ラストバレット―Keep under―『老婆―Old Woman―』

22世紀後半。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは!ただ今より自作「ラストバレット」の最新話を@NJkatanaにて投稿開始します。ゴールデンタイムのお忙しい時間となりますが、どうかラジオの流し聞き感覚でお楽しみ頂けると幸いです。

2016-07-09 21:05:22
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレットは短編アクションノベルです。基本各話完結で、一話三千文字前後。数分でサクッと読めて、スカッと楽しめるライトノベルとなっています。ぜひ@NJkatanaアカウントをフォローして、全編お楽しみ頂ければ幸いです!

2016-07-09 21:07:01
ニンジャカタナ! @NJkatana

また、ラストバレットは、カクヨムにて過去作全て閲覧可能です。全て短編となっていますので、どの話からでもお好きなようにお読み下さいませ! kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-07-09 21:08:04
ニンジャカタナ! @NJkatana

宣伝のため、作者アカウントにおいても冒頭数ツイートのみ投稿致します。その後も@NJkatanaアカウントにてリアルタイム連載は継続しますので、続きはそちらでご覧いただけると幸いです٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-07-09 21:09:40
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under― 老婆 ―Old Woman― ――――――――――――――◆ pic.twitter.com/Uh7WgcCMk7

2016-07-09 21:11:26
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ニンジャカタナ! @NJkatana

赤焼けた地上の街並みに影が射す。 大気を震わせる飛行音と、辺り一帯を渡る突風。見上げる人々の目に映るのは、夕焼けの光を遮る巨大な人工建造物。そして、この空を行く巨大な建造物こそが、オーバー。 世界の管理者達が住む、この星に残された最後の楽園――。

2016-07-09 21:12:26
ニンジャカタナ! @NJkatana

エネミーの出現と貧困層の増加によって、治安悪化著しい地上を捨て、空へと逃れた富裕層が暮らす人造の居住地。 同様の建造物は世界に50以上存在し、一つ一つの大きさは半径30キロにも及ぶ。

2016-07-09 21:13:56
ニンジャカタナ! @NJkatana

22世紀後半。今やアンダーと呼ばれて久しい地上にも、『国家』という形骸化した概念は残ってはいる。 だが、それら国家群はどの国も一様に疲弊し、貧困と治安の悪化にあえいでいた。 現実として、地上はオーバーに居住する各国首脳や富裕層によって管理・支配されているのが実情だった――。

2016-07-09 21:16:02
ニンジャカタナ! @NJkatana

まるで全てが錆び付いたような景色。 赤と茶の壁面に、更に夕暮れの日射しが染みていく。 「そうかい……。この町にエネミーがねぇ」 その日射しをガラス越しに受けながら、一人の老婆が消えるような声で呟く。 その老婆の手には、彼女には到底似つかわしくない無骨な拳銃が携えられていた。

2016-07-09 21:18:09
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「――はい。そのエネミーは今、この町上空に待機している23番艦『ザナドゥ』を追っています。DDSは、この町を遮蔽物に、エネミーに対して市街戦を挑むつもりでしょう」 ギルドの制服に身を包んだ青髪の少女。老婆の対面に座るアリスが、いくつかの資料を指し示しながら説明を行う。

2016-07-09 21:20:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

「もう時間がない。この町は戦場になります。俺達と一緒に避難して下さい」 アリスの隣。真剣な表情のユウトが老婆に詰め寄る。その瞳には老婆への深い憂慮が滲んでいた。 「ありがとうねぇ……。でも、この町には息子も娘もいるんだよ……」 「おばさん……」

2016-07-09 21:22:54
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悔しげに唇を噛むユウト。 「でも、わたしは久しぶりにあんたの顔が見れて嬉しかったよ。あんなに小さかったのに……」 「ルヴィアーノさん。ユウトにとって貴方はとても大切な人なんです。貴方が逃げないというのなら、きっと、ユウトも――」 だが、アリスの言葉を待たずにユウトは席を立つ。

2016-07-09 21:25:15
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――俺が、守ります」 決意を秘めたユウトの声。アリスは退出するユウトに何かを言おうとし、止める。そして自分も席を立ってルヴィアーノに一礼すると、ユウトを追って部屋を出た。 「本当に、立派になって……」 老婆は二人の背を見送り、目を細めてそう呟いた――。

2016-07-09 21:26:52
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――ユウト、今度のエネミーは他のエネミーとは違う。いくらあなたでも――」 「やってみないとわからない」 一歩踏み出すごとに軋んだ音を出す廊下を歩き、追いすがるアリスにユウトが答える。 「それだけじゃない。依頼はDDSに対して出されてる。もし私たちが介入してしまったら――」

2016-07-09 21:29:33
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――重大な違反行為。DDSとの対立は避けられないだろうな?」 二人の進む廊下、その突き当たり。壁に背をもたれさせ、嘲るような口調を二人に向ける一人の中年男性。 「ギルドのクズ共の中でも更にクズ。アンダーびいきのユウト。肝心の故郷を守れなくて残念だったな?」

2016-07-09 21:31:31
ニンジャカタナ! @NJkatana

男はことさらとげとげしい口調でそう言うと、ゆっくりとユウトの前に歩み寄る。 「あのババアがそんなに大事か? 町の避難はあらかた終わってる。融通の効かねえ死に損ないなんざ、遠慮無くあの世に送ってやるよ」 ユウトは無言。

2016-07-09 21:33:11
ニンジャカタナ! @NJkatana

だが、彼が今にも暴発しそうな強い思いをこらえているのは明らかだ。 「止めなさい。それ以上の挑発行為は、こちらとしても報告の義務があります」 「おー怖い怖い。ま、後は俺達に任せておきな。エネミーはともかく、町がどうなろうと知ったこっちゃねえがな」 男は嘲りの笑みを更に深くする。

2016-07-09 21:34:34
ニンジャカタナ! @NJkatana

そしてユウトの肩を一度叩くと、そのまま通り過ぎ――。 「な――っ、てめえ、何しやがッ!」 肩に置かれた手、そこにそっと添えられたユウトの掌。さして力んでいるようにも見えないその手が握られ、それと同時に男の手から骨の軋む音がみしみしと響く。

2016-07-09 21:36:06
ニンジャカタナ! @NJkatana

「もし危なくなったら、いつでも呼んで下さい。すぐに――助けます」 「て、てめえ……ッ」 瞬間。嘘のようにあっさりと解放される男の手。 だがそこにはハッキリと赤い痣が浮かび、それを見た男は怒りに引きつる顔で、何事かを言いながらそのまま小走りに去って行った――。

2016-07-09 21:37:26
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ユウト、大丈夫?」 「――ごめん、心配させて」 不安気に自分を見つめるアリスにユウトは視線を外す。 「今の男はDDS所属の傭兵。ダノ・マロンド。今回、DDS側の総指揮を執ることになっているみたい」 アリスが手元の端末を操作しデータを確認。ダノの経歴から戦績までを表示する。

2016-07-09 21:39:51
ニンジャカタナ! @NJkatana

「たしかに粗暴な男だけど、相当な戦歴の持ち主――」 「……とてもそうは見えなかったけど」 アリスの言葉に軽く頷きつつ、ユウトは再び歩みを進める。 「ユウト。ひとつ聞いてもいい?」 アリスは歩き始めたユウトの横に並ぶと、歩みを止めないまま、ユウトに対して質問を投げかける。

2016-07-09 21:41:51
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ルヴィアーノさんのこと――。彼女の息子さんと娘さんは、もう――」 「――うん。亡くなってる――」

2016-07-09 21:42:31