【Lancer】Beginning of Rebellion -後編-
- gr_starneon
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・ツイート数にして82ツイートほどの予定 ・TL流し注意 ・独自設定を含みます ・よって望まねばミュート ・通し番号は昨日の続きから
2016-07-05 23:45:12ギルド軍本部のとある一室。長い鍔の羽帽子が印象的なギルドナイトの正装を身に纏った男が執務机の椅子に佇んでいた。そこへ部屋の扉をノックする音が聞こえる。 「入れ」 男の言葉に従い、「失礼します」という声と共に一人のハンターが部屋に入ってくる。-59
2016-07-05 23:47:07「特務官、先週の『兵器』輸送部隊の行方を調査した結果ですが……」 「これで三度目のモンスター襲撃か。それも立て続けに」 部下が報告を言い終えるより前に特務官と呼ばれたギルドナイトが呟く。老練さを醸し出す低音の声が必要以上のプレッシャーを感じさせる。-60
2016-07-05 23:48:04「えぇ……輸送進路の変更なども行なっておりますがそれでも被害が一向に収まらないようです」 それを聞いた特務官は訝しむ様に顎に手を当てる。 「不自然だな……妙に不自然だ」-61
2016-07-05 23:49:01「確かにそうですがモンスターから見れば目立つ標的になるので有り得ない話ではないでしょうね」 獲物、若しくは外敵と認識された輸送隊がモンスターの被害に遭うという事故自体はさほど珍しい話ではなかった。-62
2016-07-05 23:50:04とはいえ勿論周囲のモンスターの情報を集め、できる限り安全なルートを選択した上での失敗の連続となるとそうそう起こる事はない。 「次も確実にモンスターと遭遇するな」-63
2016-07-05 23:51:02「はい……あ、いえ、次こそは万全の対策を以て遂行するよう伝えておりますのでそのような事は……」 これまでの失敗を皮肉られていると思ったのか、部下は慌てて取り繕うような態度を取った。-64
2016-07-05 23:52:07「単なる事故と考えてる前提の対策など意味を為さない。意図的にモンスターを仕向けている者がいるからな」 それを聞いた部下はぎょっとした表情をする。 「馬鹿な……一体何者が?」-65
2016-07-05 23:53:04「決まっている。我々の権力がより高まることを危惧するハンターの仕業だ。精鋭部隊を次の輸送任務の際に護衛として同行させろ。装甲部隊にも連絡を取り『兵器』の搭乗員も連れていけ。反乱分子を晒し者にして我々に歯向かう事の愚かさを知らしめるのだ」-66
2016-07-05 23:54:05最初から裏切りを想定していたのであろう特務官はしたためておいた指示を矢継ぎ早に告げる。それを受けた部下は「承知しました!」と急いで部屋を後にする。 「……また、私の剣が人の血で汚れるな」-67
2016-07-05 23:55:08ある日、ヘリック達四人はどうしてもこのメンバーで行きたいクエストがあると言って早々に出掛けて行ってしまった。昨日までは特にそんな話を聞いていなかった為、妙に感じたが気にしても仕方ないので久々の単独狩猟に行くことにした。-68
2016-07-05 23:56:02「そうだな……ボルボロスでも狩りに行くか」 比較的狩りやすい相手を選考基準にクエストを決めるとシンキはただ一人、クエスト出発口に向かうのだった。-69
2016-07-05 23:57:03それから数時間後、砂原に降り立ったシンキはターゲットを早々に見つけ、交戦を開始する。思えば初めてヘリックとパーティを組んでやってきた地であり、対峙するモンスターもあの時と同じボルボロスだった。-70
2016-07-05 23:58:04いつもとやる事は変わらない。敵の突進を防ぎ、足を狙う。ボルボロスは姿勢を崩し地面に倒れのたうち回る。無防備になった尻尾を斬り落としてやる。かつて一人で狩るのを躊躇していた頃が信じられないほどスムーズな戦闘だった。そのまま一気に仕留めにかかる。-71
2016-07-05 23:59:09「!?」 不意に何かが横切った。その軌跡を目で追うとボルボロスに巨大な矢が刺さっていた。ハンターの扱う弓から放たれるものより明らかに大きい。恐らくバリスタのものだろう。だがバリスタは人が持ち運べるサイズではなく拠点に設置されている兵器。とすれば一体どこから?-72
2016-07-06 00:00:37そう疑問に思っている間にバリスタの放たれる音と共にボルボロスの身体に次々と矢が刺さっていき、ターゲットは絶命する。矢の飛んできた方向を向くと、四つのバリスタがこちらを捉えていた。-73
2016-07-06 00:01:06バリスタはそれぞれが大型の車体に搭載されていた。計四両の装甲車が立ちはだかる様に並んでいる。あれがヘリックの言ってた『兵器』だろうか? 「何だお前達は……?」-74
2016-07-06 00:02:06「よく聞け! 我々はギルド軍所属の装甲部隊の哨戒班だ。輸送隊護衛の為、近辺のモンスター排除及び当該モンスターと接触している者に脱法ハンターの嫌疑で取り調べを行っている。大人しく我々と同行してもらおう!」-75
2016-07-06 00:03:05全く想定外の言葉の数々にシンキは状況の理解が追いつかなかったが、少なくとも目の前にいる連中は本能的に嫌悪するタイプだった。 「よく分からんがハンターがモンスターを狩るのは当然だろう? いきなり現れて獲物を横取りした挙句取り調べだの好き勝手言ってくれるな」-76
2016-07-06 00:04:03「従わなければ貴様もこの場で始末するぞ!」 「断る。どの道俺を相手をしたところで得られるものは何もないぞ?」 不思議と『兵器』を目の前にしても相手に反抗する事に恐れはなかった。-77
2016-07-06 00:05:05「……どう思う? クロかどうかはハッキリせんがここで潰しても問題はなさそうだな」 『兵器』の搭乗員達が何やら穏やかではなさそうな話をし始める。 「あぁ、それに他のハンター共に俺達の強さを知らしめられそうだ」 「俺も同感……」-78
2016-07-06 00:06:06「そうなりゃやっちまうしかねえよなぁ?」 相手四人の意見が一致すると遠慮なしに砲撃を始める。 「ちっ、やはりギルド軍の連中はあんなのばっかりじゃないか!」 シンキは悪態をつくと矢の嵐を盾で防ぎつつ近くの岩陰に逃げ込んだ。-79
2016-07-06 00:07:04同時刻、砂原を一頭のディアブロスが疾走していた。その目線の先には砂漠地帯を横断する輸送隊の荷車。 「よし、予定通りディアブロスは輸送隊にまっしぐらだ」 離れた岩場の影からその様子を窺う四人の姿があった。-80
2016-07-06 00:08:08「ふぅ、今回もうまくいきそうだな」 彼らの目的は輸送されている『兵器』の破壊である。 「ああ……そうなるといいが……」 四人のうちの一人が不安気に呟く。 「どうしたヘリック? 妙に弱気だな」 金髪の男、カイルはヘリックの様子を気にしているようだった。-81
2016-07-06 00:09:03