BBB劇場【テンパード・スティール、ランパート・ディール】#3,#4,#5
- ahiruchan_phi
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#3
「イヤーッ!」危ういほどに美しい光を纏った剣が振り下ろされる。狙われた存在は身を翻し、かわした。「いい、いいね。お前はなかなかいい!」回避者は恍惚として声を漏らす。「何だよ!僕は君なんかと戦う理由は無い!」凛とした少年めいた声は苛立ちを孕む。声の主の手には赤光纏う絢爛な剣。
2016-07-06 12:13:15「何故、何故お前は自覚していない!?お前は芸術的だ!」ツナギ装束のニンジャは大袈裟に両手を広げる。装束には絵の具による汚れが見える。「つまり作品、私の作品に貢献する義務がある!」「あるわけないだろ!イヤーッ!」剣が夜を赤く切り裂く!だが、またも、切り裂いたものは夜でしかなかった。
2016-07-06 12:16:32「アーッ!なんで当たらないんだよ!」蒼い目の美少年の顔が二度歪む。初めは苛立ち、次は苦痛。剣を握る右手人差し指に、ペインティングナイフが突き刺さっている。「グワーッ!」鮮血!「アーッ!」恍惚!「イヤーッ!」少年は素早く自ら指をケジメし、逃走を図る!「ああ、待て、待て!」追う!
2016-07-06 12:19:58ビジュツケイ=サンだ。そういやこの人ウバイ・クラン所属かぁ…おまえのモノは俺の題材、俺のモノは俺の作品。みたいな。 #BBBtxt
2016-07-06 12:20:59少年の逃げ足は予想外に速く、ツナギニンジャは彼を闇に見失った。「なんとしても、なんとしても手に入れないと」彼は芸術的な美しさを持つニンジャであった。青い瞳、よく通る声、赤い剣。彼こそ、未だ辿り着けぬ己の作品の完成形への鍵。そんな根拠の無い直感を、彼女、ビジュツケイは盲信していた。
2016-07-06 12:23:56昂った創作衝動を持て余し、装束に収納された無数の画材から幾つかを取り出す。紙もある。絵の具は無限。ビジュツケイは道端に座り込む。急速に街の騒がしさが遠のいてゆく。人々の雑談。嫌に印象的な広告音声。誰かと誰かのアイサツ。ノイズ。それらはもはや認識されない。今はただ、芸術だけがある。
2016-07-06 12:27:11「……これ、アイツだよな。ビジュツケイ=サン」「そう感知しているが」地面に這いつくばり絵筆を振り回す男根ギリシア風ヘルメットのニンジャを見つめる者が二人。どちらも特徴的な嗄れ声だ。「そのソウル感知、実際便利だ。俺のこともわかったんだろ?」「ウム」「テキナシつけてねーのにな」
2016-07-06 12:30:37「ビジュツケイ=サンっていやあ、ウバイ・クラン……畜生、嫌なことを思い出す」彼らは以前、ビジュツケイ属するウバイ・クランなる強盗団の連中と、一戦を交えた。故に多少の因縁がある。「今のうちに殺しておくか」カラテを構える。「待て」制される。「何だよ」「忌まわしき甘言が下る、備えよ」
2016-07-06 12:35:01