【曇り空を飲む】福間健二 #k2fact147

六月、北海道の新得に一月につづいて行ってきた。残念ながら、天気はずっとわるかった。ぼくと同世代の人たちから若い世代まで、有機農業やっている人たちの話を聞いている。みんな、魅力的だ。挑まれていると思う。いままでの自分の仕事のやり方では対応できないものにぶつかっている。東京に戻ると、沖島勲監督の一周忌、その未映画化シナリオ集の刊行とその記念の特集上映が待っていた。そこでも「動け」と言われている気がした。最後の10を書いた七月四日の朝、奇妙な夢を見た。ある学校に呼ばれ、文学や映画ではなく、体育の実技の授業をしてくれ、と言われる。非体育会系の体育、やってください。もう体が動かないよ。これから改造するんですよ。改造、もともと得意じゃないですか。目覚めると「人生の大転換」という言葉が頭にあった。 続きを読む
アート スロヴェニア アジサイ 新得 大転換 アリス
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福間健二 @acasaazul
曇り空を飲む大地の、細かくふるえる緑の、だれの敵でもないグラデーションに重なって終わった恋をついばむ鳥の背の羽が破れて、隠れているべき器具が見えている。さっきから。小さい。白い。傷をもつ。いやでもこれが目覚めへの覆道にこぼれていく条件なのだ。(曇り空を飲む1)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
いまがだめなら何時に電話すればいいですか。洗いおとせない深刻顔が並ぶ丘は黙っている。日没、部分的には、棄ててしまえばいいもの棄てずに、単純に動く状況に彩度を押しつけられている。そのバーを強引にまたぐ。おいしい野菜をつくる人を訪ねて話を聞く。(曇り空を飲む2)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
負けると思った。地面への立ち方がちがう。でも、おなじ悪夢を見てきたのだ。ここに鍵はないと平気で嘘をつく事務員たちの愛撫する部位を悶えさせたまま、デスクからデスクへと歩き、つまらない冗談に相槌を打つうちにじゃま者になった自分が鍵を隠している。(曇り空を飲む3)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
徐々に実体として、二〇一六年五月四日、六月七日、指令しあう日付からの、追いつめあう動物からの、通路と影が要求される。この朝、そのほかの朝。滴は衝突と悲鳴への反応なのだが、どうしてわかるのか。きみのことを思う人、その人の好きな花がここに咲く。(曇り空を飲む4)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
アジサイ、いろんな種類がある。去年、スロヴェニアでそれを知った。記事に促された回想にもさまざまな色を溶かした萼の発達があり、名前をめぐる争いもおこって、さらにここでは傘も死ぬが、軸も死ぬ。軸なしで活動する。楽しくなる。考えろ。動詞だけで。(曇り空を飲む5)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
いじってない状態の、小さな形式から発している振動音。輪郭と数がはっきりしてくる。大切な協力者。でも、鏡の中だ。おたがいに、つまらない質問はしない。線の修正は笑うことだけでなんとかしろ、だ。そうなのか。笑っていられるうちは大丈夫とかれらは言う。(曇り空を飲む6)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
路地の、文字。「死後の、仕事」だろうか。なにか気体を出したがって蓋が跳ねあがる。あっさり、背の高い娘がペットボトルの水を持ってくる。飲むためじゃない。食べる果実を洗う。手袋をとると柔らかい手があらわれ、夕方になった。青い卵、見に行きますか。(曇り空を飲む7)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
火曜日か水曜日に消えた手品師を土曜日には呼び戻している笑顔の店員さん。フクハラ新得店。彼女がいるだけで、静止しない世界が夢のような主張を受け入れる。神妙に。まっすぐな長い道を、ぼくの手品を見破るために歩く死者たち。よみがえりたいと言っていい。(曇り空を飲む8)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
どっちに。話し相手の、方向音痴の「王様のいとこ」が行こうとするのと反対に。どっちのおにぎり。アリスが残すやつ。梅干しの方かな。アリス、大型になってお腹がすくだろうに。人のことを思って、迷路の奥。困っても笑っている。育てられなくても育つ草です。(曇り空を飲む9)#k2fact147
福間健二 @acasaazul
人生の大転換が待っていました。曇り空の下、いきなりの提案を取り消すために屋根に梯子をかけたのである。降りてきたのは内縁ミュージカルの一座。振付師に逃げられたという。チャンス、自由に踊ればいい。実技、自信はあるけど、理科室の夢を掃除してから。(曇り空を飲む10)#k2fact147

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