「出してもらえるだけでありがたい。もうちょっと売れてはほしいけど」ってなるしかないんよね。

2016-07-05 15:23:20
高野史緒@7/14「まぜるな危険」 @fumio_takano

そもそも小説が「食っていける仕事」であったことなんて歴史上ほとんどありませんしね。ポオやドストエフスキーさえ雑誌編集、ナボコフやカルヴィーノ、ユルスナールも大学の先生しなきゃ食えなかったわけですし。 twitter.com/sukiyapotes/st…

2016-07-05 15:44:28
あびこ @sukiyapotes

高野さんのこの視点も重要。今の時代の日本人であることは、英語圏に比べれば市場は狭いけれど、まあまあの数の作家(と編集者、その他たくさんの人)を食わせてくれるだけの余裕のある、そんなに悪くないことだと思うんよね。

2016-07-05 16:00:24
星をみるひと @star_seeker0706

@sukiyapotes 確かに、売れている本はバカ売れしてますし、悪いことばかりではないと思います。個人的に、最近のベストセラーが内容よりも人で売れているような気がするのはちょっと気になりますが…(^^;

2016-07-05 16:24:47
あびこ @sukiyapotes

@star_seeker0706 んん、いや、「バカ売れする本がある」…というのはまったく別の話で、むしろそれは「悪いこと」に入れたいくらいですね。多様性がなくなりそうです。

2016-07-05 16:32:00
星をみるひと @star_seeker0706

@sukiyapotes 確かに、書店は生き残る為にバカ売れする本ばかり仕入れるようになりますし、多様性がなくなりそうですね…。「売れれば内容は二の次」という姿勢にも繋がりそうです。

2016-07-05 16:52:07